資料館

それぞれのフィールドにおいて、自然との共生や環境保護活動などに精力的に取り組んでいらっしゃるオピニオンリーダーの方々との対談内容をご紹介いたします。

畠山重篤さんと「漁師山に木を植える」の理由を聞く~“森は海の恋人”。健全な森が豊穣の海をつくる~

<養殖業>畠山重篤(はたけやましげあつ)×<東京電力・永年尾瀬保護活動担当>竹内純子(たけうちすみこ)

宮城県の気仙沼湾でカキやホタテの養殖業を営む畠山重篤さんは、今から20年前、かつての美しい海をとりもどすために、山に木を植えることを始めます。その活動を通して培われたのは、環境問題や環境教育に対する独自でユニークな視点。畠山さんのお話を伺えば、地球温暖化も怖くない!?

<養殖業>畠山重篤(はたけやましげあつ)

<養殖業>畠山重篤(はたけやましげあつ)

1943年、中国生まれ。高校卒業後、家業を継いでカキとホタテの養殖に取り組む。そのかたわら、「森は海の恋人」をスローガンに始めた山への植林活動は今年で20年目を迎える。また、子供たちを養殖場に招いての環境体験学習も。『漁師さんの森づくり』『リアスの海辺から』など著書多数。牡蠣の森を慕う会代表。

森は海の恋人

山に木を植えることで海が蘇った。船でカキの養殖筏に案内していただく
養殖場を一望する事務所でお話をお伺いした
竹内
畠山さんとは、私もメンバーの一人に加えていただいている農林水産省「生物多様性戦略検討会」に臨時委員としてお見えになったときにお会いしたんですよね。でも私、本の中ではずっと前から畠山さんにお会いしてます(笑)。漁師さんが遠く離れた森に木を植えている、という話は子供心にとても印象的でした。
そもそも畠山さんがカキの養殖業を始めたのはいつなんですか?
畠山
昭和22年にオヤジが始めて、昭和36年から手伝うようになりました。昭和40年代以降、海の色や臭い、そしてカキの成長に異変が起こりました。赤潮の影響で、カキの身が真っ赤に染まるということまで起きて、浜全体、重苦しい日々が続きました。
竹内
そんな中、川をたどり、上流の森を見に行かれたわけですね。でも海から川、山に視野を広げられたきっかけは何かあったのでしょうか?
畠山
いろんな出会いが幸いしましたが、フランスのカキ養殖業を見に行ったことが大きな転機となりました。生き物がうごめく豊かな海、ローヌ川上流の広葉樹の森は、私が子供の頃遊んだ海・山を思い出させました。それが、帰国して気仙沼湾に流れ込む大川を歩いてみたら、25しかない短い川にあらゆる問題が横たわっていました。街からは家庭排水が、水田からは農薬や除草剤が流れ込み、森は手入れの行き届かない杉林が多く、痩せていたのです。
竹内
それで山に漁師さんの森を作ろう!となったわけですか。
畠山
漁師はそうと決まったらすぐ行動ですから(笑)。せっかちなんです。でも、こういう活動は人の心を取り込めないと続かない。ですから、どうすればいいかずいぶん悩みました。大川流域に住む歌人熊谷龍子さんという方と出会い、「森は海の恋人」という言葉が生まれたことで大きく弾みがつきました。
竹内
人の心を動かす言葉があって、皆さんがその言葉のもとに集結したわけですね。

山、海、心に森をつくる

気仙沼湾に面した畠山さんの水山養殖場
植樹祭には子供たちも参加して木を植える
森と川によって美味しいカキが育まれる
気仙沼湾に注ぎ込む大川の源流がこの室根山
畠山
漁師が山に木を植える活動は、当初物珍しさからマスコミにも取り上げられましたが、継続させていくためには、川の流域に住む人達と価値観を共有しなきゃいけない。そのためには教育が必要だと思い、20年前から小学校の子供達を養殖場に招き、体験学習を行っています。
竹内
子供達から印象的なリアクションはありましたか?
畠山
今でも忘れられませんが、「朝シャンで使うシャンプーの量を半分にしました」「農薬や除草剤をほんの少しでも減らしてくれるようお父さんにお願いしました」と感想文に書いてきてくれた子がいました。「イケる!」と思いましたね。以来体験学習はずっと続いていて、去年までに1万人以上の子供達を受け入れてきました。
竹内
20年前に体験学習に参加した方の中には、もうご自分のお子さんがいる人も多いでしょうね。この体験が引き継がれていったらステキですね。
私も尾瀬の自然や保護活動について解説する「出前授業」で学校に伺っているのですが、子供達の環境に関する「知識力」はすごく上がっていると思います。でも、あまりにも希望が持てない情報が多いせいでしょうか、かえって「行動力」に結びつきにくくなっているようにも感じます。畠山さんのように、現場で体験させることからスタートしていくと、前向きな気持ちになれるでしょうね。
畠山
そうですよ。みんなむやみに地球温暖化を怖がっていますが、山だけでなく、海の中に森を作れば、事態は改善できると考えています。川の水が入り込む汽水域(海水と淡水の混じり合った海域)が生物を育む力は、想像を遙かに超えますからね。豊かな森から流れ出る川の水が届く海、特に川の水に含まれる鉄分が大事なのですが、そうした沿岸では海草もあっという間に育ちますし、外洋にも鉄分が供給されれば植物プランクトンが一気に活性化します。そうすれば「海に森ができる」わけです。
森と川と海をつなぐ一番の指標生物であるウナギがいる環境を保つことができれば、温暖化は怖くない!室根山の植林を20年続けて、気仙沼には去年ウナギが戻ってきましたよ!
竹内
山だけでなく海にも森を、ですか。そして今日は、私の心にも木を植えて頂きました!ありがとうございました。

田部井淳子さんと裏磐梯を歩き、自然の恵みとその利用を語り合う

田部井淳子 登山家。

立松和平さんと尾瀬を歩きながら自然保護の心についてうかがう

立松和平 作家。

養老孟司さんに自然と人とのかかわりについて聞く

養老孟司 東京大学名誉教授。

尾瀬に来て、「自然に生かされている」と感謝する気持ちを思い出してほしいですね。

萩原始 3代目富士見小屋主。

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