【前編】東京2020オリンピック・パラリンピックを支え、
そして皆さまの生活を支えるために

2021/07/29

東京2020オリンピック・パラリンピックを支え、そして皆さまの生活を支えるために 前編

2021年7月23日。新型コロナウイルスの影響による1年間の延期を経て、ついに東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されました。東京電力は大会会場等へ電力を供給する設備の安定的な運営を行えるよう、これまで準備を進めてきました。
とりわけ管轄箇所が多く、会場・関連施設合わせて15カ所を担当するのが、東京電力パワーグリッドの上野支社です。管轄する東京湾岸エリアには水泳や水球、カヌーなどの競技が行われる会場が集中しており、また、ボクシングの会場となる国技館や国際放送センターとなる東京ビッグサイトも管轄。それらすべてが電力トラブルに見舞われることのないよう、供給ルートを確保し、人員を確保し、対応できるスキームと体制を確立してきたメンバーたちが、心境を語ります。
今回は第一弾として、大会期間中は管轄エリア内の監視制御基地となる、通称「支部室」から大会を支える2人のメンバーが登場します。

今回の取材は大会開催前に実施しました。

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東京電力パワーグリッド
上野支社 地中配電建設グループ 次長

齋藤 真市

1989年入社。銀座支店の配電保守担当としてキャリアをスタートし、制御グループで14年にわたり勤務する。その後、2018年より現職。
学生時代は陸上部に所属し、現在も週末には10kmほどのランニングを欠かさない。観戦を楽しみにしている競技は今回の大会で初めて実施となるスポーツクライミング。

齋藤 真市

「万が一」を起こさないために

私はプロジェクトとして上野支社のオリンピック・パラリンピック対応に関する電力供給工事の統括的な立場を務めていますが、所属は地中配電建設グループで競技場や関連施設に変電所から電気を送るための配電線を新たに敷設するミッションなどに取り組んできました。大会中は万が一にも電力供給を止めるわけにはいかないので、配電線は各会場に向けて「本線」と「予備線」の2回線を確保。これは単に複線にするだけでなく、変電所トラブルを想定して、それぞれを異なる変電所から引き込む必要がありました。

急ピッチの作業中に聞いた、開催延期の知らせ

地中に配電線を敷設する工事は、電気の通り道となる線路そのものの敷設に加え、供給先となる施設に「配電箱」と呼ばれる電気供給設備を設置することで完結します。道路などを掘り起こして行う工事ですから、行政や土地所有者、他の企業などとの連携は不可欠。加えて今回はオリンピック・パラリンピックに向けたさまざまな工事がそこかしこで行われている時期でしたから、通常時以上にスケジュール管理に心を砕きました。
調整に調整を重ね、合計46もの配電箱の設置に向けて急ピッチで作業を進めていた2020年3月、大会開催の延期が発表。我々も急ぎ一部の工事を止めたり、設置した設備による感電事故の予防策を講じたりなど、業務内容を大きく切り替える必要がありました。

急ピッチの作業中に聞いた、開催延期の知らせ

本当のゴールは大会終了後にある

この1年間はコロナウイルスの感染拡大の行く末を見守りつつ、2021年夏の開催を前提に粛々と準備を進める期間でした。止めていた工事も順次再開し、最終的にすべての競技場への電力供給を終えたのは6月1日のこと。この報告を聞いたときの達成感は一生忘れられません。
とはいえ、私たちのミッションはまだ終わりません。今後、大会期間中には配電線のトラブルに備えて、ここ上野支社に交替で詰めることになります。2回線の片方に何かあればもう1回線が速やかに稼働するので、その間にすばやく復旧を実行。選手の皆さんが安心して競技に専念できるよう、裏方としてサポートに徹したいと考えています。

さらに、敷設した配電線を大会終了後に速やかに撤去するための準備にも着手しています。ゴールは、まだまだ先にある。そして、前例のない業務に向き合い続けたこの経験を単なる「思い出」に留めることなく、皆さまの生活を支えるという本来の業務に生かせたとき、初めてこのプロジェクトはゴールを迎えたことになるのだと考えています。

各エリアの状況をリアルタイムで把握できる支部室から大会を見守る

各エリアの状況をリアルタイムで把握できる支部室から大会を見守る

東京電力パワーグリッド
上野支社 墨東制御所 制御グループ

荻原 典男

1985年入社。江戸川制御所の変電保守グループに入社し、上野支社管轄エリア内でキャリアを重ねる。2016年からは葛飾制御所の制御グループに異動。2019年7月から現職。
学生時代は硬式テニス部に所属。社会人になってしばらくはスポーツから離れていたが、2018年、会社の文化会で駅伝に出場したことをきっかけにマラソンに熱を上げるように。ハーフマラソンやフルマラソンにも出場するまでになるが、コロナ禍により現在は休止中。

 

荻原 典男

「万が一」が起きたときのために

制御グループの役割は、その名の通り配電系統を制御すること。私は「配電設備の工事における無停電工事」や「停電事故発生時の復旧」の検討ならびに操作を担当しています。今大会期間においても、配電線に異常が生じた際、その状況を速やかに把握して情報を共有することが使命。交替で墨東制御所内に人員を置き、異常を知らせる警報が鳴ったらすぐさま制御室に情報を取りに行き、5分以内に取りまとめて支部室に報告しなくてはなりません。
非常時対応はどんなときも急務ですが、今回は通常時敷かれていない特殊な待機態勢であり、トラブル時の報告フローなども大会対応体制下で通常時とは異なりますので、訓練を重ねてしっかりと気を引き締めて対応していきたいと思います。

支部室に隣接した待機室での復旧対応(写真は訓練時のもの)

支部室に隣接した待機室での復旧対応(写真は訓練時のもの)

延期期間での、コロナ禍での訓練だからこそ得られたもの

想定外だったのは、大会延期によって、トラブルに備えた対応力を維持する期間が1年以上にわたり発生したこと。そのためには訓練あるのみなのですが、コロナ禍では対面で訓練を行うことも難しい。初期の頃はやむなく、さまざまなシチュエーションを想定した動画を作成し、それを見ながらオンラインで訓練を行わなくてはなりませんでした。それでも、回数を重ねるごとにメンバーの熟練度は向上していきました。
また、動画を用いた形式だからこそ訓練後の振り返りがやりやすく、詳細な課題の洗い出しや対策まで行うことができたとも言えます。どこでどのような異常が発生しているかを速やかに特定するチェックリストや、それを共有するためのフォーマットも準備し、しっかり使いこなせる体制を整えることができました。これらは制御グループとして、今後に生かせる大きな収穫だったと考えています。
2021年度に入ってからは厳重な感染対策を行いながら、現場での訓練も再開。大会会場と別のエリアで同時にトラブルが発生したケースまで想定し、それでも所定の時間内にしかるべき対応がとれることを確認しました。万全に万全を重ね、なお気を緩めることなく大会終了まで走りきること。今はただそのことだけを胸に、一日一日の業務に向き合っています。

延期期間での、コロナ禍での訓練だからこそ得られたもの

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