雑誌『ソトコト』編集長 指出一正さん

「再生可能なエネルギーを
使うことはかっこいい」
近い将来、それが当たり前の
価値観に
なってほしい。

東京電力エナジーパートナーでは、自然が生み出すエネルギーの利用を通じて関連地域と消費者を結び、環境へ貢献するEco&Cocologyのコンセプトをスタートさせました。その第1弾は、日本で初めて水力発電100%の電力を提供する料金プラン「アクアエナジー100」。自然にやさしい電力であることはもちろん、“水力発電の産地(ふるさと)”である群馬県片品村や尾瀬の地域特典が得られる点が特徴です。再生可能なエネルギー=“モノ”と、地域の“コト”がセットになった新たな取り組みに際し、地域に暮らす人々や文化を応援する雑誌『ソトコト』の編集長にご意見をうかがいました。

Eco&Cocologyは
エネルギーを生み出す土地を知り、
人と関わり、共感を広げる
「Eco&Cocology」

まずは、「Eco&Cocology」のコンセプトについて、地域創生の視点からどのような印象を抱かれましたか?

指出編集長地域とエネルギーを「自分ごと」として考えられる、とてもいいコンセプトだと感じました。

『ソトコト』は、社会や環境の課題を、どう楽しく、おもしろく解決できるかについて、実際にクリエイティブに取り組まれている人たちを取材し、発信しているメディアです。どんなに重要で大切な社会課題であっても、それを自分のこととして身近に感じることができなければ、親しみやアイデアはなかなか生まれません。そういった意味からも、地域振興と再生可能エネルギーの発電をセットにしたことで、エネルギーを生み出してくれるその豊かな土地のことがわかり、人と人との関わり合いと共感が広がっていく気がします。

アイスランドで見た、
そこかしこに地産の
クリーンエネルギーがある暮らし。

指出編集長はこれまで世界各国を旅されていますが、その中で、クリーンエネルギーと地域の取り組みで印象に残っているものはありますか?

指出編集長2008年の春に、アイスランドへ出かけました。その目的は、世界最先端のクリーンエネルギーの現場を見ることです。そこで目にしたものは、フル稼働している、まるでミュージアムのようにかっこいい地熱発電所や水力発電所でした。世界的なデザイン集団が設計したりして、ひと言でいえば「おしゃれ」だったんです。
アイスランドの人たちの生活には、電気はもちろん、都市部のセントラルヒーティングから郊外の温水を使った農業まで、そこかしこに地産のクリーンエネルギーの恩恵がありました。日常とエネルギーが生み出される現場のつながりを強く感じた旅でした。

世界的に見ても水が豊富なこの国で、
水力発電の文化が花開いたのは
当然かもしれない。

日本の水力発電の歴史は明治にまで遡り、山や川といった自然環境と共生してきました。地域の自然や文化、産業の観点から、水力発電をどのように捉えていますか?

指出編集長僕はフライフィッシングでのイワナ釣りが大好きで、よく東北の川に通っています。つくづく思うのが、これだけ狭い国土の中に、ほんとうにたくさんの美しい川が山里のあいだを流れているということ。しかも、滝のように流速のある川ばかりです。世界的にも珍しいくらい水が豊富なこの国で水力発電の文化が花開いたのは、地産地消の視点からも当然かもしれません。
日本の中山間地域にうかがうと、大きなダムをよく見かけます。すでに造られたこれらのダムの貯水のポテンシャルなどを上手に利用して、水力発電の比率を上げていくことも、新しいローカルビジネスに結びつきそうです。

人と人との関係だけではなく、
自然界のつながりを意識することで
クリーンエネルギーへの理解が深まる。

自然環境と共に生きる暮らしにおいて、クリーンエネルギーへの意識を持つことの大切さをお聞かせください。

指出編集長川の上流から下流までのつながりを見る、というのは、これからの環境教育で特におすすめです。上流で起きることが、必ず下流に影響する。そのことを身体的に知ることは大切です。
僕自身、川の源流に行って気付くことがたくさんあります。ブナの森や里山は、植物や昆虫、ほ乳類だけでなく、鳥類や魚たち、そしてそこに暮らす人々が互いに関わり合うことで保たれている持続可能な環境です。人と人との関係だけではなく、自然界のつながりを意識することで、より俯瞰的で柔軟な思考を持つことができ、クリーンエネルギーへの理解が深まります。

再生可能なエネルギーを
使うことはかっこいい。
そんな価値観が当たり前になる未来へ。

最後に、再生可能なエネルギーのこれからについて、指出編集長が思い描く未来ビジョンをお聞かせください。

指出編集長クリエイティブリユース、という言葉があります。これは、古材を使って空き家のリノベーションをするなど、今あるものをアレンジしながら、かっこよく使い続けていく考え方なのですが、若い世代のみなさんから強い共感を得ています。この「かっこよく使い続けていく」という思想が、これからもっともっと、再生可能なエネルギーをつくる側と選ぶ側の双方にとってのキーワードになっていくといいなと思います。「再生可能なエネルギーを使うことはかっこいい」、そのことが、近い将来に広く当たり前の価値観になることを願っています。

松浦和男

指出一正(さしで・かずまさ)

月刊『ソトコト』編集長。昭和44(1969)年、群馬県生まれ。上智大学法学部国際関係法学科卒業。雑誌『Outdoor』編集部、『Rod and Reel』編集長を経て現職。島根県「しまコトアカデミー」メイン講師、広島県「ひろしま里山ウェーブ拡大プロジェクト」全体統括メンター、高知県文化広報誌『とさぶし』編集委員、静岡県「『地域のお店』デザイン表彰」審査委員長、奈良県「奥大和アカデミー」メイン講師、奈良県下北山村「奈良・下北山 むらコトアカデミー」メイン講師、広島県「ひろしま さとやま未来博2017」総合監修、長野県長野市WEBメディア『ナガラボ』編集長をはじめ、地域のプロジェクトに多く携わる。著書に『ぼくらは地方で幸せを見つける』(ポプラ新書)。趣味はフライフィッシング。

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