東京・銀座に日本初の電灯(アーク灯)が灯され、市民が初めて“電気のあかり”を目にした1882(明治15)年以降、日本では急速に“電気”が普及し、明治から大正にかけて一般家庭でも電灯が使われるようになりました。当時、発電の中心であった水力発電所の建設は、国を挙げての一大プロジェクトでした。
そこで、尾瀬の豊富な水を発電に生かそうと、1916(大正5)年、のちに東京電力の前身会社と合併する電力会社が尾瀬の群馬県側の土地を取得し、さらに1922(大正11)年には河川や湖沼の水を利用するための「水利権」を取得したことが、“尾瀬と東京電力の出会い”です。
その後、群馬県片品川を水系とした発電所、栓ノ滝発電所・鎌田発電所・戸倉発電所などが開発され、2023(令和5)年には、東京電力リニューアブルパワーの子会社である東京発電(株)によって、あらたに「ぐんぎん尾瀬片品発電所」が完成しました。
この発電所は、建築家・團紀彦氏が設計を手掛けた全国有数のデザイン性を誇る「地域共生型デザイン発電所」で、最大出力は678kW、一般的には「小水力発電」と分類されます。
小水力発電とは1,000kW以下の発電規模で、ダムで河川の水を貯めたりせずに、流れる水の落差と流量を利用して発電するしくみです。
現在、国内での大規模な水力発電の適地はほとんど開発されており、小水力発電の価値が高まってきていることから、林間学校やSDGs体験学習として尾瀬に訪れる小中学校から「尾瀬散策とあわせて発電所を見学したい」とのご要望をいただくことが増えてきました。
そこで、普段は“尾瀬のなか”を案内している尾瀬ガイド協会のガイドさんに対して、「ぐんぎん尾瀬片品発電所」の研修が行われました。
研修では、東京発電(株)の社員を講師に、小水力発電のしくみや特徴のほか、この発電所で発電された電気が、ぐんぎん(群馬銀行)の電算センターと北毛(群馬県北部)9支店で使われていることなどを学びました。また、水車や発電機、発電所建屋と周囲環境が調和している様子などを実際に見て、見学に訪れた方への説明や質疑の場面をシミュレーションしました。
「ぐんぎん尾瀬片品発電所」は、建屋の大きな窓から発電設備を見ることができ、さらには水車の内部を覗ける小窓もあります。訪れた方が休憩できるスペースも用意されているので、尾瀬を訪れた際には、ぜひお立ち寄りください!
※発電所の写真を撮って、片品村観光協会窓口にご提示いただくと、お一人様につき1枚、「ぐんぎん尾瀬片品発電所カード」がもらえます。詳細は片品村観光協会のWEBサイトをご覧ください。
建築家・團紀彦氏が設計を手掛けた「ぐんぎん尾瀬片品発電所」
水車・発電機を見学している様子