フィルタベントシステムの自社開発
目的
フィルタベントシステム(FCVS)は原子力発電所の安全対策設備の一つで、原子力発電所の重大事故時において原子炉格納容器の過圧破損を防ぐためにベントを行う際、ベントガスに含まれる放射性物質をフィルタで除去し大幅に低減する設備です。当社は福島第一原子力発電所事故を教訓とし、FCVSの設置が義務化される以前からFCVSの速やかな設置と技術力向上を目指して自社開発に取り組み、日本国内で初めて高性能FCVSの開発に成功しました。
概要と成果
当社のFCVSは、セシウム等の粒子状の放射性物質やガス状の無機よう素を除去する『FCVSフィルタ』と、ガス状の有機よう素を除去する『有機よう素フィルタ』で構成されます。これらの設備は、実機を模擬した大型試験装置等での性能評価試験により、FCVSフィルタの除染係数(DF)1000以上、有機よう素フィルタのDF50以上という非常に高い性能を達成することを確認しています。
当社が開発したFCVSフィルタの性能
除去対象の放射性物質 | 除染係数(DF) | 放射性物質の除去率 |
---|---|---|
セシウム等の粒子状物質 | 1000以上 | 99.9%以上 |
無機よう素(ガス状物質) | 1000以上 | 99.9%以上 |
当社が開発した有機よう素フィルタの性能
除去対象の放射性物質 | 除染係数(DF) | 放射性物質の除去率 |
---|---|---|
有機よう素(ガス状物質) | 50以上 | 98%以上 |
成果の適用先・事例
当社が開発したFCVSは柏崎刈羽原子力発電所6号機、7号機へ導入され、現在設置工事が進められています。
担当部署
経営技術戦略研究所 技術開発部 環境・エネルギーエリア