風力発電のしくみ

風力発電のしくみ

風力発電は、風の力を利用して風車を回し、風車の回転運動を発電機を通じて電気に変換する発電方法です。風が強く風車の回転速度が上がりすぎる時は、安全のため回転を停止できるようになっています。

1.可変ピッチ機構

「可変ピッチ機構」とは、風の強さに応じて羽根の角度を自動的に変えられるしくみのことです。プロペラ式の飛行機からヒントを得たもので、風車が停まった状態から起動するときや、風が弱いときには、風に対する羽根の角度を大きくして風を多く受けるようにします。逆に風が強いときには、羽根の角度を小さくして必要なだけの風を受け、余分な風は受け流すことで、風車の損傷を防いでいます。

2.ブレード

風車の羽根の部分を「ブレード」と呼びます。写真のような水平軸型風車のブレードの大半は、「プロペラ型」の三枚羽です。プロペラ型の風車は、ブレードの数が少ないほど回転が速くなる特徴があります。

3.増速機

「増速機」は、ギアを用いて、ブレードの回転を発電に必要な回転数まで増幅させるはたらきがあります。風によって生み出されたブレードの回転速度をさらに増やすことで、発電効率の向上に役立ちます。増速機を使わずに、ブレードを組み合わせた「ローター」と発電機が直接つながっているタイプも造られています。

4.発電機

風車の回転運動を電気に変換するのが、「発電機」です。発電機は21世紀に入って以来、著しく大型化してきました。2000kW以上発電できるものが主流になり、自然エネルギー大国であるヨーロッパでは9500kWクラスの超大型機を開発・運用しています。

5.方位制御機構

「方位制御機構」は、風を正面で受けるため、風向きに合わせてブレードを旋回させる装置で「ヨー制御」とも呼ばれています。自動モーターで作動し、効率よく風をとらえることができるため、「可変ピッチ機構」とともに現代の風力発電機には欠かせない設備です。

風力発電の特徴

1.風力発電のメリット

風力発電のメリットは、一定の風速があれば昼夜を問わず電力を生み出してくれる発電方法であるという点です。自然のエネルギーを利用するため、資源が枯渇する恐れがなく、また、太陽光発電と同様に燃料を必要としないので、排気ガスやCO2、燃えかす、使用済み燃料の処理なども発生せず、地球環境にやさしい安全でクリーンなエネルギーです。近年では、陸上に比べて強い風が比較的安定して吹く洋上での風力発電の開発が活発化しています。

2.風力発電のデメリット

自然の風を利用する発電方法のため、風向きや風速によっては発電量が下がる恐れがあり、電力を毎日一定量供給するという「安定性」の面では弱い部分があります。季節や気候に左右されやすく、また台風などの暴風時にはブレードの損傷などの危険があるため、稼働させることができません。また、年間を通じて風の強い場所でないと発電効率が悪くなるため、建設場所の候補地も限られます。