6月中旬の東京都心は既に真夏並みの暑さを迎えていますが、梅雨が明けると暦上でも夏本番。
カラフルな彩りを見せてくれる夏の尾瀬、高山植物開花リレーが幕を開けました。
開花リレーのトップバッターは、ミズバショウとワタスゲ。ワタスゲは、一風変わった‘開花’をします。6月初旬、まず白い雌しべが顔をだし、次に黄色い花粉を持つ雄しべが伸びてきます。この黄色い雄しべが房状になると、黄色い花のように見えて目立ちます。そして次第に、6月下旬頃にはこれらが白いふわふわとした綿毛姿へと変わり、二度私たちを楽しませてくれます。ワタスゲは、あたり年、外れ年があると言われ、ほとんど見ることができない年もありますが、今年は5~6年に一度のあたり年となりました。そして、ミズバショウも「百年に一度」とも言われるあたり年で、たくさんのミズバショウを見ることができました。
なぜワタスゲがあたり年なのかというと、雪による影響が考えられます。昨年末から今冬にかけ、尾瀬の積雪は記録的なものになりました。雪が多い年は霜がおりにくく、それは高山植物が育つうえでは好条件となります。
このあともオレンジ色のレンゲツツジ、葉の形が「柏」に似ている三枚葉のミツガシワが見頃を迎え、7月にはビビッドなニッコウキスゲが咲き始め、7月下旬には例年キンコウカと次々と開花リレーがバトンタッチされていきます。
皆さまも夏の尾瀬の彩りを、ぜひお楽しみください。

辺り一面のワタスゲ

黄色い花粉をもった雄しべが房状になるワタスゲ

ミツガシワ

レンゲツツジ