群馬県利根郡片品村、尾瀬沼の入山口にあたる大清水湿原には、尾瀬の代名詞とも言われる水芭蕉が自生しています。その開花は、例年5月のGW頃と尾瀬地域の中では最も早く、人気の観光スポットです。広々とした湿原は、車椅子やベビーカーでも散策ができるよう幅の広い木道が整備されています。
2008年頃まではこの湿原には、2万本ほどの水芭蕉が咲き誇っていました。しかし、2020年を過ぎた頃には気候変動などによる二ホンジカの食害により1,000本まで激減してしまいました。徐々に水芭蕉の姿が減っていく様子を目の当たりにし、大清水湿原と同じ利根郡にある永井酒造の永井則吉社長が発揮人となり、新潟県の三条印刷さま、東京電力グループの東京パワーテクノロジーが加わり、尾瀬高校さま、ボランティアの皆さまと「水芭蕉プロジェクト」が発足しました。本活動は、2030年までに大清水湿原の水芭蕉を2万本まで復活させることを目標としています。
具体的な活動は、まず別の場所で水芭蕉の種植えと育苗を行い、その苗を湿原へ運んで1本1本手作業で植えます。「桃栗三年柿八年」といいますが、水芭蕉も、種植えから開花までうまくいっても3年以上かかり、育苗率は30%程度と、デリケートで育てるのが大変な植物です。
今年も10月中旬に、プロジェクト事務局、ボランティアの皆さま、東京電力リニューアブルパワーや東電ハミングワーク等、総勢100人超で大清水湿原に水芭蕉の苗500本を植えました。2020年にこのプロジェクトが始動したことで、現在、水芭蕉は1万本を超えるまで復活しています。湿原管理や育苗といった多くの課題はありますが、引き続き、一歩一歩着実に続け6年後には目標である2万本を超えられるように、尾瀬を愛する皆さまとともに尾瀬の自然を守っていきます。