最終更新日:2017年7月27日

コーポレート・ガバナンス報告書

コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

当社は、法令遵守・企業倫理の徹底、的確かつ迅速な意思決定、効率的な業務執行、監査・監督機能の強化を図るための体制・施策の整備に取り組むとともに、経営の客観性・透明性のより一層の向上を図るため指名委員会等設置会社制度を採用し、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。
また、当社は平成28年4月よりホールディングカンパニー制に移行しており、当社グループ全体における経営資源の最適配分とガバナンスを実行し、さらなる企業価値の向上に努めています。

業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項
(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)

取締役会は、社外取締役6名を含む13名(男性12名、女性1名)で構成されており、原則として毎月1回、また必要に応じて開催され、重要な業務執行について審議・決定するとともに、執行役から定期的に、また必要に応じて職務執行の状況の報告を受けること等により、取締役及び執行役の職務執行を監督しています。また、指名委員会等設置会社に関する会社法の規定に基づき指名・監査・報酬委員会を設置しています。
社外取締役は、それぞれの専門分野における幅広い経験と見識等を活かし、取締役会等を通じて、重要な経営戦略の策定と業務執行の監督を行い、当社経営の客観性・透明性をより一層向上させる上で適任な人材であると考えています。社外取締役6名はいずれも、株式会社東京証券取引所が定める独立性基準及び当社が定める「社外取締役の独立性判断基準」に照らして独立性があり、一般株主との利益相反が生じるおそれがないものと考えています。
執行役(男性13名、うち外国人1名)は、取締役会の方針に従って業務を執行し、取締役会に付議される事項を含め、経営に関する重要な事項については、原則として毎週開催される執行役会やその他の会議体等において審議を行うなど、 的確かつ迅速な意思決定を図り、効率的な会社運営を実施しています。また、執行役会での意思決定を補佐するため、組織を横断した社内委員会を適宜設置しています。
なお、当社は、特定の業務に対して責任を負い、その業務を 執行する執行役員を設置しています。

マネジメント体制

マネジメント体制図

  • (注1)

    本社(コーポレート各室・本部等)、第一線機関(原子力発電所等)

  • (注2)

    投資管理委員会 等

  • (注3)

    リスクコミュニケーションを行う専門職

報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容

報酬委員会の定める取締役及び執行役の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針は以下のとおりです。

当社の取締役及び執行役の主な職務は、福島第一原子力発電所事故の責任を全うし、世界水準以上の安全確保と競争の下での安定供給をやり抜くという強い意志のもとで、企業価値向上を通じて国民負担の最小化を図ることである。
このため、「責任と競争」を両立する事業運営・企業改革を主導しうる優秀な人材を確保すること、責任と成果を明確にすること、業績及び株式価値向上に対するインセンティブを高めることを報酬決定の基本方針とする。
なお、経営の監督機能を担う取締役と業務執行の責任を負う執行役の職務の違いを踏まえ、取締役と執行役の報酬は別体系とする。また、取締役と執行役を兼務する役員に対しては、執行役としての報酬のみを支給する。

  • (1)

    取締役報酬
    取締役報酬は、基本報酬のみとする。
    <基本報酬>
    常勤・非常勤の別、所属する委員会及び職務の内容に応じた額を支給する。

  • (2)

    執行役報酬
    執行役報酬は、基本報酬及び業績連動報酬とする。
    <基本報酬>
    役職位、代表権の有無及び職務の内容に応じた額を支給する。
    <業績連動報酬>
    会社業績及び個人業績の結果に応じた額を支給する。

  • (3)

    支給水準
    当社経営環境に加え、他企業等における報酬水準、従業員の処遇水準等を勘案し、当社役員に求められる能力及び責任に見合った水準を設定する。

内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況

当社は、会社業務の適正を確保するため、次の体制を整備・運用するとともに、適宜評価し改善する。

  1. 1.監査委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
    • (1)

      監査委員会の職務を補助すべき使用人として、監査特命役員を置く。また、監査委員会の職務を補助する専任の組織を設置し、必要な人員を配置する。

    • (2)

      監査特命役員及び監査委員会の職務を補助する専任の組織に属する者は、監査委員会の指揮命令に服するものとし、その人事に関する事項については、事前に監査委員会と協議する。

    • (3)

      取締役及び執行役は、会社に著しい損害を与えるおそれのある事実を発見したときは、直ちに監査委員に報告するとともに、監査委員会が選定する監査委員の求める事項について、必要な報告を行う。また、当社の取締役、執行役、執行役員及び従業員並びにグループ会社の取締役、監査役、執行役員及び従業員又はこれらの者から報告を受けた者から、監査委員会に対し必要かつ適切な報告が行われるよう体制を整備するとともに、当該報告を行った者が当該報告を行ったことを理由として不利な取り扱いを受けないよう適切に対応する。

    • (4)

      監査委員が執行役会、経営企画会議及びその他の重要な会議に出席し、必要に応じて意見を述べることのできる体制を整備する。また、会計監査人及び内部監査組織が監査委員会と連携を図るための環境を整えるとともに、監査委員の職務の執行に必要と認められる費用については、これを支出する等、監査委員会の監査の実効性を確保するための体制を整備する。

  2. 2.取締役及び執行役の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
    • (1)

      社会規範に沿った業務運営・企業倫理遵守の徹底を図るため、「東京電力グループ企業行動憲章」及び「企業倫理遵守に関する行動基準」を定め、取締役及び執行役はこれを率先して実践するとともに、執行役員及び従業員にこれを遵守させる。
      また、社外有識者を委員に含み、企業倫理全般を統括する「東京電力グループ企業倫理委員会」を設置し、コンプライアンス経営を推進する。

    • (2)

      取締役会は、原則として毎月1回、また必要に応じて開催し、法令及び定款に従い、重要な職務執行について審議・決定するとともに、執行役から定期的に、また必要に応じて職務執行の状況の報告を受けること等により、取締役及び執行役の職務執行を監督する。また、執行役員に対して、必要に応じて職務執行の状況について、取締役会への報告を求める。
      また、取締役会の機能を補完するとともに、効率的かつ適切な意思決定を図るため、執行役会を設置する。執行役会は、原則として毎週1回、また必要に応じて開催し、取締役会への付議事項を含む経営の重要事項について審議する。
      なお、取締役及び執行役は、常に十分な情報の収集を行い、法令及び定款に適合した適切な経営判断を行う。

  3. 3.執行役の職務執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
    • (1)

      執行役会の議事概要その他職務執行に係る情報については、法令及び社内規程に従い、その作成から、利活用、保存、廃棄に至るまで適切に管理する。

    • (2)

      情報のセキュリティや職務執行の効率性向上、適正の確保に資するIT環境を整備する。

  4. 4.リスク管理に関する規程その他の体制
    • (1)

      取締役及び執行役は、当社及びグループ会社の事業活動に関するリスクを定期的に、また必要に応じて把握・評価し、毎年度の経営計画に適切に反映する。また、グループ全体のリスク管理が適切になされるよう社内規程を整備する。

    • (2)

      当該リスクは、社内規程に従い、業務所管箇所が、職務執行の中で管理することを基本とし、複数の所管に関わる場合は,組織横断的な委員会等で審議の上、適切に管理する。

    • (3)

      経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについては、執行役社長を委員長とする「リスク管理委員会」において、リスクの現実化を予防するとともに、万一現実化した場合には迅速かつ的確に対応することにより、経営に及ぼす影響を最小限に抑制する。

    • (4)

      大規模地震等の非常災害の発生に備え、対応組織の設置、情報連絡体制の構築及び定期的な防災訓練の実施等、適切な体制を整備する。

    • (5)

      リスク管理体制の有効性については、内部監査組織が定期的に、また必要に応じて監査し、その結果を執行役会等に報告する。執行役は、監査結果を踏まえ、所要の改善を図る。

    • (6)

      会社の経営全般について情報の共有を図り、経営改革を推進するため、経営企画会議を設置する。経営企画会議は、必要に応じて開催し、重点経営課題に関する対応方針や対応の方向性について審議する。

    • (7)

      福島第一原子力発電所の事故に対する反省を踏まえ、執行役社長直属の組織として「原子力安全監視室」を設置し、第三者の専門的知見を活用した原子力安全に関する取り組みの監視、必要に応じた助言を行い、意思決定へ直接的に関与する体制を整備することで、原子力安全に対するマネジメントの改善を図る。また、原子力安全監視最高責任者は、原子力安全に関する事項について、必要に応じて取締役会に直接報告する。
      また、原子力を含む事業活動全般に関し、社会との適切なコミュニケーションを行うための体制を整備する。

  5. 5.執行役の職務執行が効率的に行われることを確保するための体制
    • (1)

      経営上の重要事項については、執行役会のほか、経営企画会議、その他の会議体において適宜審議する等、効率的な意思決定を図る。

    • (2)

      執行役による職務執行については、社内規程において責任と権限を明確にし、執行役、執行役員、従業員がそれぞれ適切かつ迅速に執行する。

  6. 6.従業員の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
    • (1)

      すべての従業員が「東京電力グループ企業行動憲章」及び「企業倫理遵守に関する行動基準」を遵守するよう、継続的に企業倫理研修を実施すること等により、その定着と徹底を図る。

    • (2)

      法令や企業倫理上の問題を匿名で相談できる「企業倫理相談窓口」を設置し、寄せられた事案については、「東京電力グループ企業倫理委員会」で審議の上、適切に対応する。なお、相談者のプライバシーについては、社内規程に従い、厳重に保護する。

    • (3)

      社内規程において、職務執行に当たり遵守すべき法令等を明確にするとともに、教育研修等により当該規程に基づく職務執行の徹底を図る。

    • (4)

      従業員の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するため、内部監査組織が、従業員の職務執行の状況について、定期的に、また必要に応じて監査し、その結果を執行役会等に報告する。執行役は、監査結果を踏まえ、所要の改善を図る。

    • (5)

      こうした取り組みを通じ、従業員一人ひとりが企業倫理を意識し自ら実践するとともに風通しの良い職場をつくる「しない風土」、社内規程の継続的な改善とその徹底を図る「させない仕組み」、業務上の課題や問題を自発的に言い出し、それを積極的に受け止める「言い出す仕組み」を充実・徹底させる。

  7. 7.当社及び子会社から成る企業グループにおける業務の適正を確保するための体制
    • (1)

      「東京電力グループ企業行動憲章」の下、グループとして目指すべき共通の方向性及び目標等を経営方針として示し、その達成に向け、グループを挙げて取り組む。また、グループ会社において業務の適正を確保するための体制をグループ会社が自律的に整備・運用できるよう、適切な支援を行う。

    • (2)

      グループ会社が効率的な意思決定を行い、適切かつ迅速な職務執行ができるよう、社内規程により責任と権限を明確化する。

    • (3)

      職務執行上重要な事項については、社内規程等に従い、グループ会社から事前協議や報告を受ける体制を整備する。また、グループ会社の経営状況を把握するとともに、グループにおける経営課題の共有と解決ができるよう、当社取締役及び執行役とグループ会社取締役が定期的な会議の中で意見交換等を行う。

    • (4)

      グループ会社が「企業倫理相談窓口」を利用できる環境を整える。

    • (5)

      グループ会社の業務の適正を確保できるよう、必要に応じて当社の内部監査組織が監査等を行う。

社外取締役のメッセージ

 2016年4月にHDカンパニー制が導入された東京電力グループの今後の在り方について、數土文夫氏と國井秀子氏の両氏にソーシャル・コミュニケーション室長の榎本知佐氏が社外取締役としてのお考えをお伺いしました。

【生産性倍増】

榎本:  社外取締役として、東京電力グループが生産性倍増に取り組む理由について教えてください。

數土:  東京電力グループにおいて、生産性倍増は喫緊の課題です。2012年4月に策定された総合特別事業計画では、国の支援として原子力損害賠償支援機構(当時)が1兆円の出資を行うこと、金融機関・株主の協力として、融資および株式議決権希釈に応じること、そして、東京電力グループが10年間で3.4兆円のコストダウンを行い、全てのリソースを動員して福島復興を行うということを示しました。その後、計画の変更はありましたが、福島復興を実現するために生産性倍増運動の推進こそがまさに差し迫った重要な課題であります。
 さらに、現在では福島事故に関連して確保すべき資金の総額に当初の倍増どころか、昨年末の東電改革提言においては、3倍増、4倍増の巨費が必要と試算されています。

國井:  公共性の高いサービスは、総括原価方式という特殊な料金体系があり、コスト意識が一般の民間企業と違っていたと思います。その企業文化を変えていくことが重要で、また、生産性倍増となれば、定量的な目標を設定し、働き方を改革する全体施策が必要になると思います。定量化を図ることができると女性の活躍推進も可能になります。これは多くの企業に共通するのですが、育児等の短時間勤務というだけで評価が下がるケースもありますので、不公平で不透明な評価を無くすことで働き方改革にも繋がると思います。

數土:  企業文化を変えるために必要なのは、仕事の定量化です。東京電力グループの勤務時間は、平均で年間2,000時間以上です。それに比べてドイツ人の勤務時間は、年間平均1,500時間を切っていて、生産性も日本の1.5倍以上と言われています。私たちは生産性向上に挑戦していかなければなりません。
 それは、単に残業をゼロにすることを目的にするのではなく、仕事を定時で終わらせるために仕事の生産性を上げることを目標にするということです。そのためには、ジョブ・ディスクリプション(職務設計)が必要だと考えています。
 私は、「We can not manage what we can not measure.」、すなわち、定量化出来ないものは、経営指標にならないと言っています。社員のみなさんには、自分の仕事の成果を定量化し、その実績を毎年、更新し続けていく文化を作っていくことで、世界にも通用する生産性を誇れる企業になる礎ができると伝えています。

【福島の責任と復興】

榎本:  社外取締役の視点から、東京電力グループは福島の責任をどのように果たしていくべきとお考えでしょうか。

數土:  東京電力グループは、福島の責任を果たすために、その存続が許されたと言っても過言ではありません。
 その責任は大きく二つあります。一つは、福島の地元のみなさんの環境を出来るだけ震災前に近い状態にすること、もう一つは、事故原因の究明について、福島や新潟のみなさんはもちろん、世界中の方々に理解していただけるように努めることです。その上で、原子力の在り方を示していく必要があると思っています。
 なお、従業員の方々には、この6年間、ただ、ただ感謝の気持ちで一杯です。今後、従業員の方々の士気向上をもっと重視すべきだと考えています。

國井:  私が感じるのは、箱物中心的な考えが多いのかなと思っています。箱物も重要なのですが、復興は、復旧だけでなく、新しい生活の場を作り上げていくことでもあるので、総合的に考えていく必要があります。生活の場として、地元の女性のみなさんとの交流も活発にする必要があるのではないでしょうか。
 これまで、延べ30万人以上の社員が福島復興のお手伝いをし、福島の現状を肌で感じていると聞いています。今後はいかに効率的に、福島のみなさんのお役に立てるのかを考えていく必要があると思います。

數土:  一番重要なことは復興に関わる人、復興を進めるための仕組みだと考えています。復興も数値化が困難なものであっても、なんらかの形で定量化して生産性を向上させていかないといけません。費用の乗数効果・投入効果をさらに倍増できないかを真剣に考えてもらいたいと思います。
 欧米企業では、地元の方とのコミュニケーションを取る役割を担う社員の半分は女性と聞いています。私たちもそういった環境を整える努力が必要です。福島復興本社は、石崎代表をはじめ、みなさんがとても頑張っていますが、更に一歩進めて復興の定量化を行い、福島の地元のみなさんのお力になってほしいと思います。

【ダイバーシティ】

榎本:  東京電力グループでは、女性が働きやすい職場環境を目指していますが、この点についてどのように評価されますか。

國井:  震災前は、日本企業の中では、女性活躍推進に取り組まれていた企業の1社であったと思います。一方で、女性のみにフォーカスしてしまい、男性の意識改革に対する活動が極めて弱かったのではないでしょうか。
 男性の育児休職・短時間勤務の率を上げることで文化は大きく変わります。グローバルに通用するためには、ポジティブ・アクションとして、数値目標で定量的に育成をすることが重要です。

數土:  私は男性の育児休職・短時間勤務の率が上がらないのは、ジョブ・ディスクリプションがないからだと思います。ジョブ・ディスクリプションを作ることが生産性倍増、福島への責任、ダイバーシティのすべてに共通する解決策の一つになると考えています。

國井:  技術系の女性を積極的に採用することも重要です。技術系の女性はそもそも少ないので、企業として女性に働いてもらいたいというメッセージを出すことが必要です。IMF(国際通貨基金)専務理事のクリスティーヌ・ラガルドさんが「Women can save Japan」と発信していますが、「Women can save TEPCO」となるよう、女性の人数だけでなく、発言率も高めなければなりません。女性の側もどんな貢献が出来るか意識して、キャリアを積み上げ、人脈を形成してもらいたいと思います。

數土:  その人脈を構築するには、時間を作る必要があります。会社のためだけに時間を使うと人脈を広げられないこともあるのです。
 社会に貢献するためには、ジョブ・ディスクリプションを作成し、仕事を定量化して、生産性を倍増させることで時間を生み出し、それを家族や自分の将来のために投資することが何よりも重要です。社員のみなさんには大いに期待しています。

(2017年3月)


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