電柱のない安全で美しい街並みを目指す、無電柱化への取り組み

2017/06/16

無電柱化とは、地上の配電線を地中に埋め、電柱をなくして安全で美しい街並みを実現すること。日本ではこの無電柱化がなかなか進まず、世界の主要都市であるパリ、ロンドン、香港の無電柱化率100パーセントに対し、東京23区では47パーセントとなっています。そこで今回は、行政や他の事業者と協力しながらこの現状を打破し、無電柱化をさらに加速しようと邁進する二人の社員が、それぞれの思いとともに無電柱化への取り組みについて語ります。

東京電力パワーグリッド株式会社
配電部 無電柱化推進グループ

森田 貢一郎

2000年入社。東京東支店(現上野支社)・足立、葛飾配電保守グループで配電設備の保守・保全を担当。その後、渋谷支社・地中配電建設グループ、東京総支社・地中化計画整備グループ、本社・配電企画グループを経て、2016年9月、配電部・無電柱化推進グループ発足とともに現職。

東京電力パワーグリッド株式会社
配電部 無電柱化推進グループ

水口 慶一

2010年入社。立川支社・配電保守グループで配電設備の保守・保全を担当。その後、青梅営業センター・配電建設グループで工事の監理業務に携わる。2015年7月に本社・配電部配電工事監理グループへ配属となり、2017年2月より現職。

新たな都市景観を創造する無電柱化には、行政・地域住民との連携が不可欠

森田:「ヨーロッパには電柱のない美しい街並みが広がっているのに、東京の空にはどうして電線が張り巡らされているのだろう、という疑問を多くの方が持たれていると思います。それには日本独自の事情や背景があります。日本では、戦後の復興期に、時間やコストのかかる無電柱化による電力供給ではなく、迅速対応が可能な電柱を建てて電力を供給することを優先し、その電力が高度経済成長を支えました。その役割を果たした地上の配電線を地中に埋め、新たな都市景観を創造するための取り組みが、1986年度から国の主導で進められており、東京電力パワーグリッドでも、無電柱化をより一層推進するために専任のグループを2016年9月に発足させました。その中での私の業務は、現場の作業をスムーズに進行するための支援や、無電柱化に関するさまざまな問い合わせへの対応を行うことです」

無電柱化の屋外展示モデルがある東京電力総合研修センター(東京都日野市)にて見学者にご挨拶するふたり

水口:「発電所で発電された電気は、送電線、変電所、配電線を経由し、さらに電柱の変圧器でご使用される設備に適した電圧に調整され、電気をご使用される皆さまのもとへ届きます。こうした電気の流れのなかで、変電所を経由したあと、最終的に電気を送るために必要な配電設備の管理を行っているのが、私たち東京電力パワーグリッド・配電部です。その配電設備を地中に埋め、安全で快適な空間を創造する無電柱化も、管理者である私たちが担う大きな役割のひとつです。無電柱化の推進は、道路管理者である行政と地域住民の方々との連携が不可欠であるため、私の業務は、主にそうした行政と協議を行うことで、無電柱化に関する法案や制度策定の際には、電線管理者としての立場から、よりよい整備事業を行うための要望やご提案をさせていただいています」

無電柱化のモデル設備を見学者に説明する森田さん

無電柱化への道のりに立ちはだかる、さまざまな課題と困難

森田:「これまで無電柱化がなかなか進まなかったのには、主に3つの理由があります。それは、コストと時間、無電柱化した際に設置する必要のある地上機器の設置場所の問題です。まずコストですが、1kmあたりの無電柱化整備費用は約5億円と言われております。その内、約1/3を電線管理者である私たちが負担をしていますが、当社として無電柱化にかかわる建設コストは、電柱などで建設する場合と比較して約10倍かかるという課題があります。また、無電柱化は設計から工事がすべて完了するまでに、約5〜7年という長い年月がかかります。それは、配電線だけでなく、通信事業者やガス・水道事業者など、関係する事業者間の要望を集約、調整する必要がありますし、掘削を伴う工事も簡単ではないからです。また、地上機器の設置場所や、長期間の工事については、地域の方々のご理解を得るのが難しいという現状もあります。今後、主要道路だけでなく狭い道路の無電柱化を実現するためにも、地上機器のイノベーションを進めることが必要となります」

水口:「そうした課題の解決に向けて、私たちは全力で取り組んでいます。材料費をできる限り低く抑え、コンパクトで安価な機器・機材の開発に取り組み、これまでの工事手法にとらわれない大胆な改革を実行しながら、行政とも協力して効率的な工事手法を導入し、コスト削減、工期短縮を目指しています。また、過去より取り組んできた技術開発の成果により、地上機器のコンパクト化が進み、現在の大きさとなりました。今後は狭いスペースにも設置できるような、よりコンパクトな地上機器を検討開発していきます。現在、東京電力パワーグリッドでは、全社をあげて生産性倍増に取り組んでいますが、私たち配電部でも分単位で作業工程を見直し、電柱の建て替え作業などで大きな成果を上げています。今後はそうした手法を無電柱化にも応用していきたいですね」

無電柱化のモデル設備を見学者に説明する水口さん

(左)無電柱化前の埼玉県川越市「時の鐘」周辺。電柱・電線が通行や視界を妨げていた
(右)無電柱化後の埼玉県川越市「時の鐘」周辺。通行路や景観が向上し、観光振興にもつながった

地上からも地下からも、安心安全に電気をお届けするために

森田:「子供の頃、高い所に上るのが大好きだった私は、電柱の上で活躍する作業員の姿にあこがれて東京電力に入社しました。それが今では、電柱をなくす仕事に従事することになりましたが、さまざまな課題の克服にやりがいを感じますし、日々の業務にも前向きに取り組んでいます。そう思えるのは、配電設備の保守・保全も無電柱化の推進も、安心安全な電気を安定して電気をご使用される皆さまにお届けするという大きな使命に変わりはないからです。入社当時、研修を終え、はじめて現場の電柱に昇った時に感じた責任の重さと緊張感は、今でも忘れることができません。これからもそのときと同じ思いを持ち、地上からの電気を地下からも安定してお届けすることができるよう、無電柱化の推進に全力で取り組んでいきたいと思います」

水口:「私も森田さんと同じように、電柱に昇っていたときのことを忘れることはできません。停電の復旧作業を終え、電柱の上でスイッチを入れた瞬間に、街中に明かりが点く光景を見たときは本当に感動しました。私は、暮らしや産業に欠かせない電気を安定供給する仕事を通して、社会貢献をしたいという思いから東京電力に入社しました。無電柱化には、防災機能の強化、快適な通行空間の確保、景観の向上や観光振興などさまざまなメリットがあり、それは、入社の動機だった社会貢献にもつながります。無電柱化に向けての関係者との話し合いでは調整が難航することもあり、課題も山積みですが、今は苦労よりもそれを乗り越えることにやりがいや達成感を感じています。無電柱化の整備事業には、まだたくさんの壁がありますが、「無電柱化推進」という同じ目標を持つ仲間とともにそれを乗り越え、これからも目標に向かって邁進していきたいと思います」

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