第1回「原子力安全・品質保証会議」の開催について
当社は、第1回「原子力安全・品質保証会議」を開催いたしました。
本会議は、原子力安全と品質保証に関する取り組みについて、有識者・専門家の方に、総合的に審議していただくことを目的とするものです。
1.開催日時等
- 日 時
- 平成14年12月19日(木) 9時30分~12時05分
- 場 所
- 東京電力株式会社 本店
- 出席者
- (議 長)成合 英樹 筑波大学 名誉教授
- (敬称略)
-
(委 員)犬伏 由利子 消費科学連合会 副会長
高倉 吉久 東北放射線科学センター 理事
竹野下 喜彦 弁護士
中條 武志 中央大学理工学部 教授
広瀬 弘忠 東京女子大学文理学部 教授 - 【当社側同席者】
勝俣社長、白土副社長原子力本部長、村田副社長、服部取締役原子力本部副本部長、佐竹取締役原子力本部副本部長、藤原企画部長、尾崎原子力品質監査部長
2.成合議長挨拶
- 原子力安全・品質保証会議は、社会からも注目されており、議長就任は身のひきしまる思い。
- 電力の品質保証は、安全な方法で質の良いものを安定的に送ることが一つの要件である。原子力の場合、国も含めた広い視点でシステムを考えていくことも大事で、この点は別に議論する必要もあろう。
- 今回の問題は東電の歴史的に蓄積された本質的な面もあると思っている。
- 本会議の委員は、各分野から集まっていただいているので、厳しくかつ適切な意見・審議で実効性のある会議にしていきたいと思うのでよろしくお願いしたい。
3.勝俣社長挨拶
- 原子力を巡る一連の不祥事で、広く社会の方々に多大なご迷惑をかけ、深くお詫び申し上げたい。
- 今後、信頼回復に向けて全力で取り組む所存であるが、中でも重要となるのは、「させない仕組み」と「しない風土」であると考えている。
- 原子力の仕組みの再構築に際しては、「独立性」「透明性」「多面性」の実現に留意しながら進めていきたい。
- このため、原子力安全・品質保証会議は、議長・委員に広く各界の社外有識者の方々のみに就任いただいたわけであり、当社の原子力の安全や品質に関する様々な内容について幅広く審議をしていただき、ご指導していただきたいと考えている。
4.議事等
(1)審議・報告事項
1.原子力安全・品質保証会議規則について
- 標記、会議規則について審議、了承
2.当社原子力発電所の点検・補修作業に係るGE社指摘事項に関する調査報告(9月17日発表)と再発防止対策の進捗状況について(報告)
3.原子炉格納容器漏洩率検査に係る問題点について(12月11日発表)(報告)
4.原子力施設にかかる自主点検作業の適切性確保に関する総点検について(11月15日発表)(報告)
5.監査の進め方と14年度下期監査テーマの選定について
- 原子力品質監査部、発電所品質監査部の活動について
・基本スタンス:独立性の維持、透明性の確保、多面的な視点
・監査の種類
・「原子力安全・品質保証会議」の選定するテーマに即した監査
-年2回(1回あたり3~5件名)安全・品質保証上の監査を実施
・業務品質監査
-安全・品質保証上の重要度を考慮して監査を実施(特に発電所品質監査部は発電所常駐の利点を活かし、通年的に計画実施)、
・不適合事象(問題箇所)処理状況の監査
-問題箇所について、請負会社等から直接報告を受けるとともに、処理状況を監査
・監査結果の報告
不適切な点に対する指摘や改善要求等の監査結果は、社長に報告するとともに「原子力安全・品質保証会議」に報告
・是正処置の実施状況確認(フォローアップ)
指摘事項等に対する原子力部門の是正処置を評価し、その実施状況を確認。是正処置が実施されていない場合には、原子力本部長及び発電所長を指導
・監査結果の情報公開
原子力品質監査部の活動状況や監査結果は、ホームページで随時公開
- 14年度下期監査テーマの選定について
これまでの原子力の一連の不祥事に鑑み、以下のとおり今後取り組むべき監査テーマを選定
【選定された監査テーマ】
1.定期検査実施時における不適合管理の意思決定プロセスと文書管理について
2.定期検査計画時における保修部門と発電部門の関係について
3.発電所運営やトラブル事案に関する協力企業との情報共有体制について
4.業務知識、法令遵守に関する教育訓練プログラムについて
(2)主な意見
(再発防止対策等も含む全般的なご意見)
- 原子力は岐路にたっており、当会議も厳しい姿勢で臨むことが必要。
- 発電所の立地地域の立場にたってエネルギーの使い方を考えるとともに、社会一般は何を思い、どう考えているのかという視点にたって、会議を進めていくことが重要。
- 原子力関連の情報公開のあり方について、社内ルールも含めてきちんと検討することが重要。情報公開は、その情報に最も興味のある人が満足するように公開しないと意味がない。
誰に目を向けて話しするかが重要であり、一般の方が理解でき「自分はこう考える」という意見をもてる程度のレベル・内容で発信していくべき。 - ルールや基準の明確化が原則。ルールが適用できないケースで、個々の判断が求められる場合にはその責任と権限の綿密な明確化が必要。
- 罰則的な対応だけでなく、中長期的に従事する人が意気消沈しないような方策を考えていくことが重要。
- 他電力や他国の事例等も適宜勉強していきたい。
(監査テーマについて)
- 企業風土・モラル等の問題も重要であり、そうした点についても、4番目のテーマの中等でみていくべきである。
- 原案にある4点とも重要なテーマであるが、時間的制約等もあるなかで監査として実効のあがるものにすべきである。これを踏まえ結論として、今期はテーマの1、2から監査を実施し、他のテーマについても順次取り組みを進めていく。
(3)次回の予定
- 第2回会議は、発電所幹部との意見交換を含めた、発電所の現況把握を目的として2月中旬に発電所で開催する。
以 上