プレスリリース 2000年

八丈島風力発電所へのNAS電池の設置について

~NEDOからの委託を受け、風力発電の出力安定化の実証試験を実施~



                                                            平成12年9月7日
                                                            東京電力株式会社


 当社は、風力発電の出力安定化の実証試験を行うため、八丈島風力発電所(出力:
500kW、平成12年3月営業運転開始)に「NAS(ナトリウム-硫黄)電池」(400kW)
を設置することといたしました。
 これは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実施する“平成12年
度事業「蓄電池併設風力発電導入可能性調査」”に係わる調査事業を、その委託先で
ある財団法人エネルギー総合工学研究所から当社が受託したものです。

 風力発電は、環境にやさしくクリーンという特長を持つ一方で、天候や風況などの
自然条件や立地条件によって出力が変動するため、電力系統への連系が増加すると電
気の品質が悪化し、一般のお客さまへの影響が懸念されております。このための方策
のひとつとして、風力発電システムに蓄電池を併設し、電気の品質を維持することが
考えられます。

 当社が実証試験を委託されたNAS電池は、鉛電池に比べてエネルギー密度が約3
倍と高く、コンパクトで自己放電がなく長寿命という特長があり、負荷平準化を目的
とした電力貯蔵システムとしてのみでなく、無停電電源や非常用電源としても注目が
集まっております。当社は平成7年12月から、新エネルギーパーク(千葉県富津市)
に設置した300kWの風力発電に50kWのNAS電池を併設し、電力負荷が少ない夜間に
充電し、時々刻々と変化する風車の出力に合わせて充放電する風力連系システムの試
験に取り組んでおります。今回の試験では、風力の最大幅の出力変動をカバーできる
大規模なNAS電池を使って実証試験を行うことによって、出力の安定化効果やコス
ト評価を実際の風況下で定量的に検証いたします。

 このような自然エネルギーと蓄電池を組み合わせたシステムは、ドイツなどの欧州
でも注目を集めており、当社としては、高効率でコンパクト性・環境性の高いNAS
電池の海外での普及拡大をめざすとともに、NAS電池のさまざまな用途への適用に
積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

                                                                      以 上

                                                                  <参 考>
1.受託した実証試験の概要
 (1)所在地 東京都八丈島八丈町中之郷2872番地
 (2)期 間 平成12年8月~平成13年3月
       (8月から設置工事の準備を始めており、平成13年2月に運転開始予定)
 (3)内 容
      oシステム整備
     ・NAS電池システムの設置工事
      o試験方法検討
     ・運転制御アルゴリズムの検討およびシミュレーション
    o実証試験およびデータ収集
     ・電池特性試験(容量試験、充放電効率、内部抵抗等)
     ・出力変動安定化試験(変動抑制運転、パターン運転)

2.八丈島風力発電所の概要
   ・出力      500kW
   ・機器製造    エネルコン社(独)
      ・風車中心の高さ 44m
   ・風車の枚数    3枚(長さ 19.2m)
      ・発電機     多極同期発電機(可変速インバータ付)
      ・発電開始風速  2.5m/s
      ・発電停止風速  25m/s
      ・定格出力風速  14m/s

3.八丈島の電源構成
 八丈島の電力供給は、地熱発電所(総出力:3,300kW、平成11年3月営業運転開始)
と風力発電所をベース供給力とした上で、需要変化にきめ細かく対応するため内燃力
発電所(ディーゼル発電、総出力:11,100kW、燃料:A重油)を組み合わせている。
      ・内燃力発電所  11,100kW
    ・地熱発電所    3,300kW
   ・風力発電所     500kW
    ※八丈島の最大電力需要(平成11年度実績)  10,750kW

4.NAS電池システムの特長
 NAS電池は、深夜に電気を充電し、昼間のピーク時などに放電を行うもので、揚
水式発電所と同様の機能を果たすことができ、しかも、都市部などの需要地やその近
傍に設置できるのが特長である。昼夜間の格差が大きい電力負荷の平準化や電力設備
の効率的運用に役立ち、設備投資の抑制につながるほか、風力や太陽光発電などの自
然エネルギーと組み合わせて、不安定な電源を安定化したり、非常時の電源として活
用することもできる。
(具体的特性)
 ・鉛電池の約3倍の高エネルギー密度のため、変電所や需要地の狭いスペースにコ
  ンパクトな設置が可能。
 ・高い充放電効率でかつ自己放電がないため効率的に電気を貯蔵することが可能。
 ・2,500回以上の充放電が可能で、かつ15年以上の長期耐久性に優れる。
 ・完全密閉型構造の単電池を使用しているため環境に優しく、メンテナンスフリー。
 ・短期間での設置が可能。

                                                                      以 上



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