プレスリリース 2001年

電気の可視原理の実証および画像化の成功について

~世界で初めて電気を直接目で見ることに成功!~



                              平成13年10月23日
                              東京電力株式会社

 当社電力技術研究所は、世界で初めて、電線などの導体に電気が存在するとかすか
な振動が生じることを実証するとともに、その原理を応用して、電気の存在や流れを
画像化し直接目で見ることに成功しました。

 当社では、電力設備を点検する場合には、感電防止など安全を確保するため、検電
器(注1)という機器を直接電線などに接触させて電気の有無を確認しています。しか
し、検電器は電圧が高くなるほど大型のものが必要となり、取り扱いが難しいという
欠点があります。このため、当研究所ではかねてから、直接電線に触れずに電気の有
無を検出できる、安全で効率的な方法を研究してまいりました。

 今回の研究成果はつぎのとおりです。
 1.電線などの導体に電気が存在すると、導体にかすかな振動が生じることを世界で
  初めて実証しました。
   交流の電気には周波数による一定の振れがあるため、電気が存在する導体には
  かすかな振動が生じているはずであるという仮説のもと、導体にレーザを照射し
  て、その反射波の振動状態をドップラ効果(注2)を応用した検出器を使って捉
  えようと試みました。
   その結果、導体が電気の周波数の2倍の振動数でかすかに振動(例えば周波数
  50ヘルツの電気の場合、導体の振動数は2倍の100ヘルツで振動)しているという
  ことを確認いたしました。
   なお、本成果については、平成13年3月に特許を出願中です。

 2.反射波の振動を画像化することで、電気の周波数、電圧、電流を直接肉眼で見る
  ことが可能になりました。
   レーザ装置に組み込んだ「CCDカメラ」、反射波の振動数を検出する「振動検
  出器」、振動を画像化する「表示ソフト」を組み合わせることにより、導体の振
  動をモニタ上で画像化することに成功いたしました。
   また、導体の振動の幅は、電圧や電流の2乗に比例して大きくなることもわか
  ったことから、これらの現象により電気の有無や周波数はもちろん、電圧や電流
  の値も検出することが可能です。

 今後はさらに研究開発を進め、平成14年度中を目途に、ポケットサイズにまで装置
をコンパクト化した試作品を完成させる予定です。さらに将来的には、手軽で安全、
低コストで電気の状態を確認できる商品として、電気に携わる技術者を対象に当社ブ
ランドでの販売も検討してまいりたいと考えています。
 また、今回の機器の開発により、これまで概念や計算でしか認識できなかった帯電
現象や誘導現象などの電気的な現象を、視覚的に捉えることが可能となったことから、
教育面においても有益なツールを提供できると考えています。
                                   以 上

(注1)検電器
 絶縁棒の先にネオン管などの検電部を施したもので、導体に接触させて電気の状態を
検出する装置。6万V用の検電器で、3m、2.5kgほどのサイズとなる。 

(注2)ドップラ効果
 運動している物体にレーザ、電波、超音波などを照射すると、物体からの反射波の振
動数は物体の速度によって変化するので、照射波と反射波の振動数を比較することによ
り物体の動きや速度が算定できるという原理。例えばピッチャーの投球速度を検出する
方法は、ボールに電波を当てて、ボールから反射する電波のドップラ効果を応用したも
の。

                                   <参考>
○研究主体
 東京電力株式会社 電力技術研究所
 所長:森本祥一
 住所:神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4-1

○研究期間
 平成12年10月~平成15年3月
 平成14年度中を目途に実用化のための試作品完成をめざす

○研究費用
 約3,700万円






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