2016年12月6日
東京電力ホールディングス株式会社

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う当社福島第一原子力発電所の事故により、立地地域の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまに、大変なご心配とご迷惑をおかけしていることにつきまして、心より深くお詫び申しあげます。
 福島第一原子力発電所の事故に関し、2011年4月17日、「東京電力福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」をとりまとめ、同年7月19日に、「放射線量が着実に減少傾向となっていること」を目標とするステップ1を達成しました。その後、同年12月16日に、「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられていること」を目標とするステップ2の達成を確認し、同年12月21日には、福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップをとりまとめました。
 2013年11月18日、4号機使用済燃料プールからの燃料取り出し作業を開始しました。これに伴い、中長期ロードマップの第1期(ステップ2完了から2年以内に使用済燃料プールからの燃料取り出し開始)を前倒しして達成し、中長期ロードマップの第2期へ移行しました。
 引き続き、プラントの安定状態の確実な維持に取り組むとともに、1~4号機の廃止措置に向けて必要な措置を中長期にわたって進めていくことにより、避難されている方々のご帰還の実現および国民の皆さまが安心して生活いただけるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。

 福島第一原子力発電所の状況について、以下のとおりお知らせいたします。

下線部が新規事項

※12月4日午後10時39分頃、1号機~3号機共用の使用済燃料プール(以下「SFP」という)二次冷却系循環ポンプ(A)の吸込圧力低の警報が発生。対応手順に従い、ポンプ(A)から予備機であるポンプ(B)に切替えを実施したが、ポンプ(A)同様、吸込圧力低の警報が発生したため、ポンプ(B)についても停止操作を実施。現場状況を確認したところ、1号機使用済燃料プール代替冷却系(以下「SFP代替冷却系」という)の一次冷却系ポンプ(A)の軸受け冷却水(共用の二次冷却系により供給)配管のベント弁が「開」状態であることを確認。これにより、共用の二次冷却系の圧力が低下し、SFP二次冷却系循環ポンプの吸い込み圧力が低下したものと推定。その後開いていた軸受け冷却水配管のベント弁を「閉」にした。当該ベント弁については、現在実施中の1号機SFP代替冷却系二次系共用化工事に伴う試運転のため、12月4日に当該ベント弁の操作を実施したことを確認。プラント主要パラメータおよびモニタリングポスト指示値等に有意な変動は確認されていない。
その後の現場確認の結果、共用二次冷却系に漏えい等の異常がないこと、および1号機SFP代替冷却系の一次冷却系ポンプ(A)の軸受け冷却水配管のベント弁が「開」状態であったこと以外に異常がないことを確認。このため、12月5日午前5時27分に共用の二次冷却系の復旧を行い、同時刻に2号機および3号機SFPの二次冷却系の再開を確認。

〇参考
各号機の状況は、以下の通り。
各号機の状況(12月5日 午前5時30分現在)
<2号機SFP>
 ・冷却再開時:SFP水温度:19.8℃
 (停止時:12月4日午後11時 19.3℃)
<3号機SFP>
 ・冷却再開時 SFP水温度:18.7℃
 (停止時:12月4日午後11時 18.5℃)

SFP代替冷却系のプラントデータを確認したところ、12月4日の午後3時頃より、二次冷却系循環ポンプ(A)の吸込圧力が低下していたことが判明。また、12月4日の現場作業状況等について確認した結果、二次冷却系循環ポンプ(A)の吸込圧力が低下したのと同じ時間帯に当社社員が定例パトロールのため、1号機SFP代替冷却系の一次系冷却ポンプ(A)付近で現場確認を行っていたことが判明。
当社社員への聞き取りからは、一次系冷却ポンプ(A)軸受冷却水配管に設置されているベント弁に接触した事実は確認できなかったが、当該弁は動作が容易なコック型の弁であり、SFP代替冷却系の共用二次冷却系は試運転中で、当該弁の誤動作を防止するような処置が講じられていない状況。以上のことから、当該弁が「開」状態であった原因は、現場確認中の当社社員が意図せず当該弁に接触したことで、当該弁が「開」方向に若干動いてしまった可能性が高いと判断。
再発防止対策として、一次系冷却ポンプ(A)軸受冷却水配管に設置されているベント弁(当該弁を含めて8個)をインシュロック等で固定。

※12月5日午前10時2分頃、3号機復水貯蔵タンク(以下「CST」という)炉注水ポンプ(B)が停止したことから、午前10時30分に特定原子力施設の保安第1編第18条に定める運転上の制限「常用原子炉注水系において、原子炉の冷却に必要な注水量が確保されていること」を満足できないと判断。その後、午前10時59分3号機CST炉注水ポンプ(A)を起動し、午前11時現場異常がないことを確認し、同時刻第18条に定める運転上の制限「常用原子炉注水系において、原子炉の冷却に必要な注水量が確保されていること」を満足できないことからの復帰を宣言した。原因については、今後調査する。なお、モニタリングポストおよびダストモニタの指示値に有意な変動はない。
3号機CST炉注水ポンプ(B)が停止した原因について調査した結果、当該設備制御盤付近で作業していた協力企業作業員の肘が意図せず当該ポンプのスイッチカバーに接触し、その際、当該ポンプのスイッチが停止側に動作したことにより、当該ポンプが停止したものと推定。本事象は機器の故障等により発生したものではなく、人為的事象と判断。

12月6日午前6時43分頃、サブドレン浄化建屋において、漏えい検知器が動作したことを示す「B系サブドレン処理 吸着塔スキッドB漏えい」の警報が発生。当社社員が現場を確認したところ、サブドレン吸着塔No.5入口配管から水が滴下していることを確認。警報発生後、午前6時45分頃に、当該サブドレン浄化設備を停止しており、午前7時28分に滴下が停止したことを確認。なお、漏えい範囲は約5m×2m×深さ2mm(約20L)で堰内に留まっており、外部への流出なし。
水の滴下は、サブドレン吸着塔No.5B入口配管に接続されている金属製フレキシブルホースから発生したものと考えられ、滴下が確認された当該ホースは交換を実施。その他の金属製フレキシブルホースについても確認したところ、サブドレン吸着塔 No.5B出口配管の保温材が濡れていることを確認したため、当該ホースの交換を実施。また、サブドレン吸着塔No.1B出口配管の保温材が濡れていることを確認したため、当該ホースの交換を実施。また、滴下した水については回収を実施。

《1号機(2012年4月19日廃止)》
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機原子炉建屋地下から集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中
使用済燃料プール(以下、「SFP」という。)代替冷却系について、1~3号機二次冷却系の共用化工事が終了したことから、12月5日午後5時35分に共用の二次系冷却設備の運用を開始。運転状態に異常のないことを確認。運用開始後のSFP水温度は19.0℃(停止時15.9℃)であり、運転上の制限値(60℃)以下で、SFP水温度の管理上問題なし。

《2号機(2012年4月19日廃止)》
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中

《3号機(2012年4月19日廃止)》
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中

《4号機(2012年4月19日廃止)》
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了

《5号機(2014年1月31日廃止)》
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却中

《6号機(2014年1月31日廃止)》
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却中

《共用プール》
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施

《水処理設備および貯蔵設備の状況》
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)運転中
・増設多核種除去設備運転中
・高性能多核種除去設備停止中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中

《サブドレン他水処理施設の状況》
※サブドレン他水処理施設一時貯水タンクEの分析結果[採取日11月29日]について、運用目標値を満足していることを確認。12月5日午前10時2分より港湾内への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時9分に漏えい等の異常がないことを確認。その後、午後4時56分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は1,002m3

サブドレン他水処理施設一時貯水タンクFの分析結果[採取日12月1日]について、運用目標値を満足していることを確認。

《地下水バイパスの状況》
地下水バイパス揚水井No.1~12のサンプリングを継続実施中。

<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。

※地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の分析結果[採取日11月24日]について、運用目標値を満足していることを確認。12月6日午前10時9分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時33分に漏えい等の異常がないことを確認。

《H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果》
H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、同様の構造のタンクの監視を継続実施中。

<最新のパトロール結果>
12月5日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。

H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、H4エリアタンク周辺のサンプリングを継続実施中。

<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。

H6エリアC1タンクからの漏えいを受け、H6エリアタンク周辺のサンプリングを継続実施中。

<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。

《地下貯水槽の状況》
2013年7月1日に地下貯水槽の汚染水は全て移送を終了しているが、拡散防止対策およびサンプリング(地下貯水槽No.1~7のドレン孔水、地下貯水槽No.1~4,6,7の漏えい検知孔水、地下貯水槽観測孔、地下水バイパス調査孔、海側観測孔)は継続実施中。

<拡散防止対策>
地下貯水槽No.1~3の漏えい検知孔内に漏えいした水を仮設地上タンクへ、地下貯水槽No.1,2のドレン孔内に漏えいした水を当該地下貯水槽内へ移送する処置を適宜実施中。

<最新のサンプリング実績>
地下貯水槽周辺の観測孔全ベータ放射能が上昇した件について、12月5日に採取したi~iii観測孔の水の全ベータ放射能分析結果は、至近の分析値と比較して有意な変動は確認されていない。また、その他の分析結果についても、至近の分析値と比較して有意な変動は確認されていない。引き続き、地下貯水槽周辺の観測孔について監視を継続する。

《1~3号機放水路の状況》
1~3号機放水路については、1号機放水路上流側立坑および2号機放水路立坑において、セシウム137の濃度が上昇したことから定期的に水質調査を実施。

<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、至近の分析値と比較して有意な変動は確認されていない。

以 上

添付資料

参考資料(最終更新日時:2015年12月31日午後3時)

参考資料(最終更新日時:平成26年12月31日午後4時)

参考資料(最終更新日時:平成25年12月31日午後3時)

参考資料(最終更新日時:平成25年10月22日午後3時)

参考資料(最終更新日時:平成24年4月7日午後3時)

※上記資料の最新版は、【「東北地方太平洋沖地震による影響などについて」実績ファイル】ページをご覧ください。