対話活動、リスク管理、情報公開…。積極的なコミュニケーションを推進する『リスクコミュニケーター』という存在。

2016/05/17

現在、東京電力ホールディングス本社のソーシャル・コミュニケーション室が、本社や各原子力発電所等に配置しているリスクコミュニケーター。これまでのコミュニケーション活動とは一線を画すその取り組みについて、それぞれの現場で活動する3名に話を聞きました。

※写真左から順に

<リスクコミュニケーター>
佐藤 英雄(さとう ひでお)
所属:渉外・広報ユニット ソーシャル・コミュニケーション室 兼柏崎刈羽原子力発電所 広報部リスクコミュニケーター
原子力部門出身。主に地域住民の方へのご説明に取り組む。

白井 功(しらい いさお)
所属:渉外・広報ユニット ソーシャル・コミュニケーション室 兼広報室リスクコミュニケーター 兼原子力・立地本部長代理
原子力部門出身。主に東京電力ホールディングス本社で行う原子力定例記者会見に取り組む。

内藤 保(ないとう たもつ)
所属:渉外・広報ユニット ソーシャル・コミュニケーション室 兼福島第一廃炉推進カンパニー運営総括部 広報部リスクコミュニケーター
営業部門出身。主に福島第一原子力発電所の情報収集・発信に取り組む。

<司会・進行>
下村 真功(しもむら まこと)
所属:渉外・広報ユニット ソーシャル・コミュニケーション室
リスクコミュニケーターと連携し、原子力部門を中心とした情報公開の推進に取り組む。

「原子力に絶対安全はない」という大前提のもと、積極的にリスクを公表

下村:「原子力安全改革プラン」(2013年3月公表)の中で、福島原子力事故の根本原因の一つとして「対話力の不足」を認識したことから、ソーシャル・コミュニケーション室およびリスクコミュニケーター(以下、RC)を2013年4月より設置しています。

下村:事故前の私たちは、事故のリスクを表明することで、過剰な対策を求められるという思い込みにより、安全対策の必要性について、思考停止状態に陥っていました。この認識を改め、今後は、「原子力に絶対安全(ゼロリスク)はない」という考えのもと、積極的にリスクを公表し、社会の尺度や目線に合わせたリスクコミュニケーションを推進しています。

下村:RCは、原子力技術者を中心に、情報収集力・対話力・論理的提言力を有する者から人選しており、発電所周辺地域の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまとの対話活動を行うとともに、社内のリスク情報を幅広く収集し、経営層への提言を行います。当初の24名から、現在は8拠点で40名が活動しています。

潜在的なリスクを掘り起こし、対応方針を提言

白井:私は現在、東京電力ホールディングス本社の広報室で、毎週の原子力定例記者会見等、主にマスコミの皆さまへ向けた情報発信を担当しています。原子力の安全性や、放射性物質に関する情報への社会の関心の高さは実感するところであり、こちらから積極的に情報発信をしていきます。昨年の4月以降は、放射線に関する全データをご提供できるように努めています。

白井:福島の事故以前、私たちは公表する情報について「ここまでは必要とされていないのではないか」という壁を、自分たちで設けてしまっていました。しかし、情報はさまざまな方がさまざまな視点で受け止めるものであり、現在は、すべての放射線データを公表することが責任だと考えています。

佐藤:私は、柏崎刈羽原子力発電所で主に安全性向上への取り組み等、地域の皆さまへのご説明を担当させていただいています。また、発電所各部署で「普段と違ったことはないか」「困ったことは起きていないか」と尋ね、情報を収集し、トラブルの予兆等が確認できれば、その段階でも必要に応じて公表するよう、社内に提言しています。

佐藤:RCは社内的な常識ではなく、社会の皆さまが疑問に思うことは何か等、外から見た感覚を持って、社内情報を吸い上げることも重要な役割としています。

内藤:私は福島第一原子力発電所で主に社内情報の収集に携わっていますが、「現地・現場・現物」を大切に、自分の目で見て耳で聞くことができるよう、常に現場を訪ね、会議にも顔を出し、RCとしての価値判断で意見することを心がけています。

内藤:私は、RCとしては数少ない営業部門出身ですので、技術に関する詳しい知識はありません。しかし、だからこそ持つことができる素朴な視点も重要だと認識し、「どうして?」「なぜ?」と、いつも疑問を持つようにしています。

写真、図解、用語の言い換え…、よりわかりやすく伝えるための工夫

内藤:情報発信においては、とにかくわかりやすく伝えることを大切にしています。例えば、ある出来事を伝える現場からの情報が、複雑な数値データだったとします。しかし、それが意味することを読み解くのは専門家でなければ困難です。また、多くの人々が知りたいのは、単なる数値データではなく、その出来事が、例えば環境にどのような影響をもたらすものか、ということだと思われます。そういった視点を社内に広げ、伝わりやすい、わかりやすい情報発信を実践していくこともRCの役割です。

白井:用語ひとつにしても、難しい表現を使わず、誰もがわかりやすい言い方を用いるようにしています。例えば、原子力部門では略称で呼ばれている「RHRS(アール・エイチ・アール・エス)」は、「残留熱除去海水系」という設備ですが、それでも一般的には意味が伝わりません。そこで、例えば「原子炉を冷却する水を冷やすための海水を送る設備」というように言い換えます。

白井:また、写真や図解をできる限り使うとともに、数値データを出す場合でも、「今回の被ばく量は、レントゲン撮影であれば1回分です」というように、身近な例と併せて紹介できるようにしています。

白井:加えて、これは当然のことですが、「事実を正しく伝える」ように努めています。現状でわからないことはわからないと正直に伝え、調査の進捗や結果をまとめられる時期の見通し等をお伝えします。あやふやな伝達はせず、明確にお応えすることが重要です。

白井:また、ご説明させていただく方の知識や専門性のレベルにあわせて、言葉を選ぶように注意しています。

少しでもご安心いただくための取り組み─「皆さまからの声」を胸に

佐藤:膨大な情報をわかりやすくお届けしていくためには、情報を整理して発信することも大切です。そのために、地域の皆さまがどのようなことにご興味・ご関心をお持ちなのかということを、とても大切にしています。

白井:皆さまのご意見をお伺いすることは、リスクコミュニケーションにおいて欠かすことができません。私のいまの役割は、福島第一原子力発電所で行われている廃炉事業の進捗や、具体的なリスクをわかりやすくお知らせすることですが、トラブルや進捗情報以外に、皆さまがどのような情報を求められているのか把握し、更に求められていることにお応えしていきたいです。お知らせすることによって、少しでもご安心いただけるのであれば、その全てにお応えしたいと考えています。

白井:また、そうした社会のいまの感覚を社内に伝え、積極的に情報を公開していくことの意義を共有し、意識として根付かせることも大切です。皆さまからいただく声の一つひとつからは、貴重なヒントを見つけることができます。

下村:このようにRCは、発電所におけるリスクや対策の進捗等について、自治体、マスコミ、そして住民の皆さま等にご理解いただくことを大切にお伝えしており、地元の方からも「わかりやすくなった」「『全ての情報を公開する』という姿勢が伝わってくる」といった評価もいただけるようになってきました。しかし私たちはそのような評価に甘んじることなく、これからも積極的な情報公開とコミュニケーションを行い、地域や社会の皆さまに信頼いただけるよう、一歩一歩進んでいきたいと思います。

名称・肩書は取材時のものです。

これまでのリスクコミュニケーション活動

これまでに行なったリスクコミュニケーション活動の一部をご紹介いたします。

外交団等への説明会の様子(2015年9月)

女性のための意見交換会の様子(2015年11月)

福島県原子力発電所の廃炉に関する安全確保県民会議の様子(2015年12月)

原子力定例記者会見の様子(2016年4月、写真中央は白井RC)

関連ページ一覧

  • 地域対話の取り組み

    私たちは、福島原子力事故の教訓を活かし、自治体、関係団体や地域住民の皆さまに対して積極的な情報公開とコミュニケーションを行なっていきます。

  • 情報の公開

    福島第一原子力発電所の事故を受け、私たちはリスクの総点検や公開、発表・資料の分かりやすさの向上などに取り組みました。現在は、放射線データの全数公開を実施しており、今後も、社会・地域の皆さまからご意見をいただきながら、分かりやすい情報公開に努めてまいります。

  • 福島第一原子力発電所における日々の放射性物質の分析結果

    地域・社会の皆さまに放射能濃度の状況をご確認いただけるよう、発電所において、以下の試料採取・放射能濃度の測定を行い、その結果をお知らせしております。

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