「花の百名山」として知られる至仏山。標高が高くなるにつれて気温は下がり、強風や積雪、土壌の薄さなどの影響で植物が育ちにくくなります。そのため高い木はほとんど見られず、一帯には高山植物を中心とした植生が広がります。
このように高い木が育たなくなる境界を森林限界と呼びます。至仏山の森林限界は1,650メートル程でそこを超えると「蛇紋岩(じゃもんがん)」と呼ばれる蛇のような模様が特徴の茶褐色の岩が多く見られるようになります。蛇紋岩には磁鉄鉱が含まれているため磁石がつきます。登山ガイドが磁石を使った実演をおこなうこともあり、蛇紋岩の特徴を実感できるかもしれません。
蛇紋岩土壌には金属成分が多く含まれているため、その特殊な環境に適応した植物だけが生育できます。こうした植物を蛇紋岩残存植物と呼び、至仏山ではオゼソウやタカネシオガマ、カトウハコベ、タカネトウウチソウなどがその代表です。また、蛇紋岩土壌の影響を受けて独特の形態を示す植物は蛇紋岩変形植物と呼ばれます。至仏山では、ホソバヒナウスユキソウやジョウシュウアズマギク、クモイイカリソウ、シブツアサツキなどがそれにあたります。高山植物の花と茶褐色の岩が織りなす景観は至仏山ならではの見どころです。
このような環境から、至仏山には他の2,000m級の山と比べて多種多様な高山植物が生育しています。さらに希少な植物も数多く見られることから、「花の百名山」に選定されています。「花の百名山」の名にふさわしく、短い夏の間には高山植物が競うように花を咲かせます。より多くの高山植物を観察したい方には、山ノ鼻から東面登山道を登り、鳩待峠へ下るルートがおすすめです。なかでも高天原周辺に広がるホソバヒナウスユキソウの群落は圧巻です!
蛇紋岩に磁石がつく様子
蛇紋岩残存植物のオゼソウ
ホソバヒナウスユキソウ(白)とタカネシオガマ(紫)
高天原周辺の様子
高天原周辺、見事なホソバヒナウスユキソウの群落













