尾瀬を知る

尾瀬だより

第4回 「夏シーズンの足おと」

平成22年7月11日

7月は、至仏山の山開きでスタートを切りました。いよいよ、本格的な夏のシーズンです。一方、天気はすぐれず、じめじめとした日々が続いているようです。そんなお天気に負けるものかと、尾瀬ヶ原ではワタスゲが広がり、色とりどりの様々な植物が顔を出し始めました。

さて、今回は、竹内桑原が「TEPCOのECO対談」で脳科学者の茂木健一郎さんと尾瀬に行ってきた様子や至仏山で見られる植物をご紹介します。ぜひご覧ください。

【至仏山山開き】
7月1日、至仏山の山開きが行われました。テープカットが終わったあと、至仏山に登るのを待ちわびていたハイカーたちが頂上を目指して行きました。今年も事故が起きないよう、しっかりと安全登山を祈願してきました。至仏山では、植生保護と滑落防止の観点から歩くルートを限定しています。道を外すことによって植物が育たなくなる恐れがありますので、決して踏み外さないよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

(7月1日 鳩待峠)

【オゼソウ】
6月30日、至仏山の山開きに先立って、尾瀬の関係者や専門家の先生による環境調査が行われました。この模様は、次回以降、お伝えいたします。至仏山は蛇紋岩で形成された山で、氷河期から生き残った北方系の珍しい植物が多く見られると言われています。オゼソウは、至仏山で発見され、その名前が付いたと言われています。国内では至仏山と谷川岳、天塩山でしか見ることができない珍しい植物だそうです。

(6月30日 至仏山)

【ジョウシュウアズマギク】
至仏山と谷川岳の蛇紋岩に見られ、また蛇紋岩の影響を受けて変形したと言われる植物で、「蛇紋岩変形植物」とも呼ばれているそうです。この植物が主に、群馬県で見られることからジョウシュウ(上州)で見られることから名付けられたそうです。

(6月30日 至仏山)

【シナノキンバイ】
至仏山や研究見本園、大江湿原などで見られ、沢沿いや雪渓が残るようなやや湿った場所で咲いています。緑の中に輝く黄金色があざやかに栄える花のようですが、実は、黄色い部分は花びらではなく蕚(がく)だそうです。至仏山に登るときは、ぜひ見つけてみてくださいね。

(6月30日 至仏山)

【ガクウラジロヨウラク】
尾瀬ヶ原の方でも様々な植物が見られるようになりました。ガクウラジロヨウラクは、垂れ下がるように5~10個の釣鐘型の花を咲かせます。写真の花を観察すると、名前の由来である緑色の「蕚(がく)」が長く伸びているのがわかりますよね。尾瀬では木道の左右でこの蕚の伸びたものと蕚の無いウラジロヨウラクを見ることができるそうです。また、蕚の伸びたものは日本海側で、蕚の無いものは太平洋側にて多く見られるそうです。植物の生命とは不思議なものですね。

(6月28日 上田代)

【ギンリョウソウ】
樹林帯の湿った場所で見られる植物です。透き通ったような、真っ白い姿をしていました。葉がないので、光合成は行なわず、生物の死体や排出物などから栄養をとっている植物(腐敗菌)だそうです。

(6月28日 長沢道)

【アマドコロ】
尾瀬では、似たもの植物がいくつか見られます。このアマドコロとナルコユリもそのひとつと言われています。茎(クキ)を触って多角形になっているのがアマドコロ、丸ければナルコユリとなるそうです。山ノ鼻から尾瀬ヶ原に向かう途中にある川上橋を渡ったすぐの拠水林沿いに、両方見ることができるそうです。

(6月28日 上田代)

【ホウチャクソウ】
隣の花・アマドコロと似ているホウチャクソウ。茎の先端部分で咲くことから見分けることができるそうです。一見、白く可憐な雰囲気のする花のように見えますが、毒草と言われているそうです。植物にも「裏」の顔がありますね・・・。

(7月4日 鳩待~山ノ鼻間)

【ワタスゲ】
今年はワタスゲのアタリ年だそうです。白い花穂(かすい)が延々と広がり、風にそよそよと揺らぐようすは一見の価値があります。また、ニッコウキスゲの花芽も膨らみ始め、スタッフによると尾瀬ヶ原での見頃は7月中旬頃になるだろうとのことでした。   
以上、7月植物のご紹介でした。

(7月3日 尾瀬ヶ原)

【水位観測調査】
昨年度から牛首~ヨッピ吊橋間、竜宮~ヨッピ吊橋間、ヨッピ吊橋~東電小屋間の木道脇に計18箇所設置し、雨が降った後、湿原内の雨水の水位変動を調査しています。この日も大雨が降ったあとで、早速、環境保全スタッフが出向いて観測していました。

(6月28日 牛首周辺)

【脳科学者・茂木健一郎さんと対談】
永年尾瀬保護活動担当の竹内です。「TEPCOのECO対談」で脳科学者の茂木健一郎さんと一緒に尾瀬に行ってきました。尾瀬を訪れるのは20年越しの夢だったそうで、ワタスゲの果穂が風にそよぐ幻想的な風景に夢中になっていらっしゃいました。「尾瀬は最高にラグジュアリーな場所だね!」と仰って頂いて、私も嬉しくなりました。この対談の様子は7月15日にこのHPに掲載します。お楽しみに!

(6月20日 尾瀬ヶ原)

【尾瀬の楽しみ方(裏技?!)】
私がお勧めしたのが、木道に寝転がって空を眺めること。大きな空と一体化するような感覚が味わえるので木道工事の立ち会いなどの休憩時間によく楽しんでいました。「こういう角度で尾瀬を楽しめるとはね~」と茂木さんもお気に入りの様子。今はあまり訪れる人がいないアヤメ平だからこその尾瀬満喫法でした!

(6月20日 アヤメ平)

【久しぶりの尾瀬で】
久しぶりの尾瀬にテンションが高くなってしまいました。何を見ても、誰と会っても「ただいま!」と言いたくなるのでした。

(6月20日 尾瀬ヶ原)

【誕生日ケーキに入刀】
この日は私の誕生日前夜祭(?)ということで、東京電力環境保全スタッフのみんながケーキを用意してくれました。普通誕生日ケーキではやらないと思うのですが、なぜか茂木さんと二人でケーキ入刀の儀式を楽しみました!

(6月20日 東電小屋)

【鳩待峠にて】
1泊2日で尾瀬を満喫し、鳩待峠に戻ってきました。今回は、桑原も一緒に参加しました。茂木先生は、群馬県尾瀬学校で来ていた生徒さん達と競い合うかのように歩いていましたが、息一つ乱さず!日ごろから脳も身体も鍛えていらっしゃるんでしょうね。

(6月21日 鳩待峠)

【あぁ幸せ】
茂木さん達とは鳩待峠でお別れし、私はまた尾瀬ヶ原に戻りました。翌日一日お休みを頂けたので、今までお世話になった方達にいろいろご挨拶してきたのです。そしてこの日は私の誕生日ということで、至仏山荘のみんなが手作りケーキ、贅沢なお刺身盛り合わせ(山でなかなか食べられないでしょう、とわざわざ買い出しに行ってくれたとか。。。)などでお祝いしてくれました。なんと幸せな尾瀬保護活動担当でしょうか!

(6月21日 至仏山荘)

【至仏山荘のみんなと】
翌朝みんなと記念撮影。台湾から来たばかりなのに流ちょうな日本語を話し、中華風のまかない料理を食べさせてくれたシンピンちゃん、気配り上手の良太君、はにかみ屋の萩原さん、手作りパンを作ってくれた橋詰君、自衛隊にいた経験もある「静かな力持ち」山崎さん、パティシエ顔負けのケーキを焼いてくれたルミちゃん、支配人としてみんなをもり立てるかべちゃん、そして至仏山荘の父と母である植さんとゆうこりん。この日お休みだったジャイアン君も含めて本当にお世話になりました。また遊びに来ます!それまで元気でね!
以上、竹内からの報告でした。

(6月22日 至仏山荘)

次回は、7月下旬頃、至仏山環境調査、スタッフたちの活躍の様子などを中心にお届けします。

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