カイゼン最前線 ~火力発電所でカイゼンマインドを広げるために~

2018/01/04

 東京電力グループ全体で取り組むカイゼン。今回は、東京電力フュエル&パワーから東京パワーテクノロジーへ出向し、カイゼンに日夜取り組む袖ケ浦火力発電所の中島久実子さんに話を聞いた。


「まずはやってみよう」からのスタート

 2016年4月、東京電力フュエル&パワーの火力発電所のメンテナンス作業を請け負う株式会社東京エネシスと東京パワーテクノロジー株式会社による、火力発電所保修工事経常共同企業体(以下、火力保修JV)が設立した。これまで東京電力フュエル&パワーでメンテナンス業務に携わっていた社員は、東京エネシスもしくは東京パワーテクノロジーのいずれかに出向し、火力保修JVにて3社一緒にメンテナンス業務に従事している。
 中島さんも、東京パワーテクノロジーへの出向者の一人だ。現在、火力保修JVのカイゼングループに所属し、東京エネシス社員、東京パワーテクノロジー社員および東京電力フュエル&パワーから両社への出向者と共に、日々、試行錯誤しながら「カイゼン」に取り組んでいる。

 「他社さんの手法を取り入れ、メンテナンス業務をカイゼンすると最初に聞いた時は、私自身『本当にできるのかな』と懐疑的だったのを覚えています。しかし、実際に取り組んでみると、時間や手間を要す作業が目に見えて分かってきました。カイゼンの大目的は、燃料費やメンテナンス費の低減ですが、作業の平準化や少人数化など、日々の業務においてもカイゼンの必要性や効果を納得できることも多く、自然とカイゼンを受け入れていきました。」とカイゼン開始当初の感想を語る中島さん。周囲にも前向きなメンバーがおり、カイゼンに着手しやすかったという。東京電力フュエル&パワーの佐野会長が「まずはやってみよう。」と常々口にしているとおり、発電所でも挑戦する空気が醸成されていた。
 それでも、抵抗感を示すメンバーがいないわけではない。「誰でもそうだと思いますが、新しいことを取り入れる時は抵抗感があるのも事実です。発電所には、東京電力フュエル&パワーの社員だけでなく、協力会社の多くの仲間がいて考え方も人それぞれです。メンテナンス業務に携わって下さっている一人一人に、カイゼンを受け入れていただく必要があります。そのため、協力会社の皆さんと密にコミュニケーションをとって、カイゼンの必要性を理解していただきました。何よりも、実際に取り組んでみて、『やりやすくなった!』と効果を感じていただくのが一番。コミュニケーションと実際の経験を繰り返すことにより、カイゼンのマインドが発電所中に広がっていきました。」と、当時を振り返る。

 


コミュニケーションから生まれるアイディア

 現在は、更なる「カイゼン」がないかブラッシュアップの最中だ。協力会社の方の所作にカイゼンの余地がないか、紙ベースやビデオカメラの記録を用い秒単位または分単位で作業検証をする。重複作業や動線の確認、道具の配置、治具の改良。細かな作業を一つ一つ積み上げ、カイゼンを深化させる。限界までカイゼンを進めていくと、行き詰まる時もある。そんな時、中島さんは、協力会社の皆さんに笑顔で話しかける。「やはり、コミュニケーションが重要。面と向かって話さないと、皆さんの思いや考えが分からない。雑談しながら困っていることはないか尋ね、カイゼンに結びつけられる意見をできるだけ多く吸い上げられるよう努めています。ふとした会話から、打開策を見出せることもあります。」と語る。

 協力会社の皆さんと密にコミュニケーションを取れるようになったのは、火力保修JVの効果の一つだ。火力保修JVを設立し、東京電力フュエル&パワーの社員が出向するまでは、同じ発電所内でも別の建物におり、電話やメールでのやりとりが多かった。それが、今ではデスクを並べて仕事している。「『あ!このアイディアいいかも!』と思えば、すぐにその場で相談できる。出向し、同じ発電所の仲間として日々過ごしているからこそ、困っていることなども話しやすいのではないかと思います。」と中島さん。

 


カイゼンはアイディアの宝庫

 試行錯誤しながら検討した施策が上手くマッチした時、達成感、そして大きな感動があるという。「カイゼンはアイディアの宝庫です。現在、各火力発電所からの代表者で分科会を開き検討をしたり、カイゼン事例を火力発電所間で横展開したりしていますが、いずれは、東京電力フュエル&パワーの枠組みを超えて、グループ会社や他社で当社のカイゼン事例を使っていただけるような方法を見出せたらと思います。」と夢を語る中島さん。
 目下の目標は、「生産性5倍増・工数80%削減」だ。「カイゼンに終わりはない、と言います。これからも、協力会社の皆さんと切磋琢磨しカイゼンを進めていきます。」という彼女の言葉には、頼もしさを感じる。
 カイゼン最前線の火力発電所。ここは、活発なコミュニケーションからカイゼンを生み出す現場だった。

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