女性管理職クロストーク

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東京電力では多くの女性が活躍している。今回はそんな彼女たちの中にあって、管理職としてキャリアを積む3人の社員に集まってもらい、業務のこと、キャリアのこと、ワークライフバランスのことなどざっくばらんに語ってもらった。

佐藤 育子

東京電力パワーグリッド
配電部長

佐藤 育子
三宅 恵

東電ハミングワーク株式会社(出向)
取締役事業総括部長 兼 印刷事業部長
兼 内部統制・管理担当

三宅 恵
羽野 真美

東京電力エナジーパートナー
リビング事業本部 EV普及推進グループ

羽野 真美

現在の業務について教えてください。

佐藤 本日はよろしくお願いします。本社配電部長の佐藤です。配電部は、電柱や電線をはじめとした配電設備の保守、制御、建設などを担う部門です。そこで総括業務を行っています。

三宅 配電部門は電気をお使いの皆さまに直接電気をお届けする部門ということもあり設備がとても多いですよね。大勢の社員をまとめていらっしゃるのではないですか?

佐藤 そうですね。本社配電部は現在200名強。配電部門全体としては、各支社を全て含めると約5,000人強の社員が業務にあたっています。

三宅 本日はよろしくお願いします。東電ハミングワーク株式会社(以下、ハミングワーク)に出向しています三宅です。ハミングワークは東京電力グループの特例子会社として、障がい者雇用の推進等を行っています。そこで取締役として経営企画をはじめ一般管理部門の総括と印刷事業部を担当しています。

羽野 本日はよろしくお願いします。東京電力エナジーパートナーのリビング事業本部、EV普及推進グループの羽野と申します。EV普及推進グループでは、電気自動車やプラグインハイブリッド車など環境にやさしい次世代自動車の普及を目指して、お客さまへのサービス開発や自動車業界の企業との協働施策を検討しています。

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お二人はどういったキャリアパスを経て今のポジションになられたのですか?

佐藤 私は工学部精密機械工学科を卒業して、機械系の技術系社員として採用されました。最初の配属は工務部という部門で、十数年、送電線や変電所の建設工事、設備構成を計画する業務に携わりました。私が計画や工事に携わった変電所や送電線が沢山あるんですよ。

羽野 それはやりがいありますね。

佐藤 そうですね。そしてその後、工務部門で管理職となり、10年ほど前に今いる配電部の本社マネージャーになりました。その後、支社の副支社長、支社長を経験して、2年前から今の配電部長という仕事をやらせてもらっています。

三宅さんはどういったキャリアを歩まれたのですか?

三宅 私は入社後、支社の営業部門に配属となり、3年後に経理部門へ異動。その後20年以上経理部門で経験を積んできました。その後、支社で管理職となり、現在ハミングワークでは経営面を見させて頂くようになりました。

佐藤 入社された当時は、いずれ管理職になるといったイメージはありましたか?

三宅 実は全くありませんでした(笑)。学生の頃は、一般職に近い業務を想像していて、自分が管理職に就くというようなことは想像もしていなかったというのが本音です。

羽野さんはどのようなご経歴ですか?

羽野 私は工学部建築学科を卒業してから入社後は、建築、技術営業、電気自動車と3つのジャンルの業務を経験しました。入社当時は送変電設備建物の建設です。作業着でヘルメットをかぶって安全靴を履き、工事会社の方と設備建物の現場確認をする工事監理をしていました。その後、神奈川支店では事務所建物や変電所の改修工事を経験したので、8年の間、図面もたくさん書きましたね。楽しい職場でしたが、部門転換で次は営業になりました。

三宅 営業部門への異動は希望されたのですか?

羽野 はい!営業部門へ異動して業務内容がかなり変わりましたので、毎日が刺激的でした。営業の場合は、机に向かってじっとしていても何も生み出せません。とにかく外に行って色々なものを知り色々な人と会うということを上司から教えられました。今思うと営業の基本で当たり前のことですが、異動したての当時はカルチャーショックでした。

佐藤 どういった営業を担当されていたのですか?

羽野 オール電化住宅の推進です。家庭でエネルギーを上手に利用して頂くための提案をしていました。営業先はマンションデベロッパーやハウスメーカーなどです。例えば、オール電化だからこそできるキッチンやリビングの空間提案やマンションの設計施工に役立つ情報提供を行います。そうしてオール電化マンションが販売されると、今度はモデルルームでご購入を検討されているお客さまにオール電化の良さをご案内するのです。
EVがある先進的な暮らしの提案をする機会もあったせいか、その後はEVの充電インフラネットワークを整備推進する合同会社に出向することになりました。自動車メーカーや商社・銀行・電力会社など異業種9社が設立した合同会社で、とりまとめ的なポジションを経験させて頂きました。全国での実証実験を終えて、次は自動車メーカーを中心として7社で出資している合同会社に出向しました。多様なバックグラウンドと価値観を持った方々と、全国に便利な充電環境をつくるという目的に向けて力をあわせていくことを経験し、その経験を活かして今度はEVの普及を加速させるため今年東京電力に戻りました。

佐藤 幅広い経験を積まれているんですね。

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管理職を打診された時の気持ちは?

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羽野 上司から管理職にと声を掛けられた時は、最初はどう思いましたか?

三宅 私は「管理職で頑張ってみないか」と上司からお話を頂いた際、実は、荷が重過ぎるだろうと一旦はお断りしようかと思いました。しかし上司は「三宅さんの今までの頑張りを見ていれば、必ずできるはずだ!」とプッシュされまして(笑)。そう話しているうちに「これはチャンスだ」と思えるようになりました。どこの部署になるかは分からないと言われましたが、さすがに経理を20年もやっていましたので経理部門かなと思ったら、支社の“支社長付”というポジションでした。支社を取りまとめる企画系の仕事なのですが、初めは戸惑いましたね。
業務を全うするには会社全体を知る必要がありましたので、配電、送電、営業とすべての業務を改めて勉強し直しました。今になってみれば、非常にいい経験になったなと思っています。

羽野 管理職に昇進された時を振り返ると、どんな事が評価されたからだと思われますか?

三宅 難しい業務も私なりにこなしていましたので、信念をもって諦めない姿勢を見てくれていたのかも知れません。難しくても前に進もうという気持ちですね。
佐藤さんは管理職を打診された時、どうお感じになりましたか?

佐藤 最初の管理職は多摩支店の設備計画グループマネージャーという職でした。私の場合はある日突然、辞令を言い渡されまして。もらった瞬間あまりの驚きで「エーッ」と奇声がでました。

一同 (笑)

三宅 どういった点を期待されたのでしょうか?

佐藤 工務部門の設備計画のお仕事でキャリアを積んでいましたので、その分野についてはある程度信頼を得られていたのかも知れません。
多摩支店の設備計画グループマネージャーから、本社配電部の配電企画グループマネージャーへ異動。大きく部門を転換したことに加えて本社のマネージャーとなり、役割や仕事の位置づけがかなり変わりました。配電部門での経験がまったくありませんでしたので、正直さすがに厳しいかも知れないとは思いました。

三宅 配電部門は男性の多い職場のイメージですね。

佐藤 そうなんです。新入社員は皆さん訓練して電柱に上るような強者たちですからね。(笑)それは冗談ですが、当時は知識がほとんどなく、最初は用語も分からない中で判断を仰がれるためとても大変でした。

羽野 知識の不足はどうやってカバーしたのですか?

佐藤 判断をして決めていくことが求められますので、知識や情報が無ければ集めるしかありません。詳しい部下にお願いをして収集してもらいました。随分助けてもらいましたね。

羽野さんはいかがですか?管理職となった際はどのようなことを期待されたのでしょう?

羽野 管理職になったのは、集合住宅営業担当者から川崎地域でオール電化営業を担当する支社のグループのマネージャーになった時でした。家づくりや住宅購入するときの判断には、機能性への要求が細やかで具体的な女性の意見がとても大切になりますよね。営業に女性の視点もしっかり取り入れるため、営業社員がより活躍できる環境づくりを期待されたのだと思います。営業部門では女性マネージャーがどんどん増えているところでしたので「いよいよ私にもそのバトンが来たのね」という感覚で受け止めました。

佐藤 あら、すんなり受け止めたのですね。

羽野 そうですね。私の場合は「頑張ろう!」って受け止めました。(笑)
その後出向しまして、合同会社で経営上重要な物事をスピーディに決めていくための準備と業務を行う事務局の責任者になりました。会社の全体に視野が広がったイメージです。

三宅 難しそうな役割ですね。

羽野 はい。部署がいくつもある会社と異なり人数の少ない会社の中にいましたので、それまでは見る機会のなかった財務諸表なども目にするようになりました。根が楽観的なので、「新しい事は面白いな」と楽しんで仕事に取り組めたような気がしています。(笑)

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壁はどうやって乗り越えたのですか?
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三宅 もちろん自ら勉強するところもありますけれども、それでも分からないところは周りの協力を仰ぐしかない。そういった部分では、やはり上司にしても部下にしても同僚にしても、非常に助けてもらったなと感じています。やはり精通している方に頼るのが一番早い!ということは実感しました。

羽野さんはどうされましたか?

羽野 私の場合は会社や職歴背景、価値観、意思決定の仕方が違う仲間と仕事をする機会に色々恵まれましたので、どうしたら全員が一番いい状態で前に進めるかを考えるようにして乗り切ってきました。

三宅 考えの違う人たちをどのようにまとめていくんですか?

羽野 組織の中で情報の流通量を増やすということがとても大事だと思います。具体的には意思決定のプロセスがしっかりわかるようにすること。どんな意見であっても、それが歓迎されるような場をつくり、賛否ふまえて結論にいたるということですね。あとは、普段なるべく機嫌のいい顔をしていること。

一同 (笑)

羽野 その方が話しかけやすいでしょ?誰しも機嫌の悪い人にはアイデアや感じている事を話したりしたくないと思いますので、小さなことですが自分なりに気を使っていたところです。佐藤さんは、男性の多い職場に上司として異動した苦労はありましたか?

佐藤 若い頃は私の周囲に女性の管理職もいませんでしたし、参考とするようなロールモデルとなる方がいなかったので、どう立ち振る舞っていいのか分かりませんでした(笑)。マネージャー、副支社長、支社長を経験して行きついた結論は、“気にしてもしょうがない”ということ。最終的には「自分流」で行くしかないんです。例えばカリスマ性があってミステリアスで、あるいはパワフルという上司像があっても、私じゃどうやってもパワフルな上司にはなれませんから。

一同 (笑)

佐藤 私の場合は、ある時はお姉さん、ある時はお母さんのように振る舞ってみたり、時には部下に甘えてみたりとか。従来の上司像とは随分違っていたとは思っています。部下も最初は戸惑いがあるかもしれませんが、何カ月か一緒にいると「こういう上司なんだろう」となって支えてくれるようになるものです。

羽野さんはいかがですか?

羽野 理想の女性リーダー像は、ドラマに出てきそうなバリバリのキャリアウーマンで、カッコいい人をイメージしてました。指示をバシバシ出して、ハイヒールをカツカツ鳴らして先頭を風切っていくような。でも自分が実際に管理職になってみると、どうやらそれは無理そうだというのが、だんだん分かってきたわけです。

佐藤 そうそう。わかります。

羽野 ぐいぐい引っ張ると感じではなくて、どちらかというと、じっと見ていて転がっている大切なことを拾っては丁寧に積み上げるようなタイプのようであり、学生の頃に描いていたリーダー像とは違った姿でやっています。

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管理職ならではのやりがいを教えてください。
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佐藤 大きなプロジェクトを自分で動かせるようになったことや、その決定権が自分にあるということでしょうか。今は部門全体を見ていますので、その部門全体の大きな方向性や、場合によっては首都圏の電気事業そのものを大きく変えるような、そういったことも自分の役割の中にはあるかなと思います。

羽野 わかります。特に電力は生活基盤の社会インフラですから役割が大きくなれば、社会に対して大きな影響、たくさんの方々の暮らしに良いインパクトを与えることができるような仕事ができるというのがやりがいですね。三宅さんはいかがですか?

三宅 自分の意見が決断につながる立場で意思決定をして、成果が出るのはうれしいですよね。私の場合は東京電力グループの障がい者雇用を通じて社会的にも貢献ができている実感を持っています。しかし、やりがいがある反面、プレッシャーもありますよね?

羽野 もちろんです。何かの意思決定をするということは、別の選択肢を捨てるということになりますので、その責任は重いと感じています。ただ、大切なことはその意思決定に至ったプロセスだと思います。結局はその意思決定によって世の中で幸せになる人がどれぐらいいるのかが重要なので、最終的に照らし合わせた時に全員が納得できる形にしたい。それこそが、管理職が果たすべき責任じゃないかなと思います。

佐藤 仕事はチームでしていますので、部下の失敗も含めて、自分が責任を取らなくてはいけないなと思うことは頻繁にあります。責任を取るということは、極端な話、自分のこれまでのキャリアも含めて全てを失うこともあり得ます。しかし一つだけ言えることは、喜びとプレッシャーの両方があってはじめて達成感が生まれるということです。

三宅 私も似たようなことを考えていました。確かに上に立てば立つほど判断を求められます。その重圧を跳ねのけて、結果が出た時には大きな達成感が待っています。重圧の中にこそ、喜びがあり、楽しさがあるのだと思います。ただ気分転換も必要ですよね。お二人はどうやって気分転換をされていますか?

羽野 疲れたなと思ったときは、とにかく寝ます。思う存分寝て体力が戻ったら一緒にいると元気が湧く人に会いに行きます。話していて新鮮な発見があれば、私も頑張ろうと思えますので。エネルギッシュな人たちとつながりを持つことをとても大事にしています。

佐藤 私は必ず土日に1時間ずつヨガをやっています。ヨガをやることで自分をリセットしていますね。

三宅 私は、とにかく人と話す時間を作っています。例えば週末にバーベキューをしたり、この前も山へみんなで行きました。仲間と触れ合えば自然と疲れも吹き飛びます。

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最後にメッセージをお願いします。
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羽野 電力完全自由化で、東京電力エナジーパートナーを取り巻く環境も業界自体もどんどん変わっていきます。これまではインフラ業界に入社したらその会社の特定のカルチャーに染まって仕事をすることが当たり前だったかもしれませんが、これからは業界を越えてさまざまな企業の方々とのグラデーションカルチャーの環境の中で仕事をすることが普通になると思います。その時大切になるのが、好奇心。いろいろなことに興味を持って、飛び込んで積極的につながっていくフットワークの軽さとマインドを持った方と一緒にお仕事できると、すごくうれしいです。

三宅 私自身も部門を越えていろいろな経験をさせてもらっていることもあり、「ここは女性だからできない」という仕事はありません。でも今の若い部下を見ていると、諦めが早いなあと思うこともあります。「この仕事はできないからもう駄目だ」など。初めてのことだから出来ないということではなくて、やったことがないというだけです。そういう経験が自分を成長させてくれますので、ぜひ、自分に限界を作らず、何にでもトライしてほしいと思います。

佐藤 私が社内で女性社員によく言うことなのですが、女性は人生の中にいろんなバリエーションを持たせられると思います。「ワークライフバランス」という言葉もありますが、仕事と家庭、仕事と趣味の両立のようなことがとても大切な時代になっていると思っています。
一方、会社生活はそのワークライフバランスの中で非常に大きなウエイトを占めますので会社の業務については、それを自己実現の場だと受け止めてもらいたいです。日々の業務を通じて自分が成長できるのが会社だと思います。会社で過ごす時間をとにかく一生懸命やって、ぜひ夢を叶えに来てほしいと思います。

佐藤 最後に話は変わりますが、「これを学生時代にやっておいたほうがよかったな」と思うことはありますか?

羽野 色々ありますが、塾講師をアルバイトでやっておけばよかったなって思っています。なぜかというと、入社してから出会った塾講師経験者は皆もれなく、打ち合わせで議論をまとめるシーンでのホワイトボードの使い方が本当に上手なんです!学生時代のアルバイトはその後に活かせるスキルを磨くこともできる貴重な時間です。将来、どんな形で役に立つかわかりませんよ、いま学生の皆さんがやっているアルバイトも。

三宅 私は学生時代ずっと部活動をやってきて、その間に培われたチームワークは今に活きていると思います。会社に入ると一人では完結しないことがほとんどで、チームワーク、いわゆるコミュニケーション力があることは大きな強みになります。だから「みんなで何かをする」という経験をしておいたほうがいいですね。それをしやすいのが部活だと思います。

佐藤 確かに活かせる部分は多いですよね。私は、いろんな人と知り合う中で、自分と価値観の違う人や、自分とバックグラウンドが異なる人とのつながりをつくっておくといいと思います。
私は精密機械工学科の卒業ということもあって、ロボットの専門家になった友人が多くいます。以前、配電のためにロボット開発をしようという話が出た時に学生時代の友人とのコラボレーションで新しい分野が開けたことがありました。私の場合は当時同じ分野を学んでいた仲間でしたが、学生のうちから違う分野でがんばっている人とも付き合っておくのもいいんじゃないかなと思います。

羽野 その時、その時に損得を考えるという話ではなくて、いろんなことにチャレンジをしていると自然とそうなるのかもしれませんね。特別に何かを意識するのも大切ですが「今やっていることは、将来なんらかの形で役に立つかもしれない」という気持ちで日々を過ごすということも良いのではないでしょうか。実際、思わぬところで過去の経験や人とのつながりに助けられることはあります。

三宅 確かにそうですね。将来を意識して毎日を過ごすことはとても大切なことかもしれませんね。学生時代も、そしてこれからも。当然私たちもそうですね!

今日はありがとございました!

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