気候変動による激甚気象の変化傾向
目的
地球温暖化は遠い未来の話ではなく、その影響は既に顕在化しています。最大限のCO2削減を進めたとしても、今後数十年は温暖化がさらに進むことを避けられません。このため、気象の激甚化を前提として、電力設備へのリスク変化を分析し、事前と事後の両面で対策を検討しておくことが重要です。科学的な知見に基づいた適切な対策立案に役立てることを目的として、気候変動による激甚気象の変化傾向について情報を整理し、適宜発信しています。
概要と成果
- 近年、我が国を襲った台風や豪雨の激甚化の一因として、地球温暖化に伴う日本近海の海水温の上昇が影響していると考えられ、今後も注意が必要です。
- 令和2年の九州豪雨(令和2年7月豪雨)の際に線状降水帯が長時間継続したのも、日本の南で海面水温が高く、大量の水蒸気が流入したことが要因と考えられます。
- 海水が温かくなると台風のエネルギー源である水蒸気の量が増えます。令和元年の台風15号、19号も、日本の南海域の海面水温が平年値より1~2℃高い状況下、強い勢力を保って日本に上陸しました。最近40年間で、東京への台風の接近数は約1.5倍に、中心気圧980hPa未満の強い台風の接近頻度は約2.5倍に増加しました。
担当部署
経営技術戦略研究所 技術開発部 環境・エネルギーエリア