巨大な津波を予想することが困難であったという理由で、福島原子力事故の原因を天災として片づけてはならず、人智を尽くした事前の備えによって防ぐべき事故を防げなかった。

東京電力は、福島第一原子力発電所の設置の許可を得るために、1966年7月に原子力発電設備の仕様や安全設計方針、安全解析の結果を記載した設置許可申請書を国に提出しました。そこでは、多重の安全設備が確実に機能して、原子炉の停止、冷却、放射性物資の放出防止が図られることを説明していました。
しかしながら、2011年3月11日の地震と津波により、事故の収束に有効に作動すると説明していた安全設備のほとんどすべてが機能喪失しました。
このような事態に至ってしまったのは、設計段階において外的事象(地震と津波)を起因とする共通原因故障への配慮が足りなかったことが原因です。
さらに、運転開始後にも海外の安全強化策に対して収集・分析して活用する仕組みが不足しており、設備の継続的な安全性の向上が十分ではありませんでした。
当社は、設計段階の技術力不足、さらにその後の継続的な安全性向上の努力不足により、炉心溶解、さらには広域に大量の放射性物質を放出させるという深刻な事故を引き起こしましたことを、深く反省いたします。
さらには、事故発生以降、広報活動全般が迅速さと適切さを欠いていました。広報活動の迅速さと適切さを欠いた結果、当社が立地地域のみなさま、全国・全世界の方々の不安や不信を招いてしまったことを深く反省いたします。

福島第一原子力発電所事故総括の概念図