柔軟で、多種多様なアイディアが溢れる組織へ 
~南横浜火力発電所 後藤所長に聞く~

2017/09/22

圧倒的な国際競争力を持ったエネルギー事業者への変革を進める東京電力フュエル&パワー。変革の実現には、従前のやり方に固執することなく、多様な意見を柔軟に採り入れ自ら変化していくことが重要だ。今回は、本年7月に南横浜火力発電所長に就任した後藤愛野所長に話を聞いた。


初任地は南横浜火力発電所 始発電車で発電機の起動へ駆けつける日々

1988年、東京電力に入社した後藤所長。メーカーと東京電力のどちらに就職するか悩んだが、「発電機器を運用する“ユーザー技術”に惹かれた点と、生活の基盤であるエネルギーに携わり社会に貢献したいという思いから、最終的に当社に入社しました。」と語る。
初任地は、現在自身が所長を務める南横浜火力発電所だ。発電所では、新人は運転員として当直業務に従事することが一般的だが、当時は法律により女性の深夜勤務が禁止されていたことから3交替制の当直勤務ができず、一人変則シフトにて業務に従事していた。「当直業務の醍醐味は、発電機の起動停止。私は深夜勤務が禁止されていたので、早朝の起動に間に合うように始発電車で駆けつけていました。それでも、起動準備の作業には間に合わない。火力発電所の基本は”運転”であり、運転操作を分かっていないと、設備への理解が深まりません。そのため、『環境さえ整っていれば、私も当直業務ができるのに。他の所員と同じようにやりたい。』と、もどかしい思いもしました。」と、当時を振り返る。

その後は、主に発電所の制御設備のメンテナンス業務に携わったが、他にも、建設、設計、システム関係、火力技能訓練センターなど、火力発電の多種多様な業務に従事した。幅広い経験を積んだ後藤所長だが、「当直業務をしていなかったからか、今でも、運転業務に関しては知識が少ないと感じています。」と語る。だが、様々な業務経験のある後藤所長から繰り出される的確な指示と柔軟な判断に対する、所員の信頼は厚い。


他業務を知ることの効果

これまで携わった業務で最も印象的だったのは、「O&M人材育成プロジェクト」の立ち上げだ。発電所では、オペレーションとメンテナンスの役割が分かれているが、プロジェクトは、オペレーションに従事する運転員がメンテナンス工事の設計も実施するというもの。「研修に留まらず、繁忙期には運転員がメンテナンスの応援をするなど、実務にまで繋がる取り組みとなりました。最初はプロジェクトへ反対する方もいて上手くまとまるか不安もありましたが、最終的には、参加者の意見でプロジェクトも深化し、成果に繋がるという素晴らしい経験をしました。」と笑顔で語る姿が印象的だ。さらに、「実は、それまではオペレーションとメンテナンスが立場の違いから対立する場面もあったのですが、プロジェクトで両方を経験したお陰で、両者の風通しもよくなりました。他業務を知ることの効果ですね。」と、副次的にも大きな効果を得られた。

2014年から2年間、東京電力パワーグリッド(PG)埼玉支店志木支社にて副支社長を務めた。後藤所長は「PGでの2年間で得たものは多くあります。実際にその場で”経験”したことは、とても大きな財産です。」と語る。
火力発電所と違い、PGの技術者はお客さまとの接点が多い。一刻を争う現場作業の最中でも、お客さまへ丁寧にご説明しご理解をいただくことが大切だと各技術者が心得ていた。ひとりひとりが技術スキルを積み上げるのと同じく、スポークスマンとしても仕事を通じて成長していく様子に頭が下がった。発電所で働く者にとっては得ることが難しい視点ながらも、競争環境が激化する中、商いをさせていただいているということやお客さまの視点を意識しなければならないと、改めて実感した。
また、初めて外から火力部門を見たことにより分かったこともある。これまで当たり前だと思っていたことでも、外からの目線で見ると新たな発見がある。「外の視点」を知ることができたのも大きな収穫だ。
「所員の皆さんにも、新しい環境へ積極的に出て新たな見方を感じていただきたいと思います。私もその様な機会を用意していきたいと思います。」自身の経験から、所員へも様々な経験を積んでほしいと考えている。


ダイバーシティが進むことにより

これまでの業務で、他業務との交流の重要性を実感した後藤所長。ダイバーシティについては、どう考えているのだろうか。「ダイバーシティは女性活用だけを指すことではありません。ただ、会社に占める女性の割合が半分くらいになれば、自分とは違う意見に対して、より柔軟で寛容な組織になるのではないでしょうか。そうすれば、多種多様なアイディアに溢れ、ますます多様な人材を受け入れる好循環に繋がるのではないかと期待しています。」
所員数約60名の南横浜火力発電所。「小さな発電所ということもあり、コミュニケーションのよい職場で、自主的に考えて動く文化も根付いています。若手やベテラン、男性や女性、技術系や事務系、発電所の協力会社の方々からも多種多様な意見が飛び交い、新たなアイディアが生まれ、更に活気づくよう、これからも働きかけていきたいと思います。」と後藤所長は意気込みを語る。
南横浜火力発電所は、後藤所長の指揮の下どの様な変化を遂げていくだろうか。変革する東京電力の姿が、ここにはある。


※Operation and Maintenanceの略で、発電所の運転管理業務、維持管理業務を行うこと。

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