新潟本社

第6回 柏崎刈羽原子力発電所 核物質防護事案に係る改善措置評価委員会

1.日 時  2025年11月11日(火)8:55~11:35

2.場 所  東京電力HD柏崎刈羽原子力発電所 技能訓練センター(研修室C)

3.出席者

○柏崎刈羽原子力発電所 核物質防護事案に係る改善措置評価委員会
 委員長    伊丹 俊彦
 副委員長   大場 恭子
 委員     新野 良子
 委員     伊藤 聡子
 委員     開沼 博

○東京電力ホールディングス株式会社(以下、東京電力)
 代表執行役社長              小早川 智明
 原子力・立地本部長            福田 俊彦
 柏崎刈羽原子力発電所長          稲垣 武之
 柏崎刈羽原子力発電所セキュリティ管理部長 堀川 健
 原子力運営管理部長            山田 清文
 核物質防護モニタリング室長        大槻 雅久

4.議事概要

  • (1)伊丹委員長、小早川社長の挨拶
  • (2) 第5回委員会以降の主な取組み状況と評価について
  • 大槻室長および稲垣所長より、配布資料に基づき説明
  • (3) 東電の取組みについての評価と提言
  • 視点①発電所で働く人・組織の自律性

  • 「信頼回復」を念頭において活動することが重要である。組織として、社内のモチベーションを維持しながらどのようなワンボイスで伝えていくか。また、ワンボイスだからといって協力企業に届くわけではない。ワンボイスはコミュニケーションの柱だが、実際のコミュニケーションでは相手に応じて伝え方を変える必要がある。経営側は、現場からの情報を分析し、方向を定め、シャワーのように浸透するようメッセージを発信、共有しなければならない。
  • 観察当初より、手荷物点検の協力姿勢など大きく改善した。一方で、東電と協力企業が一緒にやっていこうという状態については道半ばだと感じる。協力企業との連携強化に向けては、まずは「共感」からスタートする必要がある。困っているという状態に寄り添って、早く解決できるように努力することはできるのではないか。コミュニケーションは“人対人”が基本である。
  • 現状はワンボイスしかり、上から降りてきたことをしっかりやっているフェーズだが、そうではなく一人一人が現場の声を受け止め、自立的に考えて上に上げるようなボトムアップ型の組織作り、雰囲気作りをやっていく必要がある。制約がある中でも最大限努力し、相手の立場に立って動いてほしい。
  • 社長からも自律性について改善途上とコメントがあった。自身の「自律」の定義は「どうあるべきかを自分で考え続けること」。これは組織であっても同じ。そうしたなか、自律を妨げる要素には「習慣」や「環境」があるのではないだろうか。「規則を破る行為」と認識していても、それをしてでもなおよいことを生み出すという理解を持ってしまうものがあると規則を破る行為をしてしまう。こうした行為が存在することは、現状を的確に把握しながら自ら考え続けることができていないことだと思う。もっと深堀してほしい。
  • 自律性を高めるためには、大きな目的・目標を定め、その実現への手段・方法は現場で考えるようなことが必要ではないか。細かなことを定めることも必要であるが、その方法ではそれを実行することに終始し、それ以上のことを自ら考えなくなるおそれがある。また、物事は現場で起こっているので、幹部の方々が、もっと現場出向の回数を増やせるように既存業務を効率化して現場を直接見る機会を多く作ることが大切。
  • 視点②セーフティとセキュリティの持続的な均衡

  • 人財育成は素晴らしい取り組み。視察した際にもそれは感じる。ただ、定量的に評価することが重要。セットバックのこと含め、住民にとっては重要なこと。セットバックが実現することでどんな未来があるのか、住民にしっかりと伝わるようにしてほしい。
  • 効率化をどう図るかについては、制約がある中でも最大限努力し、相手の立場に立って動いてほしい。デジタル化も含め。
  • 意識/無意識下での負担感の所在について明らかにしていくことが必要である。権力論には3段階ある。第一段階:罰する・縛る。第二段階:規律訓練型。第三段階:環境管理型。KKでは、規律訓練は大分できたが、環境管理についてはもう少しである。ルールをこれ以上増やすと限界になっている。環境管理型にシフトして、規律訓練を減らすフェーズに入っていくべきである。そのためには、社員が現場に出て生の声を聞いて課題を洗い出して取り除くことが重要である。この営みの積み重ねが長期的なパフォーマンス向上につながる。
  • セーフティ部門の部長が交代したりしており、セーフティとセキュリティの双方を理解する幹部が必要との問題意識の下に人事の工夫がなされていると感じる。セットバックで様々なことが良くなるし、渋滞緩和にはセーフティ部門の関与が不可欠である。セーフティ部門の関与を強化することが必要である。
  • 視点③“知りたいこと”が伝わるコミュニケーション

  • 県民意識調査結果で80%近くが再稼働に不安を抱いているという事実を受け止め、情報提供の在り方から見直すべきである。信頼関係を損なった相手への情報提供の仕方は、他の人とは違うのではないか。信頼関係を損なうに至った過去の経緯を振り返り、それを考えた上で情報提供する必要があるのではないか。
  • 「コミュニケーション」という言葉は幅広い意味を持つ。自分自身「情報共有・情報提供」という表現を使っている。これは、縦割りだけでは実現できない、横ぐしを通すことで実現できる。経営層からシャワーのように現場にメッセージを届けてほしい。
  • 情報格差があるため、結果だけ伝えられても住民は理解できない。情報提供の前後の受け止めを分析すれば、このような結果になっていのではないか。原子力について特別な知識を持たない一般の住民には、中間情報が必要。情報格差があればあるほど価値がある。
  • “共感”をどう作っていくか、リスクコミュニケーションと地域コミュニケーションのバランスが大事である。これは攻め・守りの広報の話である。「原発は危険ではない」以上のコミュニケーションが今後大事になる。共感可能なナラティブをどう作るかが、地域コミュニケーションにおいて重要である。
  • 県民意識調査結果の回答者の半分は女性である。東電は、県民の半分存在する女性について、深堀りできているのか?ターゲティングを突き詰めた広報活動が必要である。
  • 東京電力が本当に伝えたいことは何か、水力発電を新潟県で活動を始めて100年という“地元企業”であるならば、もっと違う視点や提案があるべきではないか。
  • 地元、地域、県民の方々の知りたいことは地域特性や男女の関心事項の差などによっていろいろ異なると思う。知りたいことは、さまざまな要因によって異なっていることを頭の片隅においてほしい。
  • 県民の理解が高まることが、発電所で働く人のモチベーションにもつながる。そのような良い循環を作ってほしい。
  • 核物質防護に関する取組を伝えられる範囲で社外に発信していくことが住民の不安の解消に向けて大事である。
  • 全体評価・提言

  • 改革改善は淀みなく不断に行われてその成果もある。車両点検時の運転手による収納庫の開披など新しい取り組みを積極的にやっている。各改善の取組を引き続きやってもらいたい。

5.配布資料

以 上

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