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プレスリリース 2010年

福島第一原子力発電所5号機における原子炉自動停止に関する調査結果について

                             平成22年12月22日
                             東京電力株式会社

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<概要>
(事象の発生状況)
 ・平成22年11月2日、5号機において、制御棒のパターン調整を行っていたとこ
  ろ、原子炉水位高警報が発生し、タービンならびに原子炉が自動停止いたしま
  した。
(調査結果)
 ・原子炉出力を下げる操作中、原子炉水位の上昇傾向がみられたことから、原子
  炉水位を安定させるために、原子炉へ給水するポンプの操作を手動で行ったも
  のの、制御が不調であり水位調整が適切に行えませんでした。
 ・原子炉へ給水するポンプの回転数を制御する装置内にある回転棒とレバーの間
  に塗布されているグリス(油)が劣化し、レバーの動きが悪くなっており、制
  御信号どおりに原子炉への給水が制御されませんでした。
 ・第11回定期検査から第17回定期検査の期間においては、設備の改良などにあわ
  せ制御装置の分解点検を行った際、グリス(油)の交換を行ったことがありま
  した。
 ・第18回定期検査以降は、制御装置の分解点検を行う機会となる設備の改良など
  がなく、定期検査毎に制御装置の動作確認を行うことで健全性を確認していた
  ことから、グリス(油)の交換を行っていませんでした。
(推定原因)
 ・制御装置の動作確認を行うことで健全性を確認していたものの、グリス(油)
  の交換を行っていなかったことから、制御装置の回転棒とレバーの間の抵抗が
  増大し動きが悪くなりました。
 ・その結果、制御装置が給水流量制御信号に対して正確に動作できなくなり、原
  子炉の水位調整が不調となったことから、原子炉水位が変動し、タービンなら
  びに原子炉が自動停止したものと推定いたしました。
(対策)
 ・制御装置の分解点検を行い、回転棒およびグリス(油)の交換を行うとともに、
  制御装置の健全性を確認しました。
 ・今後定期的に制御装置の分解点検を実施し、回転棒とレバー部のグリス(油)
  の交換を行います。
(今後の予定)
 ・今後、準備が整い次第、制御棒の引き抜き操作を開始し、原子炉を起動する予
  定です。
詳細は以下のとおりです。
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1.事象の発生状況
  平成22年11月2日、運転中の福島第一原子力発電所5号機(沸騰水型、定格出
 力78万4千キロワット)において、制御棒パターン調整*1を実施していたとこ
 ろ、午後7時7分に「原子炉水位高」警報が発生したため、原子炉水位の調整を
 行っておりましたが、午後7時12分、タービンならびに原子炉が自動停止いたし
 ました。
  主排気筒放射線モニタおよび空間線量率を測定するため発電所周辺に設置され
 ているモニタリングポストは通常の変動の範囲内であり、本事象による外部への
 放射能の影響はありませんでした。
               (平成22年11月2日お知らせ済み・公表区分I)

2.調査結果
  調査の結果、以下のことがわかりました。
(1)プラントの状況に関する調査関係
 ・制御棒パターン調整を実施するため、当社運転員は原子炉出力を下げる操作を
  行っており、発電機出力を81万キロワットから70万キロワットまで降下させる
  予定だったこと。
 ・通常、原子炉出力を下げる操作を行う場合、原子炉内で発生する蒸気量が減少
  することから、原子炉への給水量も自動で減少し、原子炉水位は一定になるよ
  う制御される。しかしながら、今回、原子炉水位の上昇傾向が継続したことか
  ら、原子炉出力を下げる操作を中断し、原子炉水位の監視および原子炉への給
  水の操作に注力したこと。
 ・原子炉水位の上昇傾向が見られたこと、および、タービン駆動原子炉給水ポン
  プ*2(B)の給水量が増加していたことから、当社運転員は、当該ポンプの
  制御を「自動」から「手動」にした上で、原子炉への給水量を下げる操作を行
  い、原子炉水位の調整に努めたこと。
 ・その後、原子炉水位を安定させるため、タービン駆動原子炉給水ポンプ(A)
  および(B)の給水量増加/減少操作を継続して行ったものの、制御が不調で
  あり、午後7時12分に「発電機炉水位高トリップ」警報が発生し、発電機、タ
  ービンならびに原子炉が自動停止したこと。

(2)原子炉への給水に係る制御装置の調査関係
 ・タービン駆動原子炉給水ポンプ(A)および(B)の制御装置*3内にある回
  転棒とレバーの間に塗布されているグリス(油)が劣化していたこと。
 ・劣化したグリス(油)の成分に本来含まれていない金属摩耗粉が多量に含まれ
  ていたこと。
 ・タービン駆動原子炉給水ポンプ(A)および(B)ともに制御装置内の回転棒
  とレバーの間の抵抗が増大し、動きが悪くなっていたこと。特にポンプ(B)
  については、回転棒とレバーの間がほぼ固着していたことから、制御装置が給
  水流量制御信号に対して正確に動作できなくなり、タービン駆動原子炉給水ポ
  ンプ(A)および(B)による原子炉の水位調整が不調となったこと。
 ・制御装置は、定期検査毎に動作確認を行い、健全性を確認しており、回転棒と
  レバーの動作についても、前回定期検査時(平成21年10月)に動作確認を行っ
  ていたこと。
 ・第11回定期検査(平成3年度から平成4年度にかけて実施)から第17回定期検
  査(平成11年度から平成12年度にかけて実施)の期間においては、設備の改良
  などにあわせて制御装置の分解点検を行った際、グリス(油)の交換を行った
  ことがあったこと。
 ・第18回定期検査(平成13年度に実施)以降は、制御装置の分解点検を行う機会
  となる設備の改良などがなかったことから、定期検査毎に制御装置の動作確認
  を行うことで健全性を確認しており、分解点検を実施せずに回転棒とレバー部
  の手入れを行っていたため、グリス(油)の交換を行っていなかったこと。
 ・制御装置の動作確認を行うことで健全性を確認する運用としていた背景として、
  以下の3つの要因が挙げられること。
  (I)回転棒とレバーの間のような狭い範囲で常に動作する部位では、グリス
     (油)を長期間使用した場合、劣化が急速に進むという認識がなかった。
  (II)制御装置の分解点検についてマニュアル等により明確化されておらず、
     分解点検の必要性を認識できなかった。
  (III)平成16年に他社で同様の不具合*4が発生していたが、当時は他社の不
     具合情報を確認し、適切に水平展開を行う仕組みが十分でなく、制御装
     置の点検に反映されなかった。

(3)プラント停止に係る運転操作の調査関係
 ・原子炉水位の変動に伴う一連の操作および原子炉自動停止後の対応操作は、運
  転操作手順書等に準じて実施していたこと。
 ・原子炉水位を安定させるために、当社運転員がタービン駆動原子炉給水ポンプ
  (A)および(B)の操作を手動で試みたものの、制御装置が不具合を起こし
  ていたために、原子炉の水位調整が適切に行えなかったこと。
 ・現状の手順書は、制御装置が2台同時に不具合を起こした場合を想定した記載
  がなかったこと。

3.推定原因
  制御装置の動作確認を行うことで健全性を確認していたものの、グリス(油)
 の交換を行っていなかったことから、制御装置内にある回転棒とレバーの間のグ
 リス(油)が経年的に劣化し、潤滑機能が低下しました。
  このため、回転棒のネジ表面が摩耗し発生した金属摩耗粉と劣化したグリス
 (油)により、制御装置の回転棒とレバーの間の抵抗が増大し、動きが悪くなり
 ました。
  これにより、制御装置が給水流量制御信号に対して正確に動作できなくなり、
 原子炉の水位調整が不調となったために、原子炉水位が変動し、発電機、タービ
 ンならびに原子炉が自動停止したものと推定いたしました。

4.対策
  タービン駆動原子炉給水ポンプの制御装置内にある回転棒のネジ表面が摩耗し
 発生した金属摩耗粉と劣化したグリス(油)により、制御装置の回転棒とレバー
 の間の抵抗が増大し、動きが悪くなったことを踏まえ、制御装置の分解点検を行
 い、回転棒およびグリス(油)の交換を行うとともに、制御装置の健全性を確認
 しました。
  また、今後定期的に制御装置の分解点検を実施し、回転棒とレバーの間のグリ
 ス(油)の交換を行います。
  さらに、制御装置が2台同時に不具合を起こした場合を想定した対応操作手順
 書を作成し、周知・徹底を図ることとします。
  なお、平成17年3月以降、他社の不具合情報を確認し、適切に水平展開を行う
 仕組みとなっておりますが、今回の事例を踏まえ、原子力施設情報公開ライブラ
 リー(ニューシア)*5が開設された平成15年10月から平成17年3月までの他社
 の不具合情報のうち水平展開が必要なものについて、対策が行われていることを
 確認します。

  当社は、これらの調査結果について、本日、経済産業省原子力安全・保安院へ
 報告しましたのでお知らせいたします。

5.今後の予定
  今後、準備が整い次第、制御棒の引き抜き操作を開始し、原子炉を起動すると
 ともに、プラント起動時のタービン駆動原子炉給水ポンプの試運転状態を確認い
 たします。

                                  以 上

*1 制御棒パターン調整
    原子力発電所は、通常定格出力を維持して運転しているが、燃料であるウ
   ランが燃焼にともない消耗することから、一定の出力を維持するために炉内
   に挿入する制御棒の位置等を変更することがあり、この操作を制御棒パター
   ン調整という。

*2 タービン駆動原子炉給水ポンプ
    プラントの通常運転状態において、原子炉へ給水するために蒸気タービン
   によって駆動するポンプで、2台設置されている。

*3 制御装置
    給水流量制御信号により動作するモータとモータの駆動力を蒸気加減弁に
   伝達するリンク機構(かさ歯車、回転棒、レバー等)で構成される。
    モータの駆動でリンク機構を動作させ、タービン駆動原子炉給水ポンプの
   蒸気加減弁(ポンプ駆動用タービンへの蒸気の供給量を調整する弁)の開度
   を制御することで、ポンプの回転数(給水流量)を変化させている。
    回転棒とレバーが粘着または固着していると、蒸気加減弁の開度制御に影
   響が出るため、給水流量制御にも影響が生じる。

*4 他社で同様の不具合
    平成16年1月27日に発生した中国電力島根原子力発電所2号機における原
   子炉給水ポンプB号機駆動用タービン制御装置の点検補修について

*5 原子力施設情報公開ライブラリー(ニューシア)
    「一般社団法人 日本原子力技術協会」が運営する原子力施設の事故故障
   や、事故故障に至らない軽微な事象の情報、ならびに信頼性に関する情報を
   共有するためのインターネット・ホームページ。

添付資料
・5号機原子炉自動停止までの主要なメカニズム(PDF 69.4KB)制御装置概略図/グリス劣化の推定メカニズム(PDF 83.6KB)




	

	



			
			
		

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