送電鉄塔の位置情報が一目でわかる『SITE LOCATOR』がサービスを開始。それは、守りから攻めへ転じた東京電力パワーグリッドの新たなる挑戦!

2017/10/31

東京電力グループでは、自由化後の厳しい競争に勝ち抜き、福島第一原子力発電所事故の責任を果していくために、グループの全社員が一丸となって新しい取り組みに挑戦しています。送電鉄塔の位置情報をWEB上で提供するサービスもそのひとつです。そこで今回は、送電鉄塔を活用した新規ビジネスに挑む二人の社員が、その取り組みと自らの思いを語ります。
※携帯電話事業者向けのサービス

東京電力ホールディングス株式会社
新成長タスクフォース事務局グリーン&イノベーション第五グループ
チームリーダー

高橋 伸介

1999年入社。群馬支店太田工務所電子通信グループで通信回線の保守管理などを担当。2003年〜2006年まで通信事業会社㈱パワードコムに出向。その後、電子通信部、群馬支店、系統エンジニアリングセンターで電子通信に関わる業務効率化などに取り組む。2016年7月より現職。

東京電力パワーグリッド株式会社
工務部 送電グループ

石川 達也

2009年入社。埼玉支店川越支社送電グループで送電設備の保守・管理・メンテナンスを担当。本社送電グループでの駐在研修を経て、2012年から送変電建設センターに勤務。送電設備の建設工事、技術評価などに携わる。2015年より工務部施設業務グループ、2017年7月より現職。

送電鉄塔を活用した新規ビジネスへの挑戦のはじまり

高橋「東京電力が管理するさまざまな電力設備には、遠隔で設備状況等を確認するために多くの監視カメラが設置されています。私が群馬支店の電子通信グループに勤務していた当時、群馬支店のサービス地域では、その監視カメラが発電・送電・変電などの部門ごとに縦割りで管理され、他部門のカメラ映像は見ることができませんでした。それがとても不便だったので、関係者を説得し、すべてのカメラ映像を共有できるようにしたところ、どの部門にとっても周囲の状況が把握できて便利だということで、変電所、発電所、送電鉄塔などにカメラがどんどん増えていきました。あるときカメラの設置工事の現場で、川釣りが趣味だという工事会社の方から「天気予報ではわからない川の状況を知ることができるので、この映像を私にもぜひ見せてほしい」と頼まれました。それが、送電鉄塔からの映像を社外に公開すれば、新たなビジネスになると思ったきっかけであり、私にとっては、送電鉄塔を活用した新規ビジネスへの挑戦のはじまりとなりました。幸運なことに、このアイディアが新規事業の社内公募で検討対象となり、その後、ヤフーさんの『箱根山ライブ映像配信サービス』にご協力できることになりました。ところが、3ヵ月後にサービスを開始したいというヤフーさんからの要望に対して、当社では、送電鉄塔にライブカメラを設置するための確認や手続きに、6ヵ月もかかることがわかったのです」

石川「私が所属する東京電力パワーグリッドの工務部送電グループは、暮らしに欠かせない電気をお客さまへ確実にお届けすることを使命とし、送電網や送電設備の建設、維持管理を担当しています。そんな私たちにとっても、本来の業務以外の取り組みとなる送電鉄塔を活用した新規ビジネスは新しい挑戦です。しかし、その挑戦には乗り越えるべき多くの課題があり、ヤフーさんの『箱根山ライブ映像配信サービス』にご協力し、箱根山の送電鉄塔にライブカメラを設置する取り組みもそのひとつでした。送電鉄塔へのカメラの設置は、社内で利用するためと社外で利用するためでは大きな違いがあります。電気を安全に安定して送るための鉄塔を本来の目的以外に使用するには、さまざまな許可や手続きが必要ですし、安全性を確保するための検査や点検は、妥協することなく徹底して行われます。状況によっては周辺地域の方々へのご説明も必要です。そうすると、どうしても相当な時間がかかってしまうのです」

『SITE LOCATOR』は、
WEB上で送電鉄塔の位置情報を提供する国内初のサービス

高橋「社外向けに送電鉄塔を活用するには想像以上の時間が必要とわかったことは、私にとって、次の新たなビジネスへの手がかりとなりました。東京電力では、1999年から携帯電話事業者さんの基地局を設置する『送電鉄塔貸出事業』を実施していますが、近年は頭打ちの状態でした。それは、すでに飽和状態で需要がなくなったからだと思っていたのですが、手続きなどに時間や手間がかかることを経験した私は、もしかしたら、そのために携帯電話事業者さんに敬遠されているのではないかと思ったのです。改めて情報収集してみると、基地局の工事は今でも毎年1兆円規模で実施され、ニーズはさらに高まっていたのです。そこで、お客さまの立場で手続きの簡素化や賃料の見直し、利用開始までの時間短縮に取り組み、携帯電話事業者さんに向けて積極的に情報公開していこうと、現場との話合いをはじめました」

石川「現場の私たちも、携帯電話基地局設置の申し込みがないことや、手続きや設置に時間がかかり過ぎることは認識していました。ですから、各地域の担当者に集まってもらい、『送電鉄塔貸出事業』の業務フローを徹底的に見直しました。その結果、申し込みから検討、確認、説明、工事など縦に並べて順番に行っていた作業を横並びにし、できることから同時に進めることにしました。また、書類の様式を簡素化したり、大量に用意していた資料から必要な部分だけを抽出し、それをさらに減らしたりなくしたりする作業も行いました」

高橋「今年6月時点で貸出可能と判定済みの送電鉄塔は、当社が保有する約45000基のうち約1000基にのぼります。現場の協力でその情報公開や手続きの簡素化などは進みましたが、携帯電話事業者さんが、それだけ多くの中から適切な場所にある送電鉄塔を探すのはたいへんな作業だと感じていました。そんな折、携帯通信の環境整備事業を手がけるJTOWERさんが、設置可能な携帯基地局をデータベース化しようとしていることを知って意気投合し、そこに当社の送電鉄塔の情報を合わせ、地図ベースのシステムを共同開発することにしたのです。それが、利用可能な送電鉄塔の位置や情報がWEB上でひと目でわかる『SITE LOCATOR』です。しかし、これを実現させるためには当社から多くの情報提供が必要で、セキュリティなどを懸念する現場側との間で調整が難航しました。送電グループの石川さんの前任者とは毎日やりとりし、ときには意見がぶつかり合うこともありました」

石川「私が現在の部所に着任したときには、すでに『SITE LOCATOR』の開発はかなり進んでいたのですが、はじめにその話を聞いたとき、他社のシステムへ、当社の貴重な財産とも言える情報を提供することに抵抗を感じたのも事実です。しかし、高橋さんの熱心な話を何度も聞いて心強く感じましたし、守りの姿勢だけでは、自由化後の厳しい競争に打ち勝って収益をあげていくことはできず、お客さまのニーズに応えることも重要です。ですから、提供する情報を吟味したうえで全面的に協力し、高橋さんや仲間とともに、この取り組みを成功させようと思ったのです」

携帯電話基地局が設置されている送電鉄塔

「そこに鉄塔があってよかった」と言っていただくために

高橋「今年7月、『SITE LOCATOR』は無事完成し、携帯電話事業者さんへの情報提供がスタートしました。ここまでの道のりは決して平坦ではなかったので、サービスが開始されてうれしかったですし、感慨深いものもありました。今回のように新しい取り組みにはリスクが伴いますが、それを最小限にする努力をしたうえで、リスクに挑戦することはとても大事だと思います。そういう私自身は、本能的に限界を決めて『できない理由』を考えてしまいがちですが、だからこそ、今回の取り組みをバネに、自分自身の中にある壁を打ち破って挑戦を続けたいですし、そこからまた新しいビジネスチャンスが生まれることも期待しています」

石川「私も高橋さんと同じように、リスクを恐れず挑戦することの必要性を痛感しています。それと同時に、そのリスクを徹底的に吟味し、最小限に止めることも必要です。ですから、今回の『SITE LOCATOR』への取り組みでは、利用者のニーズにお応するための情報はすべて提供しながらも、個人情報が漏れないよう配慮し、法律面での調査も行い、さまざまなリスクを考慮しながら情報公開を進めました。その結果、ご依頼があってはじめて対応するという受け身の姿勢から、積極的に行動する提案型に転換することができました。私自身は、携帯電話事業者さんのもとへこちらから出向いてご説明するなど、これまでとは違う積極的な取り組みが新鮮でもあり、今は、そうした新規ビジネスへの挑戦に大きなやりがいも感じています」

高橋「送電鉄塔を活用したビジネスへの挑戦は、まだはじまったばかりであり、私たちが実現したサービスは最初の一歩にすぎません。カメラやアンテナの設置以外のニーズも高まっており、送電鉄塔をドローン専用道路として活用する『ドローンハイウェイ』の実証試験なども現在計画されています。送電鉄塔の活用には多くの課題がありますが、それ以上に多くの可能性もあり、まだ芽を出していない新しいビジネスチャンスがあるはずです。その芽を見つけて育て、送電鉄塔をみなさまの役に立つ設備として利用していただけるよう、これからもさらなる可能性を探求していきたいと思います」

石川「今後は、送電鉄塔の利用用途を拡大し、地域のみなさまの安全を守るライブカメラや、防災無線などの設置も増やしてまいります。送電鉄塔は近くにあると邪魔に感じられ、山中などでは自然景観を壊すと言われ、あまり歓迎されない存在です。だからこそ、そこに送電鉄塔があってよかったと思っていただけるよう、従来の発想を転換して新しい活用法を見いだし、これからもみなさまの暮らしに貢献するサービスの拡大に努めていきたいと思います」

関連情報

  • 最も高さが高い鉄塔

    当社で最も高い鉄塔の高さは地上から149mあり、これは40階建てのビルに相当します。

     

  • 電柱等を活用した新たな取り組み

    情報提供サービス(鉄塔等へのカメラ設置)では、
    鉄塔・電柱等を画像・映像カメラの設置場所として提供し、災害時の映像配信等を行うことで地域防災等に貢献します。

     

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