夏本番を迎えている日本列島。8月上旬、とある日の尾瀬最高気温は、28.6℃でした。標高が高い尾瀬は、東京都心と比べると、日中はおおむね約10℃、朝晩では15℃程度の気温差があるため、避暑地としても人気です。
さて、夏真っ盛りの尾瀬ですが、標高1,960メートルの山上湿原にあるアヤメ平は、緑が青々と伸び、夏の代表花である「キンコウカ」があちこちと咲き、まさに生命力に満ちあふれるシーズンを迎えています。現在は敷かれた木道以外は歩いてはいけませんが、昭和30年代は自由に湿原を歩き回ることが出来ました。
ちょうどその頃、「夏の思い出」が流行り、その影響で、尾瀬に多くの観光客たちが押し寄せました。その結果、アヤメ平は観光客に踏みつぶされ、裸地化してしまったという歴史があります。
東京電力では、そんな湿原を復元しようと1969年から植生活動をおこなっていますが、現在でも100%復活したとは言えない状況です。一度壊れてしまった自然を元に戻すことは簡単ではありません。それでも、「続けていくこと」が大事です。
尾瀬の夏は短く、夏の高山植物は、例年8月末には終盤を迎えます。9月に入ると、辺り一面で草紅葉(くさもみじ)が始まり、尾瀬は一足さきに秋へと移行します。草紅葉も味があり、魅力的です。そんな湿原の美しさを守るためにも、毎年、秋を迎える尾瀬で草花の植生活動を行っているのです。
昨年の植生活動の様子
荒廃したアヤメ平
100%復活とは言えないがここまで復活