やがて周囲の山々から土砂が流れ込み、川の両端に自然堤防が形成され、堤防に挟まれた水はけの悪い場所が湿地となり、水生植物が繁茂しました。この植物は低温のため枯れても完全に腐らず、水中に堆積し「泥炭層」を形成します。
「泥炭層」は、1年間に1ミリ弱しか堆積しません。気が遠くなるほど長い年月をかけて尾瀬の低層湿原は発達していったのです。そして、低層湿原には年月が経つにつれて酸性に強いミズゴケが侵入し始めます。ミズゴケは湿原の中央部ほどよく発育します。枯れたミズゴケは堆積して、「泥炭層」となって凸レンズ状に盛り上がり、高層湿原ができていったといわれています。