各グループが連携して監視、制御する
給電所は電力供給の司令塔。

2016/04/01

水道やガスと違って電気は貯蔵することできない。私たちが電気のある快適なくらしを享受するために、電力のネットワークを安定かつ効率的に運用するように常に監視・制御し、適切な供給を保つ役割を果たすのが給電所だ。
今回は引っ越しを完了させたばかりの東京給電所で、24時間365日体制で動き続ける施設内での仕事ぶりを追った。

写真左:
東京総支社 東京給電所 西方面給電制御グループ
末吉大祐
1998年4月入社。神奈川県の横浜給電所に配属され、系統運用グループ、工事調整グループを経て、2006年7月より東京支店の東京給電所へ異動。系統運用グループ、系統技術グループの業務を担当した後、2015年から現職。

写真中:
東京総支社 東京給電所 停止計画グループ
福山優明
1996年4月入社。東京給電所に配属となり、系統運用グループや保護制御グループ、系統技術グループの業務を担当。その後、2008年7月から東京支店設備部設備計画グループを経て、2014年7月から現職。

写真右:
東京総支社 東京給電所 給電システムグループ
原田将行
1999年4月入社。山梨給電所系統運用グループに配属され、電力系統の監視・制御を行う。2005年7月に東京給電所系統運用グループへ異動となった後、2009年10月より現職。

安定供給に加えて、
電気の品質の管理も重要な任務

暗い夜道を街頭が照らし、家に明かりが灯り、電子レンジが食べ物をあたためる。私たちのくらしに電気は欠かせないものだ。そんな電気がつくられて、私たちのくらしを満たすには、どのような過程を経ているのだろうか。
電気が私たちの家に届くまでには大きく分けると発電所、変電所、その間を繋ぐ送電線や家庭まで電気を届ける配電線という設備が関わっている。発電所は電気をつくるところ。変電所はビルや家庭でも使えるサイズに電圧を下げるところ、送電線や配電線は電気が通るところ。とすると、給電所とはどのようなところなのだろうか。
給電所はその機能から、中央給電指令所、系統給電指令所と、関東各地に点在する地方給電所があり、今回はその中の東京給電所を訪ねた。

福山「ひと言で説明すると、発電所でつくられた電気が配電されるまでの流れを、監視・制御する場所です。」

原田「変電所にも監視機能はありますが、それは変電所を単体で監視するものです。給電所はあらゆる場所に届く電気の流れが適切かを監視し、必要に応じて止めたり流れを変えたりします。同時に、電気の品質の管理も行っています。」

東京の電力供給状況がひと目でわかる系統盤。55インチのディスプレイ30枚で構成され、どの送電線でどのぐらい電力が送られているかがひと目で確認できるようなっている。天気やニュースなども表示でき、電力供給に影響を及ぼす情報に対して迅速に対応できるようにしている。

電気の品質とは、常に安定した電気をお客さまへ届けることである。例えば、蛍光灯なら電圧が高すぎると蛍光灯の寿命が短くなったり、機器が壊れてしまったりすることがある。また、電圧が低すぎると電気がちらついてしまう。そういったことがないように、常に品質の高い電気を安定的に供給ができるよう電力ネットワーク全体の監視と制御を行っているのが給電所なのである。

止めることができない給電所、
引っ越しは1年以上前からの準備で実施!

2016年、システムの刷新にともない東京給電所は事業所を大崎から新宿に移設。365日24時間監視と制御を続けなければならない状況のもと、従業員約80名が移動する大がかりな引っ越しが実施された。
「引っ越しは1年がかりのプロジェクトになりました」と話すのは原田さん。「1年前から新宿のビルで給電所のシステムを組みはじめて何度もテストを実施。大崎からも新宿からも監視と制御ができる状態を完璧につくりあげ、そこからようやく引っ越しをしたんです。」

写真左が旧給電所の系統盤。固定図として描かれていて、盤は広範囲を示すために湾曲した形。右の新しい系統盤は液晶モニターならではの繊細な表示が可能となり、使用する面積もその分かなり縮まった。

業務を途切れさせないためには給電所内外の各グループとの連携をより綿密にしなくてはならない。また、各変電所との情報通信ネットワークも構築し直さなくてはならず、移設には多くの時間が必要とされた。

原田「しかし、東京の電力設備を運用する社員が多く勤務している建物に移転したことで、業務上の連携や、事故・トラブル時など緊急時の連絡が取りやすいことなど、メリットは大きいですね。」

各部署がそれぞれの役割を担い、
電力の安定供給に務めている

末吉さん、福山さん、原田さんは、同じ給電所にいながら、それぞれ別の仕事を担当する。

末吉さんは24時間体制で電気の監視と制御を担当する給電制御グループの一員だ。「50名が5名ずつ10班に分かれ、そのうち2班が常駐し、24時間体制で交代しながら担当しており、担当者の人数は給電所所属の社員としては一番多くなっています。」

福山さんは停止計画グループ所属。変電所や送電線など、電力を届ける各設備は、安定供給のため常に点検整備が行われている。当然、作業の間はその設備への電気を止めなくてはならないが、給電所はそのすべてをスムーズに行うための計画運営も担っている。その実数は年間2~3千件にものぼる。電気を止めたり、流したりといった制御がかなりの頻度で行われていることがわかる。

原田さんは給電システムグループで、各変電所の実際の設備の状態と給電システムの情報がしっかり連動するか、1対1の関係できちんと情報が接続されているかを確認することなども業務のひとつだ。

原田「東京給電所の引っ越しのときはいろいろとシステムの変更も行いました。より使いやすくなるよう手順を簡略化するなど、工夫を凝らしています。早く、新システムにみんなが慣れてくれるとうれしいですね。」

給電所内にはさまざまな部署があるが、それらが連携して効率よく作業をすすめることが、電力の安定供給のためには必要なことなのだ。

計算機室には系統盤の管理などを行うサーバーが設置されている。給電所の機能をつかさどるのはこの部屋に置かれたサーバーで、給電所の心臓部だと言える。左の旧施設に比べ、右の新施設ではぐっとコンパクトになった。

福山さんは、停止計画グループとして、年間2~3千にもおよぶ電力設備の停止計画を調整する。「1年前から、いつ、どの設備の電気を止めるのか、変電所、地中ケーブルや送電線等の作業予定や工事内容などを確認して年間の計画表を作り調整していくのです。作業予定が近づくにつれてさらに詳細に検討、確認を行っていきます。」

案件一つひとつに、さまざまなお客さまや設備を保守する部署が関わる。これらの調整を行っているというのだから、毎日の仕事はハードだ。

24時間365日眠らない給電所
各部署、各施設がチームワークを発揮

給電所の各業務は、ミスが許されないハードな仕事であるだけに気苦労も多いが充実感も大きい。

末吉「この仕事をしてだいぶ長くなってきたので、いまは自分のことをやりながら、若手スタッフへのアドバイスなども行っています。電気事業はトラブルなく、毎日平常運転できることが一番。ですから、みんなでチームワークを発揮して、毎日、問題なく過ごせるととてもうれしく感じますね。」

原田「この1年は、引っ越しに伴うシステムの整備が本当に大変でした。私の場合は、職場のみんながシステムを使ってくれるので、自分の成果を近いところで見ることができます。みんなが問題なく使用しているのを見ると安心します。」

左が旧系統盤で右が新しいもの。新豊洲変電所ももちろん組み込まれている。新しい変電所ができると、新たにその施設の情報が追加されるが、デジタル化された新しい系統盤ではその更新もスムーズに行える。

福山「綿密に検討した停止計画が問題なく行われていることがわかると充実感があります。いろいろな人と連携しながら動く仕事であるだけに、私の計画に不備があるとたくさんの人に迷惑をかけることになります。だから、何事もなく順調に終わると充実感で疲れも吹き飛びます。」

24時間365日、稼働し続ける給電所。眠らない設備のなか、とても大変な仕事のように感じるが、実際取材をするとスタッフは皆淡々と仕事をしているように見える。常に電気を安定的に供給できている状態を保つために、各部署のスタッフ全員が同じ方向を向き、チームワークを発揮して人々の"日常"を支えている。

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