2021年2月4日
TetraSpar Demonstrator ApS
東京電力リニューアブルパワー株式会社

 東京電力リニューアブルパワー株式会社(以下、「東電RP」)は、このたび、RWE Renewables(以下、「RWE」)、Shell New Energies(以下、「Shell」)、Stiesdal Offshore Technologies A/S(以下、「SOT」)が共同で実施しているテトラ・スパー型浮体式洋上風力発電の実証プロジェクトに参画しました。同プロジェクトは、TetraSpar Demonstrator ApS(以下、「TSD」)が実証事業に取り組み、現在、デンマーク王国のグレーノ港において、浮体部分の陸上組立が完了しております。東電RPは今後、東京電力グループの一員として培ってきた電気事業のノウハウを提供してまいります。

 テトラ・スパー型の浮体部分は、四面体構造に組立てた鋼管と吊りキールから構成されます。鋼管はデンマーク王国の風車タワー製造会社であるWelcon A/Sで製造され、2020年夏にグレーノ港に輸送、同地にて2か月未満という早さで組立てられました。想定より早い組立が可能となった要因は、テトラ・スパー型は組立時に溶接など特別な工程が不要であること、浮体の製造・組立に必要な方法を検証してきたこと、更に主要工程の時間短縮ができたことによるものです。このことは、標準化や産業化を重視したテトラ・スパー型の設計コンセプトが、他の浮体式と比較して、コスト面や資材調達面において優位性を持つ可能性が高いことを示唆しています。

 今後、浮体部分を進水させ、陸上クレーンを用いて風車を搭載します。その後、風車・浮体を北海北部の実証サイトに曳航し、3本の係留索で海底に固定し、送電網に接続します。実証サイトは、ノルウェーのスタヴァンゲル近くの沿岸約10km、深さ200mの海洋エネルギーテストセンター(Marine Energy Test Centre:Metcentre)にあります。また、実証機はSiemens Gamesa Renewable Energy製のダイレクトドライブ方式、出力3,600kWの風車を使用する予定で、試運転を2021年夏に予定しています。

 テトラ・スパー型は、他の浮体式のコンセプトと比べ、製造、組立、設置工程の簡略化が可能で、コストを低減するという重要な競争上の利点を有しております。
 この利点に加え、本実証プロジェクトを通じて、TSDおよび出資4社は、建設、据付、運転に関する知識と詳細データを取得し、テトラ・スパー型の更なる向上に努めてまいります。

 事業主体であるTSD、およびRWE、Shell、SOTそして東電RPは、本実証プロジェクトから得られた知見を最大限に活用して洋上風力発電の可能性を拡大し、クリーンで持続可能な脱炭素社会の実現に貢献してまいります。


東電RP 文挾代表取締役社長のコメント;
「この画期的な実証プロジェクトに参画できることは本当に喜ばしいことです。テトラ・スパー型は、日本の自然条件下でも適用できる可能性があり、地域のサプライチェーンを構築しやすいことなどから、再生可能エネルギーの主力電源化に向けての重要な役割を担うことができる、将来有望な技術と考えています。当社の企業理念は「自然の恵みをエネルギーに、そして社会に」であり、今後も日本だけでなく海外においても、再生可能エネルギーの普及促進に取り組んでいきます。」

TSD Henrik Stiesdal取締役会長コメント;
「東電RPの実証プロジェクトへの参画により、我々との協力体制が拡大かつ強化されたことを非常に嬉しく思います。東京電力グループは、これまでの浮体式洋上風力発電に関する研究だけでなく、長年培ってきた電気事業に関する経験を有しており、本プロジェクトに大きく貢献できます。東電RPの参画により、実証プロジェクトの幅を広げることができます。また、実証機の陸上組立が完了したことは、とても大きなマイルストーンとなりました。これはプロジェクトのパートナーや、協力企業の支援と取り組みなしには成し得ないことでした。これからの工程では、東電RPとのパートナーシップを強化して進めていくことも楽しみにしています。」

別紙

<参考>
・東電RP出資後の出資比率;
  Shell:46.2% 東電RP:30.0% RWE:23.1% SOT:0.7%

RWE Renewablesについて
RWE Renewablesは、世界をリードする再生可能エネルギー企業の1つです。約3,500人の従業員を擁するRWE Renewablesは、4大陸の15か国以上で再生可能エネルギーの拡大を推進しており、陸上風力発電所、洋上風力発電所、太陽光発電所、および蓄電池設備を合計約900万kW保有しています。
また、2022年末までに、再生可能エネルギーに50億ユーロの純投資を行い、再生可能エネルギー設備容量を1,300万kWにまで拡大することを目標としています。
今後、RWE Renewablesは、南北アメリカ大陸、ヨーロッパの主要事業地域およびアジア太平洋地域をターゲットに、風力発電および太陽光発電をさらに伸ばしていくことも計画しています。

Shell New Energiesについて
Shell New Energiesは、低炭素で再生可能なエネルギーソリューションを顧客に提供する総合電力事業を構築しています。同社の事業は、市場取引、発電、供給にまたがり、大規模な水素から太陽光、風力、電気自動車充電までの総合的なエネルギーソリューションを提供しています。
これらの事業を大規模に展開するとともに、自然と技術を活用して、炭素排出量が減らしにくいエネルギー部門での低炭素化を進めています。

Stiesdal Offshore Technologies A/Sについて
Stiesdal Offshore Technologiesは、洋上風力発電向けのイノベーティブかつ事業化ソリューションの開発とその提供を専業としています。同社は、浮体構造、エネルギー貯蔵、Power-to-Xソリューション、そしてカーボンネガティブ燃料などの気候変動ソリューションを開発しているStiesdal A/Sの関連会社です。Stiesdal Offshore Technologiesはまずテトラ・スパー型を開発しましたが、現在新たなテトラ型を開発しています。テトラ型は、全て一般的な工業プロセスで製造され、陸上クレーンで組み立てることができ、洋上クレーン作業船は必要ありません。Stiesdal Offshore Technologiesは、世界をリードする洋上風力発電タワーメーカーであるWelcon A/Sと協力してプロジェクトを実施しています。Stiesdal Offshore Technologiesは、最初となる本テトラ型を成功させ、世界中に提供することを計画しています。

以 上