7月に入り、例年より少しはやく「ニッコウキスゲ」が満開を迎えました。
この「ニッコウキスゲ」は夏の尾瀬の代名詞ともいえる花で、かつて大江湿原では、見渡す限り一面に真っ黄色の花が風になびく様子を楽しむことができました。
尾瀬ヶ原では、1990年頃から、鹿による食害が確認されるようになりました。「ミズバショウ」「ミツガシワ」「ニッコウキスゲ」といった尾瀬を代表する花々が大好物である鹿は、花々を食べ尽くし、土を掘り起こすので、みるみるうちに土地は荒廃していきました。鹿は雪深い尾瀬で冬を越すことができないので、寒くなると日光方面へ移動し、春になると再び尾瀬に戻ってきます。そして、お腹を空かせた鹿は、芽吹いたばかりの「ミズバショウ」や「ミツガシワ」のつぼみを食べてしまいます。
尾瀬の希少な植物を守るために、国や周辺の自治体、ボランティアの方々が主体となり、防鹿ネットや電気柵を尾瀬国立公園内に設置する取り組みが行われています。東京電力リニューアブルパワー、東京電力パワーグリッドも、例年、柵設置のお手伝いをしています。
これらの効果は確実にあらわれ、大江湿原やヨッピ橋近くに咲く「ニッコウキスゲ」の花たちは、近年盛り返しをみせてくれています。
今年は、およそ20年ぶりの大復活をとげた「あたり一面のニッコウキスゲ風景」が見られるかもしれません!
今後も気を引き締め、引き続き、鹿の侵入を防ぐ柵を設置し、尾瀬に咲く花々を守ります。
ニッコウキスゲ
研究見本園鹿柵設置作業の様子
ミツガシワの花
ミツガシワ群落
研究見本園内のミズバショウ、リュウキンカ群落