ブナは、冬の間に葉を開く準備をしており、春が近づくと、芽が大きくふくらみ始めます。一つの芽の中には3~6枚の葉があり、それがいっせいに開くのです。春にいっせいに葉を開いてしまい、それより後に新しい歯が開くことはありません。これは、ほかの植物より早く、多くの葉を広げて、光をより多く受けるための工夫だといわれています。
大きく育ったブナの木は、40万枚もの葉を着けるといわれており、その1枚1枚で精いっぱい太陽の光を受け止めるのです。
「森のともだち ブナを知ろう」は、写真やイラストを豊富に使い、ブナを主な題材として木や森、地球環境問題に関する情報をたくさん盛り込みました。意外に大人が読んで役に立つ話もあり、親子で楽しんでいただくこともできるのではないかと考えています。
- 静岡県函南町の原生林にあるブナ
葉が開いた後、ブナは白い花をさかせます。ブナの花は、花粉が風に運ばれて受粉が行われる風媒花です。ブナの雄花と雌花は、どちらも若葉といっしょに現れ、風にゆれる雄花から花粉がまき散らされます。1個の雄花から出る花粉は、2,000億個ともいわれます。風に乗って花粉が雌花にたどり着き受精すると、ブナは実を着けることができるのです。
雄花で作った花粉をどうやって雌花まで届けるか、植物の受粉の仕方は、風媒花のほかにもいろいろあります。
- ●虫媒花
- こん虫などに花粉を運んでもらう植物。かおりやみつでハチやチョウなどのこん虫をさそい、体に付いた花粉を他の花に運んでもらいます。
例)ユリ(チョウに花粉を運んでもらう) - ●鳥媒花
- 鳥に花粉を運んでもらう植物。比かく的大型の花とたくさんのみつで鳥をさそいます。
例)ツバキ(メジロという鳥に花粉を運んでもらう)