用語集

1) 交流電源

交流とは、一定時間毎に流れる方向が変わる電流のこと。日本で通常家庭に送られている電気は交流である。

2) 直流電源

直流とは、常時同じ方向に流れる電流のこと。なお、発電所で使われる電力は、発電所外や非常用ディーゼル発電機から供給される電力が交流であるのに対し、バッテリーから供給される電力は直流である。

3) 原子炉

内部にウラン燃料が入っており、燃料が核分裂の際に発生する熱エネルギーを取り出す装置のこと。

4) 原子炉建屋

原子炉が収められている建屋。

5) 定期検査

原子力発電所の運転を停止して実施する検査で国の検査官も立ち会う。通常13ヶ月に1回行われる。検査期間は、機器の点検、燃料や消耗品などの交換並びに保修、改造工事などの作業量を考慮して決めている。1、2ヶ月程度から半年近くまで及ぶ場合もある。4号機は平成22年11月30日、5号機は平成23年1月3日、6号機は平成22年8月14日から定期検査中であった。

6) 制御棒

原子炉内でウラン燃料の核分裂をコントロールし発電出力を調整する役目を果たす棒のこと。制御棒は中性子を吸収しやすい材質でつくられており、燃料集合体の間に入れることで中性子が吸収されて核分裂が抑制される。

7) 外部電源

送電線によって発電所外から供給される電力のこと。

8) 非常用ディーゼル発電機

外部電源が喪失したときに電力を供給するために設置されているディーゼル式の自家発電機。

9) 使用済燃料プール

発電に使用した燃料や新燃料を貯蔵・管理するために原子炉の横に設置されたプール。

10) 中央制御室

原子炉、タービン、発電機の運転、監視を行うために設けられた運転室。事故前までは運転員が常時滞在し監視を行っていたが、事故後は放射線量が高いため常時滞在することはなく、データ確認のために定期的に巡視を行っていた。平成23年9月には、それまで中央制御室でしか確認できなかった情報もすべて免震重要棟へ伝送される集中監視システムを構築し、同年10月から運用を開始した。

11) (原子炉)圧力容器

ウラン燃料と水の入っている鋼鉄製の容器。事故時のデータやデータを元にした解析より、1号機・2号機・3号機とも津波到達後数日の間に損傷燃料によって圧力容器に何らかの損傷が生じたと推定される。

12) 燃料被覆管

燃料棒の外側を覆っている外径約11mm、厚さ約0.7mmの管のことで、ジルコニウムという金属を含む合金でできている。

13) 主蒸気逃し安全弁

原子炉圧力容器の圧力が上昇した場合、圧力容器内部の蒸気を格納容器内に放出し圧力上昇を抑制する弁。主蒸気逃し安全弁の駆動には直流電源(バッテリー)が必要。

14) (原子炉)格納容器

原子炉圧力容器やポンプなど重要な機器を覆っている鋼鉄製の容器。

15) (水素)爆発

1号機と3号機は原子炉内の燃料損傷に伴い水素が発生し、格納容器上蓋の結合部分などから原子炉建屋内へ漏えいし蓄積・爆発し、4号機は3号機のベントの際に、排気筒合流部を通じて原子炉建屋内に水素が流入し蓄積・爆発したと推定される。2号機ではデータ解析より、水素爆発は発生しなかったと推定される。

16) 運用補助共用施設

使用済燃料共用プール設備などの入っている施設。使用済燃料共用プール設備は、福島第一原子力発電所各号機に設置されている使用済燃料プールの運用上余裕を確保するため、使用済燃料貯蔵容量を約250%から約450%に増強する目的で設備され、平成9年10月1日より運用を開始している。

17) 格納容器ベント

格納容器の圧力が異常に上昇して、格納容器が破損することを防止するため、放射性物質を含む格納容器内の気体を一部外部に放出し、圧力を降下させる措置。

18) 弁

配管の途中に取り付けられ、開閉することにより中を通る気体・液体の流量を調整する。

19) 電動弁

開閉をモータの駆動力で行う弁。直流電源で駆動されるものと、交流電源で駆動されるものがある。

20) 空気作動弁

開閉を圧縮空気の駆動力で行う弁。この弁を駆動するためには圧縮空気のほか、圧縮空気の流れを制御するための電磁弁(電磁石の原理で駆動する弁)の電源として直流電源が必要。

21) 炉心スプレイ系

原子炉冷却喪失事故時に、燃料の過熱による燃料および被覆管の破損を防止するため、炉心上部より冷却水をスプレー状に注入し冷却する装置。

22) タービン建屋

発電用タービンが収められている建屋。

23) 高濃度汚染水

高濃度の放射性物質を含む水(現在、福島第一原子力発電所では便宜的に放射性物質濃度102Bq/cm3程度以上を「高濃度」の目安としている)。

24) 集中廃棄物処理建屋

原子力発電所では,起動(停止)操作、通常運転及び定期検査時等、各種状態に応じて様々な種類の廃棄物が発生する。これら廃棄物の中で放射性物質を含むかまた、その可能性のあるものを放射性廃棄物と呼ぶ。放射性廃棄物は、発電所の内部でまず「収集」して適切な「処理」をした後、完全な形で処分する必要がある。この「収集」、「処理」、「処分」をする設備が放射性廃棄物処理設備であり、地震前にそれらの設備を備えていた建屋群を集中廃棄物処理建屋と呼んでいる。地震後はそれらの設備を取り外し、水処理設備を設置し利用している。

25) 水処理設備

放射性物質や塩分を含む水の放射性物質(特にセシウム)や塩分を取り除くための設備。

26) 循環注水冷却システム

建屋等に滞留する汚染水を処理して原子炉注水のために再利用するシステム。

27) スキマサージタンク

使用済燃料プールが満水であることを確認するためのタンク。使用済燃料プールが満水になると、スキマサージタンクに水が流れることによりプールが満水であることを確認できる。

28) 原子炉ウェル

原子炉上部にある空間で、燃料交換時に使用済燃料プール水面と同一レベルに水を張り、原子炉圧力容器と使用済燃料プール間で燃料などの水中移送用のために使用する。事故当時4号機は定期検査中であったため、原子炉ウェルには水が入っている。

29) 臨界

核分裂が連鎖反応により持続して進む状態のこと。

30) キセノン135

原子炉内で生じる放射性物質。半減期が約9時間と短いため、この含有濃度を調べることにより、原子炉内でどの程度核分裂が起きているのかを推定することができる。臨界と判断される濃度を約1Bq/cm3として設定している。

31) 放射性セシウム

事故後、放射線ヨウ素とともに主に検出されている放射性物質のひとつで、γ線を放出する。

32) キュリウム242、キュリウム244

自発核分裂する主要な放射性物質として推定される2核種。

33) 自発核分裂

中性子、陽子、γ線、β線の吸収などによらず自然に起きる核分裂。
なお、これまでキセノン135が検出された際、主に以下の理由などにより臨界ではないことを確認している。

1.検出されたキセノン135の濃度が小さいこと
(1)現時点で存在する自発核分裂性物質(キュリウム242、244)の量から自発核分裂により生成されるキセノン135の量を評価したところ、検出されたキセノン135の濃度とおおむね一致する。
(2)仮に1kW程度(実用炉の臨界時の出力は数kW)の臨界を仮定した場合に発生するキセノン135の濃度は、検出されたキセノン135の濃度と比較して1万倍程度大きくなる。
2.ホウ酸水注入後でもキセノン135が検出されており、これはホウ素の有無に影響されない自発核分裂によって生成されたものと考えられること
3.「臨界」状態が発生すれば、それに伴う熱エネルギーによって温度などの周辺状況に変化が現れるはずであるが、原子炉および格納容器の温度や圧力のパラメータに有意な変動がないこと

34) 取水口

発電機を回したあとの高温の蒸気を冷やすための海水を取り入れるところ。

35) シルトフェンス

水中にカーテンを張ることで拡散する汚濁水を滞留させることができる水中フェンス。

36) 鋼管矢板

鋼製の矢板。今回の工事にあたっては汚染水の流出防止・拡散抑制強化対策の一環として、もともと設置してあった鋼矢板が津波により破損した部分について新たに鋼管矢板を設置する閉塞工事を実施した。工事に用いている矢板の大きさは、直径1,200mm、厚さ14.22mm、長さ12~13mで、計47本打設している。

37) 取水路開渠[かいきょ]

開渠(かいきょ)とは、通常は蓋のない水路のことをいうが、ここでは取水口より建屋側の水路部分を暗渠と位置付けていることに対し、取水口より海側のオープンとなっている水路部分を開渠と位置付けている。

38) 主要な機器・配管

原子炉等の大型機器や、地震による外部電源喪失直後の電源設備として機能した非常用ディーゼル機関等の設備を「主要な」設備として評価している。

39) 耐震設計審査指針

原子力発電所の耐震設計は、国の原子力安全委員会が定めた「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」等に基づいて行われている。最初の指針は、昭和53年に当時の原子力安全委員会が安全審査の経験を踏まえ定められたものであったが、その後の地震学や地震工学における新たな知見の蓄積、そして耐震設計技術の著しい改良及び進歩を反映して、平成18年に改訂が実施された。

40) 緊急作業時における被ばく線量限度

緊急の場合の作業員の被ばく線量の上限については電離放射線障害防止規則と実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則によって事故前までは実行線量100mSvと定められていたが、今回の事故による特例措置として平成23年3月14日、緊急作業従事者において250mSvと定められた(その後同年12月16日に特例措置は廃止され、原則として事故前と同等の管理となった)。

41) 多核種除去設備

現行水処理設備では除去が困難なセシウム以外の放射性物質を除去可能とする設備。平成24年度上半期内に導入予定。

42) 外部被ばく

身体の外部から受ける被ばくを外部被ばくという。外部被ばく線量の評価は、日々の作業毎に個々人に貸与した個人線量計(APD)の指示値を合算することにより行っている。

43) 内部被ばく

生体内に取り込まれた放射性物質による被ばくを内部被ばくいう。内部被ばく線量の評価は、全身カウンタ(ホールボディカウンタ:WBC)で体内に残留する放射性物質を測定するとともに、摂取した時期をヒアリング等により特定し、体内残留量から、想定される摂取時期に体内摂取した放射性物質の量を推定することにより行っている。内部被ばくを評価する場合は、体内摂取量から、50年間に受けるであろう放射線による影響を全て合算して示す。

44) 炉心

原子炉内部の燃料集合体や制御棒などで構成される。

45) セルフエアセット

携行式の呼吸保護具の一つで、背中に背負う装置(CO2吸着装置、酸素ボンベ、保冷剤を装備したケース)とマスクがセットになったもの。呼吸空気を浄化・循環させるとともに、酸素ボンベからも純酸素を循環空気に混ぜ込んでマスク内に供給する装置。空気中の放射能物質濃度が0.012Bq/cm3以上のエリアで作業する場合に着用する。

46) サーベイメータ

空間線量率の測定や表面汚染の検査などに用いられる小型で可搬型の放射線測定器。


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