ダムによる河川除塵や灌漑用水補給の取り組み

東京電力リニューアブルパワーでは、主に群馬県・栃木県を中心とした利根川水系、長野県・新潟県にまたがる信濃川水系、山梨県の相模川・富士川水系に、合計163ヵ所、総出力約980万kWの水力発電所を保有しています。

そして、これらの水力発電所で電気を作るには水が不可欠です。

水力発電所では、河川から流れ込む水や、それをせき止めて貯めた水の勢いで発電機と直結した水車を回転させて電気を作っています。

発電のために取水する河川には、草や木の葉、流木といった自然由来の漂流物のほかに、プラスチック、ガラス、金属といった生活廃棄物も漂流しています。こうしたものは発電の支障になるだけでなく、水質や生態系へ悪影響を及ぼすため、当社では漂着物を適切な方法で処理し、水と地域環境を守る取り組みをしています。

また、発電に利用した水は、電気を作る目的だけでなく、地域の皆さまと共有し、灌漑用水として稲作や畑、果樹園といった農業の営みに活用され、有効活用が図られています。

除塵に関する取り組み事例(長野県犀川)

長野県にある犀川は、奈良井川・梓川・高瀬川が合流した下流に位置し、年間約30億m3におよぶ水を5つのダム(生坂・平・水内・笹平・小田切)にてせき止め、発電に利用しています。
水資源に恵まれている一方で、長野県域の2割に相当する約3,000km2という流域面積により、草木や廃プラスチック、ガラス、金属などが漂流しています。

除塵の取り組み

漂着物は発電の支障になるため、専用の機械で河川から除去しており、その量は毎年およそ3,500m3にもなります。
この量は10tトラックで考えると、約150台分の量に相当します。

生坂ダムに漂着した塵芥

生坂ダムに漂着した塵芥

漂着物は、有機物と無機物に分別し、無機物は産業廃棄物として適切に処理しています。有機物は破砕機で細粒状にし、一般廃棄物として焼却処理をするだけでなく、良質な流木などは再加工・再利用が可能な事業者へ引き渡すなど、リサイクルへも積極的に取り組んでいます。
水力発電所のダム運用において河川漂着物は避けて通れない問題ですが、私たちは地域に根差した再生可能エネルギー発電事業者を目指し、河川・地域環境の保全に努めています。

  • 塵芥除去装置

    塵芥除去装置

  • 分別状況

    分別状況

  • 破砕選別装置

    破砕選別装置

灌漑用水に関する取り組み事例(長野県中信平地域)

長野県にある梓川の水は、梓川3ダム(奈川渡・水殿・稲核)にてせき止め、発電に利用されるほか、協定により中信平地域の5市村へ用水の補給をしています。
補給される用水量は約6億m3※。標準的な25mプール約150万杯分、日本で2番目に大きい湖の霞ヶ浦を4分の3満たす水量に相当します。

※令和6年度計画値

梓川3ダムと配水エリアイメージ

梓川3ダムと配水エリアイメージ

用水は「中信平土地改良区連合」および所属する5土地改良区により、受益地の約8,800ha(水田:5,500ha、畑・果樹園:3,300ha)に配水され、お米やレタス・白菜・長いも・スイカ・リンゴ・ブドウなどの作物が生産されており、特にリンゴやブドウは日本有数の生産地で、多くの品種が栽培されています。
昭和45年のダムの完成以降、年間を通じて安定した補給が行えるよう、日々のダム運用を行っており、地域の農産物を支える水源となっています。

リンゴ園へのかん水(中信平左岸地域)

リンゴ園へのかん水(中信平左岸地域)

レタス畑へのかん水(中信平右岸地域)

レタス畑へのかん水(中信平右岸地域)

参考:中信平土地改良区連合「中信平農業水利事業概要書」