平成18年3月29日
東京電力株式会社
当社は、福島第一原子力発電所3号機(沸騰水型、定格出力78万4千キロワッ
ト)および柏崎刈羽原子力発電所2~5号機(沸騰水型、定格出力110万キロワ
ット)において、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(実用炉規則)
第15条の2第1項」に基づき、保安活動の一環として、定期安全レビューを実施
いたしましたのでお知らせいたします。
定期安全レビュー(PSR:Periodic Safety Review)は、原子力発電所の安全
・安定運転を継続していくことを目的に、原子力発電所における運転経験の包括
的評価および最新の技術的知見の反映状況の評価を行うとともに、確率論的安全
評価※を実施することにより、炉心の健全性の維持に関する評価を行い、原子力
発電所の安全性・信頼性を総合的に評価するものです。平成4年6月に通商産業
省(現:経済産業省)より実施の要請を受け、自主保安活動の一環として実施し
てきておりましたが、その後の実用炉規則の一部改正(平成15年10月施行)によ
り、定期安全レビューの実施が法令上義務付けられております。
福島第一原子力発電所3号機および柏崎刈羽原子力発電所2~5号機で実施し
た定期安全レビューの概要は、次のとおりです。
(1)運転経験の包括的評価
品質保証活動、運転管理、保守管理、燃料管理、放射線管理及び環境モニタ
リング、放射性廃棄物管理、事故・故障等発生時の対応及び緊急時の措置、事
故・故障等の経験反映状況について、各分野ごとに各種データのトレンド、設
備や保安活動の改善状況等を評価した。
この結果、発電所の安全性・信頼性を維持向上させる保安活動は継続的に改
善されていることを確認した。
(2)最新の技術的知見の反映
軽水炉の安全性・信頼性に関連する重要な技術的知見が、適切に設備や管理
に反映されているかどうかを評価した。
この結果、国内外の原子力発電所の運転経験等に関する最新の技術的知見が
原子炉施設の安全性を確保する上で重要な設備等の改善や保安活動等に適切に
反映され、安全性・信頼性の向上が図られてきていることを確認した。
(3)確率論的安全評価
プラント運転時の炉心及び原子炉格納容器の健全性を維持するための安全上
の特徴、ならびにプラント停止時の炉心の健全性を維持するための安全上の特
徴を評価した。
この結果、プラント運転時については、原子炉の停止、炉心の冷却、放射性
物質の閉じ込めといった基本的な安全機能により、本原子炉施設の安全性が十
分確保されていること、及び整備したアクシデントマネジメント策の効果が十
分に認められることを確認した。またプラント停止時についても、安全確保の
ための設備の管理と運用が適切に実施されていることにより、本原子炉施設の
安全性が十分確保されていることを確認した。
今回の定期安全レビューの結果、福島第一原子力発電所3号機および柏崎刈羽
原子力発電所2~5号機において、保安活動の継続的な改善活動が実施されてい
ることを確認いたしました。これは、厳格な運転管理や設備の更新・改良等を含
む予防保全を基本とした、適切な保守管理や国内外の事故・故障等の経験に基づ
き、再発防止策の的確かつ継続的な実施に努めたことなどによるものであると考
えております。
なお、当社原子力発電所の一連の不祥事以降、その再発防止対策の取り組みを
進める中で、さまざまな改善活動を実施しておりますが、その内容も今回の定期
安全レビューにおいて確認しております。
当社は、今回の定期安全レビューの結果を踏まえ、さらに原子力発電所の安全
性、ならびに安全に対する取り組みについて引き続き努力し、社会の皆さまから
の一層のご理解と信頼を得てまいりたいと考えております。
以 上
※確率論的安全評価
確率論を用いて原子力発電所の安全性を総合的かつ定量的に評価する手法で
あり、炉心が損傷に至る事象に着目し、損傷に至る事故シナリオや損傷後の事
象進展を想定することにより、その発生頻度について定量評価している。
添付資料
・福島第一原子力発電所3号機定期安全レビュー(第2回)報告書の要旨
(PDF 17.7KB)
・柏崎刈羽原子力発電所2~5号機定期安全レビュー報告書の要旨
(PDF 18.5KB)
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