プレスリリース 2008年

「非常用炉心冷却系統ストレーナの設計時の不適合への対応」に対する経済産業省原子力安全・保安院への報告について

                            平成20年1月23日
                            東京電力株式会社

 当社・福島第一原子力発電所6号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)
につきましては、平成19年10月1日から第20回定期検査を実施しておりますが、
非常用炉心冷却系ストレーナ(以下、ストレーナ)の取替工事*1の一環として、
新しいストレーナの性能確認を実施するため、高圧炉心スプレイ系*2の確認運
転を行ったところ、新しいストレーナの圧力損失*3が設計当初の想定値よりも
大きかったことが確認されました。
 このため、当該ストレーナの圧力損失の影響について再評価を実施し、非常用
炉心冷却系の機能に支障がないことを確認するとともに、再評価の結果を反映し、
工事計画変更認可申請*4の手続きを行いました。

 また、本事象と同様にストレーナ取替工事を実施したプラントについて、平成
20年1月16日、ストレーナの有効性の再評価*5および結果報告の実施などにつ
いて、原子力安全・保安院より指示文書*6を受領したことから、当該6号機を
のぞく当社プラントについても今後詳細に評価を行うとともに、再評価の結果に
応じて工事計画に係る手続きを行うこととしておりました。
                    (平成20年1月16日お知らせ済み)

 当社は原子力安全・保安院の指示文書にもとづき、非常用炉心冷却系ストレー
ナ単体の圧力損失を再評価するとともに、ストレーナから非常用炉心冷却系ポン
プに至るまでの配管の圧力損失を含め、ストレーナの有効性に係る再評価をとり
まとめ、本日、報告書を提出いたしましたのでお知らせいたします。

 調査の結果、ストレーナ取替工事を実施済みの13基のプラントについて、以下
のことがわかりました。
 ・福島第一原子力発電所6号機と同じ種類のストレーナに取り替えた5基(福
  島第一原子力発電所2・3号機、福島第二原子力発電所1・3号機、柏崎刈
  羽原子力発電所2号機)のプラントについて、有効性評価条件の変更の必要
  性があることを確認した。
 ・同号機とは異なる種類のストレーナに取り替えた8基(福島第一原子力発電
  所1号機、福島第二原子力発電所2・4号機、柏崎刈羽原子力発電所3・4
  ・5・6・7号機)のプラントのうち4基(福島第二原子力発電所2・4号
  機、柏崎刈羽原子力発電所5・7号機)については、ストレーナ単体の圧力
  損失の評価には問題がなかったが、ストレーナが接続されている一部の配管
  の圧力損失に関して、有効性評価条件の変更の必要性があることを確認した。
  なお、残る4基(福島第一原子力発電所1号機、柏崎刈羽原子力発電所3・
  4・6号機)については、有効性評価条件の変更の必要性はなかった。

 これらを踏まえ再評価を実施した結果、すでにストレーナ取替工事済みの13基
のいずれにおいても、許容される圧力損失を超えておらず必要な値を満たしてい
ることから、非常用炉心冷却系の機能に支障がないことを確認いたしました。
 なお、これらのストレーナの有効性評価条件に変更が生じた9基(福島第一原
子力発電所2・3号機、福島第二原子力発電所1・2・3・4号機、柏崎刈羽原
子力発電所2・5・7号機)のプラントについては、工事計画に係る手続きを実
施することといたします。

 また、現在ストレーナ取替工事を実施している柏崎刈羽原子力発電所1号機の
残留熱除去系ストレーナについては、すでに撤去済みの繊維状の保温材が存在し
たと仮定し、さらに設計上考えうる最小の寸法(設計上、圧力損失が最も厳しく
なる)で製造されたものと仮定して評価した場合、必要な値にわずかに達しない
結果となることから、今後、設計の見直しを行います。

 当社といたしましては、ストレーナの設計に対する検証や妥当性の確認等が十
分でなかったことから、本件に対する再発防止について着実に実施してまいりま
す。

                                 以 上

【別紙】
 ・「非常用炉心冷却系ストレーナの有効性評価について(概要版)」(PDF 45.5KB)


*1 非常用炉心冷却系ストレーナの取替工事
    非常用炉心冷却系ストレーナとは、原子炉冷却材喪失事故時に原子炉に
   注水するため、非常用炉心冷却系ポンプが設置されているが、水源である
   圧力抑制プールに異物があった場合にポンプに吸い込まれてポンプ等に悪
   影響を与えることを防止するため、圧力抑制プール内の配管入口に設置さ
   れている金網。
    原子力安全・保安院からの設備対策指示(原子炉格納容器内の繊維状の
   保温材の撤去または非常用炉心冷却系ストレーナの大容量化)にもとづき、
   原子炉格納容器内の繊維状の保温材を撤去するとともに、圧力抑制プール
   内の非常用炉心冷却系ストレーナを大容量ストレーナに取り替えを行うも
   の。               (平成19年9月28日お知らせ済み)

*2 高圧炉心スプレイ系
    非常用炉心冷却系の1つで、原子炉水位が異常に低下した場合に、原子
   炉内に水を補給するための系統。

*3 圧力損失
    水が流れる際に発生する水圧の低下。

*4 工事計画変更認可申請
    電気事業法にもとづき、主要な電気工作物の設置または変更の工事があ
   った場合、工事の計画を提出し認可が必要となる。認可された工事計画を
   使用前自主検査までの期間内において変更する場合、必要に応じて、工事
   計画変更認可申請を提出する。

*5 ストレーナの有効性の再評価
    非常用炉心冷却系ストレーナの大型化に伴い、事故時に非常用炉心冷却
   系ポンプを起動した際に、圧力抑制プールに落下した保温材が非常用炉心
   冷却系ストレーナに捕獲されることにより目詰まりが生じても、ポンプの
   必要吸込圧力が確保できることを評価したもの。ストレーナで捕獲された
   保温材だけではなく、ストレーナ内を水が通過することにより発生する圧
   力損失も考慮される。

*6 指示文書
    「非常用炉心冷却系統ストレーナの設計時の不適合への対応について」
                      (平成20・01・16原院第1号)
   1.今回の事象を踏まえて、ECCSストレーナの有効性評価を行い、そ
     の結果を平成20年1月23日(水)までに当院に報告すること。
   2.評価の結果、工事計画申請時のECCSストレーナの有効性評価条件
     に変更を生じる場合は、電気事業法に基づく工事計画に係る手続きを
     行うこと。

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