原子力発電FAQ

A1「S(安全性)+3E(安定供給・経済効率性・環境適合性)」を同時に達成するエネルギーミックスの実現には、原子力発電を活用していく必要があります。

日本のエネルギー自給率はわずか15%程度。資源のほとんどを海外からの輸入に頼っています。
安定した電力供給を確保するためには、特定の燃料に依存せず、「S(安全性)+3E(安定供給・経済効率性・環境適合性)」の観点から、バランスの取れたエネルギーミックスを目指すことが重要です。
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成比が示され、原子力は再生可能エネルギーとともにエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源として最大限活用することが示されました。
原子力発電は、発電時にCO2を排出しないため、地球温暖化防止に優れ、さらにコストに占める燃料費の割合が小さいため、燃料費が高騰しても電気料金への影響を抑えられるという経済的な利点があります。
他の電源と遜色ないコスト水準で、安定的な発電が可能な脱炭素電源である原子力発電は、エネルギーミックスの実現と2050年のカーボンニュートラル達成のために必要な電源です。

主要国のエネルギー輸入依存度

出典:電気事業連合会「原子力コンセンサス2025」

A2再生可能エネルギーは季節や天候、時間帯によって発電量が変動するため、安定的に発電できる原子力発電や、出力調整が可能な火力発電、再生可能エネルギーの出力に応じて柔軟に充電・放電できる蓄電システム等と組み合わせる必要があります。

日本の電力需要は季節や天候、また1日の中でも時間帯で大きく変動します。電気は貯めておくことができないため、常に消費される電力量と同じになるように発電量を調節する必要があります。
太陽光や風力は再生可能エネルギーとして重要な電源ですが、季節や天候、時間などによって発電量が変動するため、安定供給のためには出力の上下に対応できる火力発電や蓄電システムと組み合わせてエネルギーを蓄積する手段の確保が必要です。
さらに今後は太陽光発電や風力発電の導入拡大により、定置用蓄電システムの導入促進とあわせて、長時間エネルギーを貯蔵する技術(LDES)」の必要性も増していくことが予想されます。

需要の変化に対応した電源の組み合わせ(例)

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

A3原子力発電の発電コストは、変動も少なく他の電源と遜色ない水準です。

2025年の政府の試算では、原子力の発電コストは12.5円~/キロワット時(2040年モデルプラント試算結果)で、他の電源と遜色ない水準となっています。
これは発電に直接関係するコストだけでなく、廃炉費用・原子燃料サイクル費用などのコスト、事故対応費用(損害賠償・除染含む)、電源立地交付金・技術開発などの政策経費といった社会的費用も織り込んで試算されています。
また、2025年2月に閣議決定された、第7次エネルギー基本計画では、電源単体の発電コストだけではなく、ある電源を追加したときに電力システム全体に追加で生じる「統合コスト」も加えて検討することが示されており、原子力の発電コストは、統合コストを加えた場合でも、他の電源と遜色ない水準となっています。

1kmhあたりの発電コスト

出典:電気事業連合会「原子力コンセンサス2025」

A4使い終わった燃料は、再処理することで、再び燃料としてリサイクルできます。

ウラン燃料は発電により3~5%程度しか消費されず、残りの95~97%程度は再利用することが可能です。
日本では、この原子力発電所で使い終わった燃料(使用済燃料)から消費されなかったウランと新しく生まれたプルトニウムを回収し、再び原子力発電所での使用するリサイクル計画を進めており、ウラン資源をリサイクルする一連の流れを「原子燃料サイクル」といいます。
使用済燃料を再処理して取り出した少量のプルトニウムと、ウランを混ぜてMOX燃料をつくり、現在の原子炉(軽水炉)で再利用することをプルサーマルといい、原子力事業者は、再処理したプルトニウムを確実に利用するという、これまでの方針に基づき「プルサーマル計画」を策定しています。
当社としては、現段階ではプルサーマルの具体的な計画について見通せる状況にはありませんが、資源の乏しいわが国において、将来にわたりエネルギーを安定的に確保していくためには、国内における原子燃料サイクルの確立は不可欠との認識の下、地域のご理解を大前提に、引き続き電気事業連合会をはじめ、関係各所と連携してプルトニウムの利用を推進してまいります。

ウラン資源のリサイクル利用(資源の有効活用)

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

A5「放射性廃棄物」は、原子力発電や、使用済燃料のリサイクルなどに伴って発生する、「(放射線を出す)放射性物質を含む廃棄物」です。

原子力発電所の運転に伴って発生する放射性物質を含む廃棄物は、気体状、液体状、固体状のものに分類されます。
気体状の放射性廃棄物は、原子炉から出る希ガスやヨウ素を減衰・除去し、放射性物質の濃度が安全であることを監視しながら大気中へ放出します。
液体状の廃棄物は機器や洗濯で生じる廃液をろ過や蒸留で放射性物質をできるだけ取り除き、放射性物質の濃度を測定して安全であることを確認した後に海へ放出します。
また、蒸留により濃縮した濃縮液はセメントやアスファルトで固めて発電所内の放射性廃棄物貯蔵庫で保されます。
固体状の廃棄物のうち、可燃性の紙や布、不燃性・難燃性の金属やガラスなどは圧縮して容積を減らし、専用容器(ドラム缶など)に詰めて放射性廃棄物倉庫で保管されます。また、イオン交換樹脂など放射性濃度が高いものは貯蔵タンクで長期間貯蔵し、放射性物質を減退させた後に専用の容器などに封入します。ドラム缶に詰めた廃棄物などは、低レベル放射性廃棄物として処分されます。
使用済燃料のリサイクルに伴って発生する廃棄物には、使用済燃料から取り出した核分裂生成物を含む高レベル放射性廃棄物があります。

放射性廃棄物の種類

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

A6高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)は、地下の深い安定した岩盤に埋設し、処分する計画です。

使用済燃料から、再利用できるウランやプルトニウムを回収すると、放射能レベルの高い廃液が残ります。
この廃液を高温のガラスと溶かしあわせ、ステンレス製の容器(キャニスター)に流し込んで固めたものを「ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)」といいます。ガラスは水に溶けにくく、化学的に安定しているため、放射性物質を長期間閉じ込めることに優れています。ガラス固化体は、青森県六ヶ所村の貯蔵施設で、最終的な処分に向けて搬出されるまでの30~50年間冷却冷却した後、地下300mより深い安定した岩盤に地層処分します。
日本における処分事業は、国に認可を受けた「原子力発電環境基盤機構(NUMO)」が実施し、最終処分の必要性やその選定プロセスなどへの理解を深めてもらうための取り組みや情報提供が進められています。
また、「日本原子力研究開発機構」により、「幌延深地層センター(北海道)」では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発が行われており、地下に坑道を掘り進みながら地上からの調査研究で立てた予測の確認、調査手法や解析評価手法の妥当性が検討されています。

高レベル放射性廃棄物の処分方法の検討

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

A7運転を終えた原子力発電所は原子炉から燃料を取り出し、最終的に解体・撤去します。解体廃棄物の大部分は放射性廃棄物として扱う必要がなく、資源の有効利用の観点からリサイクルしていきます。

運転期間を終えた原子力発電所は、原子力規制委員会の認可を受けて「廃止措置」へ移行します。
電力会社は原子炉を廃止しようとする際、原子炉施設の解体、核燃料搬出、汚染除去、廃棄物管理などを講じ、その廃止措置計画について、原子力規制委員会の認可を受ける必要があります。さらに廃止措置終了後も確認を受け、この修了確認により、法律上の「原子力発電所(原子力施設)」ではなくなります。
運転を終えた原子力発電所は、安全を確認しつつ解体撤去し、放射性廃棄物以外は通常の廃棄物同様、資源として再利用や処分ができます。
一部の低レベル放射性廃棄物は廃棄する必要がありますが、放射能レベルに応じた処分について、国で規制整備が進められています。

なお、当社福島第二原子力発電所では、1~4号機について2021年4月28日に廃止措置計画の認可を受け、同年6月16日に福島県、楢葉町および富岡町より、廃止措置計画認可申請に係る事前了解を受領し、同年6月23日より廃止措置作業に着手しています。

福島第二原子力発電所の廃止措置

廃止措置に伴って発生する廃棄物の量と種類

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

A8原子力発電所の運転中には、微量の放射性物質が周辺の環境に放出されます。発電所周辺の人々が受ける放射線の量が自然放射線よりはるかに低い年間0.05ミリシーベルト以下になるように、厳重に管理しています。

原子力施設周辺の空間放射線量率の測定(モニタリングポスト、モニタリングステーション、モニタリングカー)や環境試料(陸上、海洋)の採取・測定を行い、放射線・放射能による周辺環境への影響がないことを確認しています。

原子力施設周辺の環境放射線モニタリング

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」