尾瀬を知る

尾瀬だより

第3回 「6月の“尾瀬”日記」

平成22年7月1日

戸倉周辺では、コエゾゼミが元気よく鳴き始めました。6月の尾瀬では雷雨やひょう、遅霜が降ったりと不安定なお天気が続きましたが、後半には、梅雨に入り、じめじめとした季節へと移り変わって来ました。尾瀬に咲く花の競演も盛夏に向けて準備が始まったようです。

今回は、桑原が今月より始まった木道工事東京電力2年目社員研修などをお届けいたします。

【タテヤマリンドウ】
尾瀬ヶ原には、タテヤマリンドウの花が見られます。思わず見落としてしまいそうなほどとても小さい花です。水色や紫色、まれに白や赤色も見られるそうですので、ゆっくり歩きながら、探してみてくださいね。

(6月7日 牛首周辺)

【ヤチヤナギ】
名前にヤナギと付いているのですが、ヤナギの種類ではなく、ヤマモモの仲間だそうです。葉っぱを軽くさわって匂いを嗅いでみると不思議。ハーブのような匂いがするそうです。

(6月7日 竜宮下ノ大堀周辺)

【コミヤマカタバミ】
薄いピンク色や白色のコミヤマカタバミが咲いていました。葉の形はクローバーの葉によく似ていて、3枚の葉っぱが特徴だそうです。

(6月7日 鳩待峠から山ノ鼻間)

【レンゲツツジ】
群馬県の県花に指定され、尾瀬周辺では、他に武尊山でも見ることができるそうです。一見、鮮やかな色の植物ですが、牛や馬などの家畜も嫌うほど、花に毒があるそうです。見た目では分かりませんね・・・。

(6月14日 大清水周辺)

【クリンソウ】
紅紫色の花をつけたクリンソウが咲いていました。「九輪草」とも書き、花が数段に重なる姿が仏閣の屋根にある「九輪」に似ていることから名付けられたそうです。尾瀬では、大清水湿原しか見られない貴重な植物だそうです。

(6月14日 大清水湿原)

【ハコネサンショウウオの横断】
雨上がりの午後、鳩待峠から山ノ鼻に向かう樹林帯の中で、木道を横断中のハコネサンショウウオに出会いました。夜行性のため、めったに見ることのできない動物だそうです。とても貴重な体験をした気分です。

(6月14日 鳩待峠~山ノ鼻間)

【ミツガシワ】
牛首周辺でミツガシワの花が咲いていました。近年、シカの食害によって被害を受けている植物でもあります。今年こそは、無事にたくさんのミツガシワが咲いてくれますように。

(6月15日 牛首周辺)

【チングルマ】
一見、「草本」のようだと思う方もいますが、実は、「樹木」の仲間だそうです。写真は、まだ花を咲かせていますが、実の形が風車に見えたことから稚児車(ちごぐるま)より転じて名付けられたそうです。かつて「天上の楽園」とも呼ばれたアヤメ平でも、多くのチングルマが咲いています。以上、6月の植物情報でした。

(6月15日 竜宮周辺)

【木道工事のトップバッター】
今年度の木道工事が始まりました。牛首からヨッピ吊り橋の間で、架け替え工事をしています。木道工事の最中は、片側通行になったりと、ハイカーの方々にはご迷惑をおかけいたしますが、安全には最大限に配慮しながら、工事を進めるよう、日々、環境保全スタッフたちが現地に行って、しっかりと確認をしています。

(6月8日 尾瀬ヶ原)

【材料は、どこから・・・】
左側にある新しい木材はヘリコプターで運ばれ、湿原を傷めないように、配慮しながら、置いています。この木道の材料には国産のカラマツという木を使っています。水に強くて折れにくいという特徴があるのですが、1年のうちの半分は雪の下に埋まってしまう厳しい自然環境でもあるため、10年前後で架け替える必要があります。この木道の材料は、以前はプラスチックやコンクリートなど様々な材料も試してみたそうですが、やはりハイカーたちの歩いたときの感触を考えてカラマツという木道にしたそうです。

(6月8日 尾瀬ヶ原)

【木道工事に命を懸けるスタッフたち】
東京電力グループ会社・尾瀬林業の安藤をはじめとするスタッフたちは多くのハイカーたちが怪我なく木道を通ることができるように、「安全」を意識した木道作りを行っています。でも、この木道は、ハイカーたちの安全を守るだけではなく、湿原を踏み荒らされることなく、人が自然に触れることができるようにと、湿原を守るための木道でもあります。

(6月10日 尾瀬ヶ原)

【山開きに向けて】
7月1日の山開きに向けて、至仏山の植生保護と滑落事故防止のため、ハイカーが登山道を踏み外すことのないように、環境保全スタッフがロープの取り付けなどの整備をしています。至仏山には、まだところどころに雪が残っているそうですので、入山される方は足元に十分気をつけてくださいね。
以上、環境保全スタッフたちの活躍でした。

(6月15日 鳩待峠~山ノ鼻間)

【元気な後輩たちと】
6月初旬、2年目を迎えた東京電力の社員たちとともに尾瀬研修に行ってきました。約300名の参加となり、4回に分けて行いました。2年目の社員たちが同期の絆を深めつつ、尾瀬を通して、長年取り組んできた保護活動を見てもらおうと今年初めて企画したものです。私が一緒に参加した班のメンバーたちのほとんどは、初めて尾瀬に行ったそうで、「風景がきれい」「空気が澄んで気持ちいい」ととても楽しんでいる様子でした。

(6月9日 鳩待峠)

【龍宮城につながる?!池塘】
竜宮の近くにある池塘で東京電力自然学校スタッフの説明を真剣に聞いている後輩たち。ここは、「竜宮カルスト」と呼ばれている場所です。この池塘と木道をはさんで反対側にある池塘は、双方とも満々と水を湛え、あふれ出ることがないそうです。実は、地下水路でつながっているからだそうです。昔の人はこれを見て、竜宮城までつながっていると考えられ、「竜宮」と言われるようになったそうです。

(6月9日 竜宮付近)

【到着!】
鳩待峠から東電小屋に向かって、ひたすら歩き、やっと到着しました!この日の研修は、私の他に、環境部の湯浅も一緒に参加していました。後輩たちが、「自然保護発祥の地・尾瀬」で色んなことを感じ、「自然を大切に守る」ことを学んでくれたらと思いました。 以上、2年目社員研修でした。

(6月9日 東電小屋)

【一日だけ、先生】
千葉県内にある小学校へ「尾瀬の出前授業」に行ってきました!小学生はとても元気があり、「桑原先生」と呼ばれたときは、嬉しいような、恥ずかしいような変な気分でした。7月に、尾瀬へ林間学校で行くそうで、そのための事前勉強としてこういった場で、お話をさせていただきました。尾瀬で見られる動物や植物には、質問がたくさん来るほど興味津々!グリーンボランティア(ゴミ持ち帰り運動)にも参加してね。

(6月22日 千葉県内)

次回は、7月中旬頃、至仏山の山開き、TEPCOのECO対談の様子などを中心にお届けいたします。

  • 尾瀬からの招待状 トップへ
  • 尾瀬を知る トップへ

ページトップへ