当社は、第6回「原子力安全・品質保証会議」を4月30日に開催いたしました。
 本会議は、原子力安全と品質保証に関する取り組みについて、有識者の方に、総合的に審議していただくことを目的とするものです。

1.開催日時等

日 時
平成16年4月30日(金) 14時00分~17時05分
場 所
東京電力株式会社 本店
出席者
(議 長)矢川 元基 東洋大学工学部 教授
(敬称略)
(委 員)犬伏 由利子 消費科学連合会 副会長
鈴木 和幸 電気通信大学 教授[新任]
高倉 吉久 東北放射線科学センター 理事
竹野下 喜彦 弁護士
広瀬 弘忠 東京女子大学文理学部 教授
[中條 武志委員(中央大学理工学部教授)は都合により欠席]
【当社側同席者】
勝俣社長、村田副社長、内藤常務取締役、服部常務取締役原子力本部副本部長、佐竹取締役原子力本部副本部長、尾崎原子力品質監査部長

2.矢川議長ご挨拶

 原子力の運営においては、安全文化の醸成が重要。4月に発行された原子力白書においても、緊急の課題と記載されている。
 しかしながら、安全文化の確保は難しいものであり、一旦、確保しても壊れやすいものであることから、その維持に努めていくことが重要である。
 その観点からも原子力品質監査部の活動は重要であるので、よろしくお願いしたい。

3.議事等

(1)審議・報告事項

1)第5回原子力安全・品質保証会議議事録について(審議事項)

  • 標記、議事録について審議、了承。

2)15年度下期テーマ監査結果について(審議事項)

  • 監査結果
    標記、監査結果について審議、了承(監査結果概要は別添PDFファイル参照)。
    なお、監査結果に基づく指摘・要望に対する各発電所の是正・改善状況については、今後、フォローアップを実施していく。

3)発電所業務品質監査報告について(報告事項)

  • 発電所品質監査部の原子力発電所に対する日常業務品質監査等の計画的な監査や原子炉格納容器漏えい率検査の実施状況監査に加え、不適合事象に係わる監査、シュラウド、原子炉再循環系配管修理に対する監査、安全・品質に係わる重要な事象を捉えた臨時監査等、15年度の活動状況について、福島第二品質監査部の62件の監査実施状況を中心に、報告、了承。

4)16年度原子力品質監査部監査計画及び16年度上期監査テーマの選定について(報告・審議事項)

  • 原子力安全・品質保証会議の選定したテーマ監査の進め方、原子力部門各部及び発電所に対する業務品質監査等、16年度の原子力品質監査部及び発電所品質監査部の監査計画を報告。
  • 上記報告について報告、審議、了承。
  • 監査テーマ選定
    事務局(原子力品質監査部)より、テーマ候補として、
    ・【新たな品質保証体制】法定主任技術者の保安監督業務の状況について
    ・放射線管理における主要業務の実施状況について
    の2テーマを提案し、了承。
  • 上記報告について審議,了承。

5)原子力再生プロジェクト進捗状況報告について(報告事項)

  • 不祥事発生以降、「世界最高水準の安全性と品質レベルを有する原子力発電所」の構築に向けて原子力部門が取り組んでいる再生プロジェクトの活動状況について報告、了承。

(2)主な意見

  • 委託業務については、設備面の違い等があることから、三発電所間で東京電力の関与の程度に濃淡があることは、いたしかたない面もある。しかし、委託先で不都合があった場合でも、会社の管理責任となることから、委託先に業務を任せきりにするのではなく、きちんと意識して管理することが重要。本社が責任をとるためのシステムを、品質監査等を通じて構築することが重要である。
  • 再発防止対策は、(1)不適合そのものへの応急処置、(2)三発電所での応急処置、(3)不適合に対する再発防止対策、(4)再発防止対策の三発電所への展開、(5)類似の作業・設備への展開、(6)マニュアル等の仕組み、技術標準への展開、の6つのステップで進めることが肝要。
  • 「まず第一報」の精神で、スピード感をもって公表していることは、大変好ましいこと。特に、協力会社員等に対して迅速に情報提供するメールマガジンの配信等の取り組みは評価できる。
    今後もこのような活動を継続するとともに、理解しやすい情報公開を目指し、社外の期待や認識に合致しているか評価・分析を進めること。
  • トラブルや不具合は、3H(変化、初めて、久しぶり)の際に発生しやすいため留意すること。ヒヤリ・ハットの事例も含めて、情報共有を綿密に実施すること。
  • 原子力発電所のような巨大プラントが長期停止した場合、再起動の時にはトラブルが発生しやすいもの。発生した際の判断が重要である。また、今後は、通常の定期検査の際に、不適合事象がどの程度発生するかといったことも地域の方々に提供することが安心の確保の面では必要である。
  • 原子力の安全や品質管理といった観点からは、設備の高経年化問題やリスク情報の活用、外的要因による事故や破壊といった問題等も検討していくことが、今後の課題。
  • 監査の目的は、発電所の改善を進ませることである。このために、監査のフォローをきちんと実施するとともに、発電所側との意見交換を充実させ、意識の共有化を図ることが重要である。
  • 再生活動にあたっては、まず課題の重要度を評価し、分別することが大切。
    また、再生活動において、意識改革を目的に各種の研修を実施しているようであるが、トップが中心となって、研修の成果がそれぞれの職場で活かされるような環境づくりを行うことも重要。

(3)次回の予定

  • 第7回会議を10月頃開催し、16年度上期テーマ監査結果等を審議する予定。

以 上

<添付資料>