電気を絶え間なく送るために重要な役割を担う、東京電力パワーグリッドの「中央給電指令所」

2018/01/10

水やガスのように貯めておくことができない電気は、絶え間なく発電され、さまざまな設備を経由してお客さまのもとへ届けられます。そのかげで24時間、電気を滞りなく送り続けるための重要な任務を担うのが、東京電力パワーグリッドの「中央給電指令所」。そこで働く社員が、あまり知られていない「中央給電指令所」の役割と日々の取り組みを語ります。

東京電力パワーグリッド株式会社
中央給電指令所 需給グループ

増田 怜一

2011年4月入社。埼玉給電所に勤務したのち、2015年10月より都心系統給電指令所の当直となり、2017年7月より現職。

「中央給電指令所」の大切な3つの役割

私は現在、東京電力パワーグリッドの「中央給電指令所」に勤務しています。一般の方にはあまり馴染みがないので、何をしているところなのかわかりにくいのですが、「中央給電指令所」は、お客さまに電気を安定してお届けするために欠かすことのできない、3つの重要な役割を担っています。

その一つ目は、電気の使用量と発電量が等しくなるように発電量をコントロールし、周波数を一定に保つことです。お客さまの電気の使用量と発電所で作られる電気の発電量のバランスが崩れると、周波数が乱れ、電気を安定してお届けすることができなくなります。このため「中央給電指令所」では、時々刻々と変化する電気の使用量を予測しながら、それに合わせて発電所の発電量を調整し、東日本の標準周波数である50ヘルツを保つようにしています。

発電された電気は、発電所・送電線・変電所・配電線・引込線などの設備を経てお客さまのもとへ届けられます。そのすべての設備が組み合わされて構成されるシステムを「電力系統」といいます。「中央給電指令所」の二つ目の役割は、各都県にまたがる東京電力パワーグリッドエリアの「電力系統」全体の状況を把握し、そこを流れる電気をコントロールしながら「電力系統」を安定して運用することです。

三つ目の役割は、電気の使用量に大きな影響を与える気象情報をはじめ、その時々の電気の使用量などのデータや、「電力系統」設備の事故情報などを収集し、必要な情報を関係箇所に速やかに伝達することです。

「中央給電指令所」は、これら3つの役割を確実に果たすため、電気の使用量に合わせて発電量をコントロールする24時間体制の当直と、それを支える日勤で成り立っています。日勤では、年間・月間・週間の電気の使用量予測と発電量計画、コントロールシステムの保守・設計、電力系統の設備を停止する場合の調整などを行い、当直と力を合わせてお客さまのもとへ滞りなく電気をお届けするように努めています。

「中央給電指令所」では、需要(電気使用量)と供給力(発電量)を等しくすることで、標準周波数である50Hzに保つように努めています

「中央給電指令所」では、需要(電気使用量)と供給力(発電量)を等しくすることで、標準周波数である50Hzに保つように努めています

 

電気の安定供給に大きな影響を与える太陽光発電

一日の電気の使用量は時間によって大きく変化します。朝起きる時刻にご家庭での使用量が増えはじめ、会社がはじまり産業活動が開始されるとその使用量は急速に増加し、終業時刻に減少しても、日没後には照明のための電気が使われはじめます。また、季節によっても、冷暖房が欠かせない夏と冬、穏やかな気候の春と秋では電気の使用量が大きく違いますし、雷や台風などの自然災害で、「電力系統」の設備が使えなくなることもあります。ですから「中央給電指令所」では、リアルタイムで発電量をコントロールするだけでなく、気象の変化や自然災害などによる設備トラブルにも備え、適正な発電量の余力を常に確保しています。

近年では、再生可能エネルギー、とくに太陽光発電が増えています。天気に左右される太陽光の発電量はコントロールすることができないので、他の電源によって適切に調整をおこなわないと発電量と使用量のバランスが崩れてしまい、「電力系統」の安定した運用が難しくなることがあります。それに備えて確保しなければならない発電量の余力が増えると、コストもかさみます。今後ますます増えてくる太陽光などの再生可能エネルギーについては、こうした課題にしっかりと対応しつつ、低コストとなるような運用に取り組んでいかなければなりません。

1日の需要(電気使用量)と供給力(発電量)は、季節や曜日によっても大きく異なります

1日の需要(電気使用量)と供給力(発電量)は、季節や曜日によっても大きく異なります

 

子や孫の世代にも自慢できる「電力系統」を目指す

省エネ機器の普及や再生可能エネルギーの増加、電力の全面自由化など、電気を取り巻く環境は大きく変化しています。それにともない、ますます難しくなる電気の使用量の予測に対応するために、私は現在、東京電力ホールディングスの経営技術戦略研究所とともに、実績データなどを活用した「需要予測システム」の精度向上に取り組んでいます。
しかし、需要予測の精度をどうすれば向上させることができるのかという明確な答えはありません。ですから、困難を感じることも多いのですが、これまでの実績データを分析したり、チームのメンバーと意見交換をしたりしながら、精度向上に寄与するヒントを日々探し続けています。

そんな私にとって、気象変動の激しかった今年の夏を無事に乗り越えられたことは、大変うれしく、大きな励みにもなりました。台風が通過した後の8月9日の猛暑や、夏にしては珍しい連日の降雨などにも、所員全員が協力し、しっかりとした準備を積み重ねることで対応することができたのです。

これからも、そうした経験を重ねながら、日々勉強という気持ちを忘れずに前進していきたいと思います。そして、人々の暮らしになくてはならない電気を絶え間なく繋いでいくために、子や孫の世代にも自慢できる「電力系統」を作り上げるという、さらなる目標に向かって挑戦を続けてまいります。

24時間体制で電気の安定供給に努める「中央給電指令所」の仲間とともに

24時間体制で電気の安定供給に努める「中央給電指令所」の仲間とともに

 

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