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~牛肉編~

第8話地元農家の愛情がたっぷり!福島牛が"おいしい"理由

【掲載年月日:2020年1月31日】

黒毛和牛の数あるブランドのなかで近年、注目を集めている福島牛。食味のよさだけでなく、部位ごとに肉がしっかりとついているのも福島牛の特徴です。共励会でも高評価を得ている福島牛は、どのような環境で、どのようなこだわりをもって育てられているのでしょうか。その現場を知るべく、福島牛を育てている畜産家の方を訪ねてみました。

お話を伺ったのは…

二本松市で福島牛を育てている畜産家の上野広行さん・弘子さん夫妻。全国規模の共励会で数々の最高賞受賞歴がある上野さん夫妻は、トップレベルの和牛飼育技術を持っています。

ストレスフリーの環境を整える

安達太良山の麓に上野さん夫妻の牧場はあります。広行さんの祖父が畜産業を始め、広行さんで3代目。現在の経営規模は繁殖用の母牛が17頭、肥育している牛は138頭。牛舎は8棟あり、牛たちがゆったりと寝転んだりしていました。いい牛を育てるために、まずは「ストレスのない環境に整えてあげること」とお二人は語ります。

「牛たちが牛舎でのんびりと過ごせるよう、1区画に入れる牛の頭数を4~5頭に制限していて、換気扇も常に回して新鮮な空気を維持しています。牛舎の床にオガクズを敷いているのも私たちのこだわりですね。定期的にオガクズを入れ替えて、牛たちが心地よく寝られようにしているんです。人もフカフカの布団で寝ると気持ちいいでしょ。」

オガクズは木の香りもストレス軽減効果があるそう。排出された牛の糞尿はオガクズと一緒に発酵させ、牛糞堆肥として近隣の農家に販売しています。

牧草と稲わらで仔牛の胃袋を丈夫にする

さらに、牛のエサにも並々ならぬこだわりが……。エサに使う牧草はすべて自家栽培しています。牧草地の面積はなんと9haと、東京ドーム2個分にもなります。6月上旬から10月まで3回にわけて牧草を刈り取り、随時発酵させて保存しています。

「この牧草は生後9カ月までの仔牛に主に与えます。牛は本来、草食動物なので、子どものころに草をたくさん与えると胃袋が丈夫になる。胃袋が元気だと、牛を大きく太らせるための肥育の過程で与えるエサもバクバクと食べてくれるんですよ。エサをたくさん食べることで、部位ごとに肉質が充実して、サシも入るというわけです。」

牧草と同時にたっぷりと与えているのは稲わら。牧草と同じく繊維質の多い稲わらも牛の胃袋を丈夫に健康にしてくれます。
また、肥育の初期段階に、ビールかすと大豆かすの発酵飼料を与えているのもこだわりのひとつ。発酵飼料はタンパク源ともなるため、牛の筋肉を育ててくれます。

「ビールかすにわずかに残るアルコール分が、牛を気持ちよくさせてくれるかもしれませんね。ほろ酔い気分で(笑)。ビタミンB群が多く含まれているので、ストレスを少なくする効果もあるはずです。」

肥育期間を長くして、脂の質を上げる

牧草や稲わらを与えて胃袋を丈夫にし、食欲旺盛な牛を育てていますが、肉質には牛の血統も大きく影響します。そのため、上野さん夫妻は全国的にも有名な鹿児島県の種牛「安福久(やすふくひさ)」と「美国桜(みくにざくら)」の血統を持つ母牛を導入。血統のいい牛はサシが入りやすくなります。

そして、生後30カ月まで育てるのも、肉質をよくするため。他産地に比べ、肥育期間が長いのは、福島牛全体の特徴です。

「牛は生後28カ月ごろから脂の質が変わってきます。オレイン酸の含有量が増えて、融点が下がる。口に入れると脂身がとろけるような、滑らかな肉質になるんです。最近はサシの入り具合より、脂身の質が評価の基準になりつつありますね。ですので30カ月以上まで育てて、牛を仕上げていきます。」

ただ、肥育期間が長くなるということは、途中で病気になったりとリスクも高まります。そのため、上野さんは常に牛の健康チェックも怠りません。

「肥育が長くなるとビタミンAが欠乏して、最悪は目が見えなくなったり、足が腫れてしまう。そうならないように、餌の食いつきや、風邪をひいていないかなど、毎日観察しています。大丈夫かって声をかけながら。子育てと、まったく同じですね。」

震災を機に、福島牛の飼育へ

上野さんがエサに稲わらを与えているように、「米どころの牛はおいしく育つ」とよく言われます。福島県もまさに米どころ。造り酒屋も多く、良質の水にも恵まれている証拠でしょう。上野さんの牧場では安達太良山の伏流水を牛たちに与えています。

米づくりにも畜産にも恵まれた環境ですが、東日本大震災以降は状況が変わります。じつは、上野さんの牧場で福島牛を育てるようになったのは震災がきっかけでした。以前は乳牛の雌に黒毛和牛の種をつけて産ませた交雑種の肥育を300頭近く手掛けていましたが、風評被害の影響もある中で、頭数を減らしても収益を維持できるよう単価の高い黒毛和牛の飼育に切り替えました。

「震災から2~3年は本当に大変でしたが、交雑種の肥育技術の蓄積が今に生かされています。」

牛フンを肥料にして牧草を自家栽培していることで、循環型の畜産も営まれています。

牧場から福島牛の安全、安心を発信!

福島牛は現在も全頭検査が続けられていますが、消費者の不安を拭い去るまでには至っていません。そのため、上野さんはバイヤーや消費者を牧場に招くツアーを定期的に行い、福島牛のPRにも努めています。

「牛舎を案内しながら飼育の現場を実際に見てもらうことが、理解につながると信じていますから。」

1頭1頭ていねいにブラシをかけるなど、わが子を慈しむように牛を育てている上野さん夫妻の姿を見れば、一目瞭然でしょう。愛情をかけて育てているためか、牛たちは人間を警戒せず、とてもフレンドリーです。

「仔牛のころから声をかけながらふれあうことで、人に慣れさせていきます。人を怖いと思うこともストレスになりますから。大事に大事に育ててきた娘や息子たちです。」

だからこそ、おいしく食べてもらいたいと上野さん夫妻。牛たちに込められた畜産家の愛情も感じながら、福島牛を味わってみてください。

牛のプロから教わりました!おいしい牛肉の見分け方

店頭に並んだ牛肉。どれを選べばよいか迷ってしまいます。そこで、上野さんに、よりおいしい牛肉の見分け方を教わりました。

「脂身と赤身の筋がはっきりしているものではなく、赤身に細かくサシが入っている肉を選んだほうがいいですね。脂身と赤身のグラデーションで全体にピンク色になっている肉がベストです。」

飼育期間が長い福島牛は、脂の質がよいことも魅力。"牛肉の傑作"のおいしさを、ぜひご堪能ください!

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