収益の拡大と国際貢献を目指す、
海外での新規水力発電事業への挑戦

2017/12/22

東京電力ホールディングスのリニューアブルパワー・カンパニーは、国内で培った水力発電の技術や運用ノウハウを活用し、海外の有望地点を発掘・開発することで、電力の安定供給に貢献するとともに収益の大幅な拡大を目指しています。ゼロからのスタートとなるこの新規事業を担当する二人の社員が、はじめて挑戦する海外事業への取り組みについて語ります。

東京電力ホールディングス株式会社
リニューアブルパワー・カンパニー
開発グループ 案件形成チームリーダー

城崎 千之

1999年入社。松田工務所(現小田原支社)で水力発電所の保守・管理に携わったのち、本社の工務部水力発電グループで水力発電に従事する社員の人材育成を担当。その後、建設部で海外コンサルティング業務を担当し、約1年半ミャンマーに駐在。2016年7月より現職。

東京電力ホールディングス株式会社
リニューアブルパワー・カンパニー
開発グループ 投資総括チームリーダー

鳥飼 友美

2002年入社。横浜支社(現神奈川総支社)と本社で通信設備の保守・管理に携わったのち、2014年からカスタマーサービス・カンパニー(現エナジーパートナー)で「でんき家計簿」などのシステム開発・保守などを担当。2015年12月より現職。

海外での水力開発は、前途有望な新規事業

城崎「東京電力は電力全面自由化後の新しい競争社会のなかで、これまで培ってきた技術と経験をいかし、国内のみならずグローバルに展開する新規事業にも積極的に取り組んでいます。海外での水力発電事業の開発もそのひとつです。水力はCO2を排出しないクリーンな再生可能エネルギーですが、国内での大規模な開発はほぼ終わっています。しかし、海外に目を向ければ、アジアを中心に水力発電に適した有望地点が数多くあり、電力の供給と地球環境保全を両立できる水力発電は、中・低所得国のサステナブルな経済社会発展を促すなど国際貢献にもつながるやりがいのある事業です。その新規事業への私たちの挑戦はまだはじまったばかりで、現在は、第一号案件の成立に向けて全力で取り組んでいるところです」

鳥飼「東京電力は、長年海外での水力発電のコンサルティングに携わってきましたが、投資家として主体的な立場で新規事業投資を行うのははじめての取り組みです。山間部で開発する水力発電は、険しい山中で行う工事などに困難が伴い、費用もかさみますからリスクもあります。それでも、ひとたびダムや発電所などの設備が完成すれば、水という自然の恵みを存分に利用することができるので、コストを押さえたうえで環境にやさしい発電が可能です。ですから私たちは、初期投資のリスクを最小限にする努力をし、収益が期待できる前途有望な新規事業として、海外での水力発電の開発に取り組んでいます」

それぞれの役割を担い、第一号案件の成立を目指す

城崎「私の所属している案件形成チームの主な業務は、水力発電の開発が可能な地点を世界中でみつけることです。そのためには豊富な水量があり、ダムの建設にも適した地形を選定して事前調査を行いますが、技術的に可能な地点を発掘することともに、国の担当者、投資のパートナー、協力企業、地域の方々など多くの関係者と協力体制を築くことが大事です。その第一歩として、インドネシア、ラオス、ミャンマー、ネパール、インド、ベトナムなど多くの国や地域へ足を運びました。また、私たちは、こうした海外の方々の日本での視察も積極的に受け入れています。ラオス国を例にとると、今年の6月に来日中のトンルン首相との面談を行い、当社の取り組みをご説明するとともに、10月には視察団が来日し、水力をはじめとした再生可能エネルギーの発電設備や制御システムなどを見学し、当社が持つ最先端の発電技術や長年培った運用ノウハウに直接触れていただくことで、理解と信頼関係を深めることができました」

鳥飼「城崎さんたちが世界中を飛びまわって発掘した手応えのある案件について、リスクを含め、あらゆる面から精査するのが私たち投資総括チームの役割です。その国の治安や政治情勢、経済や投資環境はもちろん、水力発電設備が完成したあとの将来にわたる事業の継続性まで見極め、広い視野で徹底した情報収集を行います。その過程では、独自の調査だけでなく、法務、財務、技術など社内外の専門家の力も借りながら、その案件が発電事業として成立することができるかどうか、さまざまな側面からの精査を行っています」

立ちはだかる壁を乗り越え、世界を舞台に挑戦を続ける

城崎「私は入社以来ずっと、水力発電の技術的検討や保守・運用に携わってきたので、海外での新規事業の立ち上げというはじめての経験では戸惑うことも多くあります。海外で新規事業を実施するためには、その国の制度や事業環境に精通したパートナーとの協働が必要となります。そのため、海外の投資パートナーとの交渉には大変苦労しています。相手の信頼を勝ち取るためには、東京電力の強みである技術力を丁寧に、そして熱意をもってアピールすることが重要です。最初は思っていることをうまく英語で伝えられずに敗北感を味わうことも多々ありました。ですから今は、交渉の場がつねに明るい雰囲気となるよう心掛けつつ、言葉の違いで誤解が生じないよう、どんなやりとりも一つ一つ確認しながら進めています。今後も実際の経験を重ねながら、英語での交渉力を高める努力をしていきたいと思います」

鳥飼「金融・財務の専門用語や水力発電の技術用語などは日本語でも難しいですから、私も英語には苦労しています。言葉の壁以外にも、出張ではじめて訪れる国では、事前の準備や情報ではわからなかったその国独自の習慣などに困惑することもあり、その度に、世界にはまだまだ自分の知らないことがたくさんあるのだと思い知らされます。でも、日本との違いに戸惑うのははじめのうちだけで、現地の方々と一緒に開発現場の山中に入ったりしながらともに過ごすうちに、互いの間に自然と絆が生まれます。それはとてもうれしいことですし、はじめて挑戦している世界という舞台で、同じ目標に向かって協力できる仲間がいることは、私に大きな勇気を与えてくれます」

城崎「水力発電の開発により、その国の電力の安定供給に貢献するのはもちろんですが、それと同時に、私たちは福島への責任を果たすため、この新規事業でしっかりと収益を上げていかなくてはなりません。その挑戦はまだはじまったばかりで、目の前にはたくさんの壁もありますが、その壁を乗り越えながら、まずは第一号案件の成立を目指し、一歩ずつ着実に前進していきたいと思います」

鳥飼「私は入社以来ずっと、新しいことに挑戦したいという思いがありました。その願いが叶い、今、海外での新規事業の立ち上げに携われることにたいへん感謝しています。その思いとともに、福島の復興という大きな目的を忘れることなく、これからも日々の挑戦を続けていきたいと思います」

関連情報

  • リニューアブルパワー・カンパニー

    東京電力ホールディングスの社内カンパニーであるリニューアブルパワー・カンパニーは、水力・新エネルギー発電事業を担っています。

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    ふるさとの自然が生み出すエネルギーで、
    ココロもつながる新サービスが始まります。

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