Q&A

汚染水について

  • 福島第一原子力発電所で発生している「汚染水」ってどういうものですか。

    福島第一原子力発電所の事故により発生している、高濃度の放射性物質を含んだ水のことです。

    福島第一原子力発電所1~3号機の原子炉内には、事故により溶けて固まった燃料(燃料デブリ)が残っています。燃料デブリは水をかけ続けることで冷却された状態を維持していますが、この水が燃料デブリに触れることで、高濃度の放射性物質を含んだ「汚染水」が発生します。また、この高濃度の放射性物質を含んだ「汚染水」は原子炉建屋内等に滞留しているため、建屋内等に流れ込んだ地下水や雨水と混ざることによっても「汚染水」が発生します。
    この「汚染水」は、複数の設備で放射性物質の濃度を低減する浄化処理を行い、リスク低減を行った上で、敷地内のタンクに「ALPS処理水等」として保管しています。

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  • 現在、福島第一原子力発電所内で保管している水に含まれている放射性物質の種類やその総量を知ることはできますか。

    現在、福島第一原子力発電所内のタンクで保管している水(ALPS処理水および処理途上水)については、主要な核種の濃度を分析した結果を当社ホームページで公表していますが、このデータは放出の判断を行うものではありません(処理途上水は、放出前に、ALPS処理水となるまで再浄化します。処理途上水のまま、放出することはありません)。
    現時点でALPS処理水になっている水も、処理途上水を再浄化してALPS処理水なった水も、ALPS処理水の放出にあたっては、放出前に、必ず当社ならびに第三者機関が、放射性物質の濃度の分析・評価を行い、確実に規制基準を満たしていることを確認し、その結果をホームページで公表しています。
    測定・確認用設備での排水前の分析結果はこちら

    現在、福島第一原子力発電所内のタンクには、原子炉建屋の地下に滞留した放射性物質を含む汚染水を多核種除去設備(ALPS)などを使って浄化し、放射性物質の濃度を低減した水(ALPS処理水および処理途上水)を貯留しています。それらの貯留用のタンク内の水について、主要な核種の濃度を分析し、当社ホームページで公表していますのでご覧ください。
    主要な核種の分析結果はこちら
    なお、タンク内の水には、ALPS処理水ではない処理途上水が約7割あり、今後、放出にあたっては、多核種除去設備(ALPS)により再度浄化処理を行い、ALPS処理水となるまで、トリチウム以外の核種の濃度を低減させる予定です。
    海洋に放出する水については、「測定・確認用設備」と呼ばれる設備に移送後、当社ならびに第三者機関が、放射性物質を分析・評価し、トリチウム以外の放射性物質について、確実に規制基準を満たしていることを確認し、その結果を当社ホームページで公表しています。
    測定・確認用設備での排水前の分析結果はこちら
    当社の放出計画では、放出の都度、放出予定の水について、「測定・確認用設備」で水をかく拌・循環させて水質を均質化させた後、69核種について分析・評価を行い、そのうちALPS処理前の水にも有意に存在する可能性がある測定・評価対象核種29核種が国の規制基準値を確実に下回っていることを確認します。また、トリチウムの濃度がどの程度か、加えて、その他39核種(=放出前に毎回測定する69核種のうち、トリチウムおよび前述の測定・評価対象核種である29核種に含まれない39核種)が有意に存在していないことも確認します。
    上記の当社の放出計画については、国際原子力機関(IAEA)の包括報告書においても「関連する国際的な安全基準に整合的であること」、「ALPS処理水の海洋放出が、人や環境に与える影響は無視できるほどのもの」、と結論づけられています。
    なお、当社では、ALPSの性能を把握するため、ALPSの出口において、主要核種については、週1回を目途に、ALPS除去対象である62核種を含む計64核種については、年1回を目途に、分析を行っております。そしてそれらの結果、ALPSは1回の処理で十分に国の規制基準値を下回るまで浄化できる性能があることを確認しております。さらに、その分析の結果からは、主要核種以外の核種は、これまでほとんど検出されていないこともわかっております。したがって、当社は、現在貯留中で国の規制基準を超える放射性物質を含む水についても、今後のALPS処理により規制基準値を下回るまで処理することが可能であると考えております。

  • タンクに貯蔵している国の規制基準を満たさない水(告示濃度比総和※が1以上)はどのように処理するのですか。
    ※放射性物質毎に法令で定める告示濃度限度に対する濃度の比率を計算し合計したもの

    トリチウム以外の放射性物質については、告示濃度比総和1を確実に下回るまで、多核種除去設備等であらためて浄化処理(二次処理)を行います。

    二次処理にあたり、その性能確認を行うため2020年に試験を実施しました。 この試験では、告示濃度比総和が異なるタンク群(「J1-C群」及び「J1-G群」)について、各々約1,000m3(合計約2,000m3)を二次処理し、トリチウムを除く放射性物質(62種類の放射性物質+炭素14)が国の規制基準値(告示濃度比総和1)を下回る値まで低減できることを確認しています。また、多核種除去設備による二次処理後のALPS処理水を第三者機関にて分析を行い、当社の分析結果と同様な結果が得られています。
    <除去対象核種(62核種)+炭素14の告示濃度比総和※>
     J1-C群 : 【処理前】2,406 → 【処理後】0.35
     J1-G群 : 【処理前】 387 → 【処理後】0.22
    *分析結果が検出限界値未満の放射性物質は、検出限界値を用いて算出。
    *除去対象核種(62核種)+炭素14のうち、検出された放射性物質は12種類(ストロンチウム90、イットリウム90、ルテニウム106、ロジウム106、アンチモン125、テルル125m、ヨウ素129、セシウム135、セシウム137、バリウム137m、コバルト60、炭素14 )。

    〇参考資料
    2020.9.10
    多核種除去設備等処理水の二次処理の性能確認試験
    2020.12.24
    多核種除去設備等処理水の二次処理性能確認試験結果(終報)
    2021.6.24
    多核種除去設備等処理水の二次処理性能確認試験結果(第三者機関)

  • タンクに保管している水に、トリチウム以外の放射性物質が国の規制基準を超えて残っているのはなぜですか。

    多核種除去設備(ALPS)の運用当初は、処理水が規制基準を満たすことよりも、敷地内の放射物質濃度の低減を優先して処理していたため、トリチウム以外の放射性物質が国の規制基準を超えて残っています。

    多核種除去設備(以下、ALPS)は、汚染水に含まれるトリチウム以外の放射性物質を国の規制基準を満たすまで浄化できる能力があり、現在(2019年以降)は、規制基準を満たすまで浄化処理しています。
    ALPSの運用当初は、処理水が規制基準を満たすことよりも、敷地内の放射物質濃度の低減を優先して処理していたため、トリチウム以外の放射性物質が国の規制基準を超えて残っています。
    今後これらの水(タンクに保管している水の約7割にあたる「処理途上水」)は、海洋放出前にトリチウム以外の放射性物質が規制基準を満たすまで取り除く再浄化処理を行います。