CHALLENGING 02 / THAILAND

挑戦編

タイ・大手発電会社への出資参画プロジェクト

東京電力はこれまでも火力発電所の建設を中心に数々の海外事業を手掛けてきた。
それらとは一線を画する新たな挑戦となったのがタイの大手卸売発電(IPP)事業者である
エレクトリシティ・ジェネレーティング・パブリック・カンパニー社(以下EGCO社)への出資参画だ。

これまで培ってきた海外事業や発電所の建設・運転ノウハウを注入することで
EGCO社の事業基盤を強化し、同社の事業域内における電力事業の発展に貢献するとともに、
廃炉・福島復興に向けた収益拡大を図るプロジェクトが幕を上げた。

中山 晋介
中山 晋介
2000年入社
EGCO国内事業開発部 バイス・プレジデント(出向)
堤 直己
堤 直己
1996年入社
EGCO 海外事業開発第一部 シニア・バイス・プレジデント(出向)

01 Challenging

タイの大手卸売発電事業者EGCO社で東南アジアの開発案件をリードする。

今回出資参画したEGCO社は、これまで主に手掛けてきた単体の発電所の建設・運営を行う案件形態と異なり、同社が複数の発電事業を保有する上場企業であり、新規案件開発や資金調達を自分たちで行う、いわば自己増殖機能を備えている点が大きな特徴だ。“小さな東京電力”の経営に参画すると考えれば分かりやすいかもしれない。ここに登場する2人は、東京電力から初めてEGCO社に派遣され、それぞれのポジションで成果を上げている。EGCO本社に籍を置く中山。彼の役割もまた、従来の海外赴任業務とは異なっていた。「EGCO社自体がタイ国内をはじめ、インドネシア、フィリピンなど東南アジアで発電事業を開発していきます。その中で私は、タイ国内とラオス、ミャンマー、カンボジアの開発案件を担当してきました」。中山はミャンマーの経済特区向け発電事業で政府との開発権交渉や長期売電契約の枠組み交渉など、手さぐりの中でタイ人チームを主導し、軌道に乗せた。

Challenging
Challenging

02 Challenging

国際入札への参画や売り手側との交渉など高度なコミュニケーション力が求められる現場。

堤もまた、EGCO本社に籍を置き別の案件開発の先頭に立っていた。彼が担当する地域は、タイ国外のインドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシアなどの東南アジア諸国。石炭発電所の新規建設案件もしくは、既存設備の買収案件がメインだ。「具体的な業務としては、少人数の開発担当者とともに、社外の各種アドバイザーと開発チームを編成し、プロジェクト開発をリードします。技術、財務、法務等の視点からプロジェクト全体のリスクや課題を的確に把握し、契約交渉を進めていくことが私の役割です」。概要を見ると日本での業務とさほど変わらないようにも見えるが、実際は何から何までが違う。まずEGCO社で働く外国人は10人未満。ほぼタイ人で構成された会社なのだ。日本から急にやってきた外国人リーダーを受け入れてもらうためにタイの文化、風習を理解することからスタートしたことは言うまでもない。

03 Challenging

タイ人の気質を理解しお互いの信頼関係を築くことの大切さ。

「同僚であるタイの方々はみな優しくて人当りがよい。ただ、仕事となると日本との違いに最初はとても戸惑いました」と中山は語る。例えば、タイでは日本のような緻密な計画を策定するために多くの時間を割くことはない。「大まかな方針を決め、後はその時々の事業環境の変化に柔軟に対応していく。日本人には場当たり的に映る対応も、時に非常に効率的で合理的です」。堤も現地で同じような感覚を覚えていた。「タイ人組織で働くことは確かに慣れない面はありました。しかし、対象とするプロジェクト自体が国際案件ですので、一緒に組むパートナーや関係者も自然と国際色豊かになります。その中でリーダーとしてEGCO社の強みを見極め、同社を代表して交渉していかなくてはなりません」。「EGCO社をミニ東電にする必要はないので、彼らの長所に私たちのバリューをさらにプラスできるようにするにはどうしたらいいかを考えつづけました」(中山)。

Challenging

04 Challenging

熾烈を極める東南アジアの電力マーケット。グローバル化の勢いが衰えることはない。

EGCO社が主戦場とする東南アジアは、堅実な電力需要増を背景に、世界中のエネルギー企業が注目する重要なマーケットだ。同社が基盤としてきたタイ市場も競争が熾烈で、従来のシェア確保は容易なことではない。そのためEGCO社は、継続して成長していくために海外へも目を向ける必要があるのだ。「各国の地場の事業者に加えて、日系や欧米の電力会社や商社、最近では韓国や中国の企業が加わり、競争は激しさを増しています。案件を獲得し成長を続けていくためには、世界の会社に勝たないといけないのだということを日々実感しました」。(中山)

05 Challenging

これからの東京電力の1つの方向性。海外事業の礎を築く使命。

この先、エネルギー産業の競争に打ち勝つためには、国内のみならず、世界から技術的に評価され、海外のビジネスチャンスをつかみ、収益を拡大させることが必至だ。「少子高齢化が進む日本で、電力需要が爆発的に伸びることは考えにくく、廃炉や福島復興に充てるための資金を確保するためにも海外、特に東南アジアでの案件成功は外せない。さらに、私たちが案件を成功させることで、その国の発展に大きく寄与することができる。」(中山)。「今まで構築してきた私自身の海外事業開発の知識とアジアでの人的ネットワークを活用して、アジア地域の開発リーダーとして東京電力グループの事業成長を引っ張っていきたい」(堤)。グローバル化の波をチャンスと捉えれば、東京電力が持つ技術力は限りなき可能性に満ちている。

責任編
挑戦編